【短歌ベスト10　#7】　お題は「幻覚」。あなたのお気に入りは、どれ?

酒を飲んでいるわけでも、違法薬物をやっているわけでもない。
それでも時折、“幻覚”を見ることがある。
ふだんロジカルな思考で生きているぶん、何も考えずにボーっとしていると、脳の再生回路が極端にイメージへと振れるのだろうか……。
こうして10首を並べてみると、それは10の生首にも似て、死へのほのかな憧れや破滅願望が垣間見れる。意外だ。

メビウスの輪の上歩く猿の群れ
嗤わらいて見れば我も輪の上

chihalix作（以下同様）

人口が半減したらこの国は
善人だけになるのだろうか

目を閉じて原初の記憶辿るとき
生温ぬるき水産道の中

大人など信用できぬあの日から
タイムスリップ酒場で眠る

果てしなきドミノのごとく倒れゆく
50階建てマンションが100

目覚めると突如の舞台幕はあき
台詞せりふ出てこず啞者を演じる

憎しみとエゴの悪魔につながれし
自らの腕斧で断ち切る

この都市にきらめく夜景各部屋に
下着女性と性加害者が

数十年前のこの島この区域
日本と呼ばれ人もいたかも

立ち寄った見知らぬ町の参列で
葬られしは我の亡骸

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