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【選挙ウォッチャー】 東京都議選2021・杉並区選挙区レポート。

6月25日告示、7月4日投開票で、東京都議選が行われ、杉並区は定数6に対して12人が立候補しました。ここは非常に注目度の高い選挙区で、都民ファーストの会が2議席を死守できるのか、自民党や公明党、共産党がしっかり議席を獲得できるのか。立憲民主党や日本維新の会、れいわ新選組の挑戦も注目でした。さらに、「コロナはただの風邪」だと訴えている「国民主権党」から中根淳が立候補しており、反知性派カルト集団がどれだけ票を取れるのかという点でも、非常に面白い選挙区だと思います。

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茜ヶ久保 嘉代子 45 現 都民F(都会環建委理事)
鳥居 宏右  50 現 都民F(党都議団役員)
原田 暁   46 現 共産党(都会環建委員)
松葉 多美子 58 現 公明党(党都女性局長)
早坂 義弘  52 現 自民党(明大客員研究員)
小宮 安里  44 現 自民党(元都会公企委長)
関口 健太郎 29 新 立憲民主党(元区議)
山名 奏子  38 新 れいわ新選組(人権NPO代表)
小松 久子  68 元 生活者ネット(立憲推薦)
百瀬 智之  38 新 日本維新の会(元衆院議員)
市川 浩司  59 新 庶民と動物の会(ディスコP)
中根 淳   48 新 無所属(国民主権党)

今回、『チダイズム』では、コロナ禍で取材できなかった島部選挙区と無投票当選だった小平市選挙区を除き、40選挙区のレポートをお届けしてまいります。どうせだったら全部読んでしまおうという方のために、1本あたり199円で読めるマガジンもご用意しておりますので、コロナ禍の自粛期間のお供に選んでいただければ幸いです。

なお、すべての東京都議選のレポートが単品でも購入できるため、都議選の全選挙区には興味がないけど、「れいわ新選組」の総括が読みたいという方は、このレポートを単品購読してみてください。唯一、勝てる可能性があると見込んでいた選挙区で大惨敗しているわけですが、その敗因などを細かく分析してまいりたいと思います。


■ 中根淳候補の主張

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今回、「国民主権党」は中心メンバーの一人である中根淳が東京都議選に立候補してきました。これが今の「国民主権党」の勢力を物語っているのですが、実は今、「コロナはただの風邪」と主張する人たちは、あまり「国民主権党」のまわりに集まっておらず、どちらかと言えば、黒川敦彦率いる「つばさの党」のまわりに集まっていると思っています。最近のトレンドは「コロナはただの風邪」から「ワクチン危険」に移っており、確かに、ワクチンにはいろいろな問題があるのですが、彼らが言っているのは「ワクチンを打つと5Gに接続されて体がコントロールされてしまう」とか「ワクチンを打つと遺伝子組み換え人間になって5年後に死ぬ」とか、そういうレベルの荒唐無稽な話なので、ワクチンのリスクをめぐる真剣な議論とはまた別の次元にあります。

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中根淳の主張は、選挙公報を見ればだいたいわかるのですが、「緊急事態宣言は必要ない」「コロナじゃなくても病気になる」「みんなでメシを食えないのは嫌だ」です。新型コロナウイルスに感染しないように気を付けて生きるのは面倒臭いので、今までと変わらぬ生活がしたいと願う気持ちはわかりますが、これを公約にしてしまうのはカルトです。それで、N国党員と違って、中根淳の細かいプロフィールまではチェックしていませんでしたが、なんと、中根淳は48歳にして1児の父でした。シェフだった父ちゃんが店を辞めて「コロナはただの風邪」とか言っていたらマジでヤバいんで、子どものためにも、しっかり感染症対策をして働いてほしいと思わずにはいられません。もっとも、シェフがマスクをしていない店は誰も入らないと思いますので、生活のためにマスクをつけるぐらいのことは受け入れてもらいたい気持ちになります。

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僕はこれまで中根淳のことを「平塚正幸に洗脳されて、警察にウザガラみをするのがカッコイイと思うようになってしまった、遅れてやってきた中二病のバカ」ぐらいにしか思っていなかったのですが、「1児の父」と聞き、それはいくら何でも子供が可哀想だと思いました。平塚正幸は「ワクチンを保存している冷蔵庫のプラグを抜こう」なんていうことを呼び掛けるようなバカです。そんなバカと一緒になって、この日はシェフの格好をして、駅前に立って「緊急事態宣言が出ても自粛する必要はない」という話を延々としているのです。ポスターにも書かれているように、中根淳は「阿佐ヶ谷グルトン」という名店のシェフでした。先代が築き上げた味を中根淳が引き継いでいたわけですが、脳味噌がアハッとなってしまい、平塚正幸と一緒に「コロナはただの風邪」の集団に入ってしまったのです。先代や店を愛してきた常連客に申し訳ありません。目を覚ませ、中根!

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今、国民主権党は「ワクチンは危険」と主張する政党カーを、全国各地に走らせると言ってカンパを集めています。選挙に立候補する際にもカンパを集め、情弱からのお金が資金源になっていました。本当は言論によって、彼らの主張がどれだけデマであるかを皆さんに説明し、資金を断つことで活動を休止に追い込めたらよかったのですが、どうやら最悪の結果で彼らの活動が止まることになりそうです。東京では既に多くの人が「コロナがただの風邪ではない」ということを身をもって体感しているし、まもなく本人も身をもって体感することになるかもしれません。人が苦しみ、時に死ぬことで理解されるのでは遅いのです。それはある意味、僕たちの敗北です。もっと発信力をつけて、多くの人に現実を知ってもらわなければなりません。


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