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「こうじゃないといけない」を変える


多様性が大事だと言われている中で、身だしなみという分野に関しては、言われてみれば、たしかに多様じゃないんだなぁ。と思う。

ここ数日、体毛などを剃るためのカミソリなどを取り扱っている貝印の広告が話題になっています。ここまでどストレートにこうしたメッセージを発信する日本の企業は、今まであっただろうか?


中学1年生の夏、プールの授業中に男子たちが同級生の女の子を見て「あいつ脇毛生えてる!」と言っているのが聞こえました。それが、なんだかとても馬鹿にしたような言い方で、「わたしもそんな風に馬鹿にされたらどうしよう」とすごく嫌な気持ちになったのを覚えています。それからムダ毛処理は入念にしたし、プールの授業はなにかと理由をつけて、全部見学。結局卒業するまでわたしは一度も学校のプールに入りませんでした。
繊細ガールだった13歳のわたしは、ただただ恥をかきたくないと思ったのです。その頃から、当然のように女の子は体毛を隠さなきゃいけないものだと思い込んできました。

ここ数年は広告などで脇毛を生やしている海外のモデルさんを目にすることが増えました。初めて見た時はとても驚いたし違和感もありましたが、「でも、なんで脇毛って剃らなきゃいけないんだっけ?」 と冷静に考えてみると、女の子が体毛を剃らなきゃいけない理由は特にない。「生えていることがダメ!」と訳もなく思い込んでしまっていた自分に気付くことができました。

体毛に限らず、最近はいろんな人が発信するメッセージをネットで見て、ハッとさせられることがたくさんあります。

数年前に、完全なるすっぴんでレッドガーペットを歩いていたアリシア・キーズを見て、「たしかにそうだよね、誰がメイクしなきゃダメなんて決めたんだろう・・・」と。ハッとさせられました。

中学生の頃から、興味本位でメイクを始めたけど、高校生になり、他人に見られる職業についた影響からか、だんだん「人前では必ずメイクをしないと!すっぴんは見せてはいけない!」と当たり前のように思うようになっていきました。ちょっとそこのコンビニへ、というときはもちろん、家のすぐそばにある自動販売機に飲み物を買いに行くときでさえ、軽くメイクをしたりしていて、正直、めんどくさいなぁとストレスに感じる瞬間はたくさんあります。

流石に最近は自動販売機にメイクして行くことはなくなったけど、「一応眉毛くらいは描いていくか。」という感じ。ノーメイクで家の外に出ることに対しては、まだまだ葛藤がある、というのが正直なところです。


今ではたくさんの著名人たちが、「当たり前は当たり前じゃない」というメッセージを色んなカタチで発信していて、徐々に多様な雰囲気になってきているけど、身だしなみという分野においては、まだまだステレオタイプな「当たり前」が根強く残っているのかもしれない。

女の子だからこうしなきゃいけない、男の子だからこうしなきゃいけない、という概念からみんなが解放されたら、どれだけの人がもっと自由に気楽に生きられるんだろうか。

今回の貝印のような広告が街中にあふれたら、きっともっと「こうじゃなきゃいけない」という暗黙のルール的なものが変わっていくんだろうな。

体毛や身だしなみに限らず、どんなことも、他人の目を気にするんじゃなく、心のままに自由に選択していくことが当たり前になっていくんだろうなと感じるし、そんな風に、誰もが自由に生きられる世の中を創るために、わたしにできること、していきたいな。


武藤千春

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