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2020年11月の記事一覧

沖浦和光『新装版 竹の民俗誌ーー日本文化の深層を探る』

全国の被差別部落を数多くフィールドワークした研究者による本で、南島文化と隼人との関わり、および、竹細工の歴史を探るのを主眼としている。

隼人も、竹細工に関わった人々も、いずれも虐げられた人々であった。隼人は南方系の人びとであり、ヤマト王権成立以前に日本に先住していたが、ヤマト王権に征服された。隼人が住んでいた南九州には、南太平洋とよく似た竹用品や竹に関する習俗が今も残る。

竹細工は、土地を持た

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狩野博幸『江戸絵画の不都合な真実』

京都国立博物館で数々の展覧会を企画した美術史家による、江戸絵画の有名人の肖像。岩瀬又兵衛から東洲斎写楽まで、時代を追って8人が取り上げられている。

それぞれ何枚か絵も紹介されてはいるが、画家自身のエピソードが中心である。江戸時代はさまざまな人がさまざまな随筆や日記を残しているため、文献に広く当たれば作家の人物像がくっきりと姿を表す。ろくに資料にも触れずに、好き勝手なことを言う傾向に著者は批判的で

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吉村泰典『間違いだらけの高齢出産』

生殖医療の黎明期から活躍している産婦人科医が書く、高齢出産の現場の話。

著者は、現代の女性の出産適齢期は25歳から35歳だという。生物としての適齢期は18歳から25歳くらいらしいが、それほど若くして出産するのは現代では難しい。35歳を過ぎると急激に生殖能力が下がるため、それまでに産むのがいいらしい。

私は34歳で出産したが、病院で開かれた母親教室では、担当の助産師から皆さん歳をとっているのだか

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