マガジンのカバー画像

bush valley lub → 山川藪文庫

25
富山県西部の山間部でのリノベ改修までの記録 →住み始めてからのあれこれ
運営しているクリエイター

#リノベーション

26|全ての建材はどこかからやってきた

26|全ての建材はどこかからやってきた

排水システムが傾斜土槽法に決まったところで、水周りの設計図面提出日まであと10日のタイミングになっていた。わあ。

図面は夫にお任せだが、それまでに床や壁の素材やら照明やら水栓やらも決めないといけない。全然決まってない。そもそも、お風呂ならお風呂、脱衣所なら脱衣所が、どれだけの要素で成り立っていて、何をどこから選べばいいのかも、わかってない。

わかろう。ということで、洗い出していく。

たとえば

もっとみる
23|排水と水を巡る白山水系の旅 大野

23|排水と水を巡る白山水系の旅 大野

エコロンシステムの見学で、GWに福井の大野へ行った。

エコロンシステムも、仕組みは毛管浸潤トレンチと似ている。どちらも土中に、まず汚水をためる沈殿槽があり、その先に微生物繁殖資材があり、上に土をかぶせて、表面には植物。全ての層にいる生き物が汚物を浄化(分解)してくれて、さらに分解された養分を含む土が植物を育てるという、その場に循環をつくりだしてくれる装置。

毛管浸潤トレンチは、沈殿槽と繁殖層を

もっとみる
22|コンポストトイレと毛管浸潤トレンチ

22|コンポストトイレと毛管浸潤トレンチ

うかうかしているうちに、家の取得日から一年が経とうとしている。市と県の移住者向けリフォーム補助金に取得から1年の縛りがあるため、ここにきて急に、5月半ばまでに水回りの工事を発注、6月末までに完了というスケジュールが明確になった。

目に見えるデザインや素材と同時に、排水の配管も決めないといけない。つまりそれまでに、屎尿と雑排水の処理システムを決めないといけない。

トイレは、コンポストトイレが優勢

もっとみる
21|在るものからはじまる

21|在るものからはじまる

家の設計が進んできた。図面を書いてくれているのは夫の研究室のK君。

私は施主、夫は施主であり建築事務所、K君はその事務所の担当所員、というイメージの立ち位置で、3人での打ち合わせと、夫からの指導とを踏まえながら、K君からの提案もあって、強く誰が主導、というのではなく、話し合いながら、良い具合にまとまっていっている。

3月20日の初回提案から、打ち合わせ6回くらいで4月15日に基本設計が終了。間

もっとみる
19|うんちの行方

19|うんちの行方

「これもうくさくない?」畳んである洗濯物のパンツをさして娘が言う。

「手であらってくれたやつ」

ああ、よく覚えているね。前におもらしして、うんちまみれになったやつだね。

子供が生まれて以来、うんちフレンドリーな生活を送っている。娘の体から出てきた便りは毎回確認するし、どうしようもなく手についてしまったものを洗ったり、ただただ水に流していた時代よりも、多少のうんち耐性はついている。家庭内でのう

もっとみる
18|モダニズムとか民藝とか、富山の家は揃っている

18|モダニズムとか民藝とか、富山の家は揃っている

住宅街を車で走っていたら、前川國男の自邸のような家があった。とても格好良かった。中から知り合いが出てきて、庭の端につくられた鶏小屋のニワトリに餌をあげはじめた。前川國男の家みたいで格好いいですね、と話しかけると、パクりました、と笑っていた。こんな住宅街でもニワトリって飼えるんだなあと思った。

「民藝ってモダニズムじゃないの。機能的なものは美しい」

その後、昼ご飯を食べながら夫が言う。コルビジェ

もっとみる
17|ポキポキの杉

17|ポキポキの杉

家の近くの山の杉が、ポキポキ折れている。折れたところからクリーム色の木肌がのぞいていて、遠くからも折れていることがわかる。一箇所ではなくて、道すがらずうっと、ものすごいスケールで、折れている。

年始に降った大雪で、雪の重みに耐えられずに折れたらしい。海に近い里山だから、これまであまり雪が降ることがなくて、雪に慣れていないのが直接の理由。根本には、間伐すべきものがされていないから、ちょっとした負荷

もっとみる
16|繋がり直し

16|繋がり直し

家の改修の方向性として、なんとなく考えていること。 

つくりたい形ではなく、エネルギー効率や使いやすさなど用いるところから生まれてくる形を重視する。

土地の素材を使う。

特別ではない、他の人でも真似しやすいやり方、ものを使う。

できるところは自分たちも手を動かす。

リノベーションは元の家やそれをつくった人とつながる方法論でもある。

黒瓦や外壁の漆喰など、使えるものはそのまま使う。

もっとみる
11|ピーター・アイビーさんと梁

11|ピーター・アイビーさんと梁

秋頃に、ガラス作家のピーター・アイビーさんが改修予定の家に来てくれた。取材時にリノベの話をしたら、改修前の家をみたい、という話になったのだった。

まずはピーターさんの家を、夫も一緒にみせてもらった。10年以上かけて自分で手を入れ続けて、工務店も入って、ほぼ完成した家。とはいえ、またこれから納屋や庭にも手を入れるそう。セルフビルドの世界にはたぶん終わりがない。

ピーターさんの家を一言でいうなら、

もっとみる