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HSPの私が生きる道(4) - もっと自分をいたわっていい

前回、「境界線(バウンダリー)を強化する」ことがHSPの課題だ、というお話をしました。

端的に言えば、「人は人、自分は自分」と理解し、意識しておくことですが、HSPにとっては時に難題となります。

詳しく見ていくために、HSPの短所と言われる4項目について、筆者の体験談と対処法をご紹介していきたいと思います。

短所1:すぐにびっくりする

人一倍、五感から感じ取られる情報量が多いので、ちょっとした物音や、気配でも、感受性がかなりの情報として伝わり、ついつい驚いてしまいます。周りから見ると、臆病だったり、大げさと思われるかもしれませんが、普通の感覚の何倍も感じていると考えれば、納得です。

私の場合、「雷」は平気ですが、「突然名前を呼ばれること」は異様にびっくりしてしまいます。

なぜ雷が平気かと言えば、安全策を知っているからです。

・PC作業中のデータは保存する。
・近くの避雷針に落ちるので、屋内であればほぼ安全である。
・外出中であれば車の中に避難する。

ではなぜ「突然名前を呼ばれること」に驚くのか。「自分の名前」は、心理的に「拒絶する」ことができないといわれます。境界線の薄いHSPとしては、槍で心臓を刺されるようなイメージを持ってしまいます。

職場であれば、「何か自分がミスをしたんじゃないか」など、激しい不安に襲われてしまいます。(例え全く違う、何気ない理由で呼ばれたのだとしても)

■「すぐにびっくりする」への対策

危険に対しての安全策を知っておき、備えておくこと。「苦手な人」や「病気」に対しても同様です。

脳科学的に言えば、論理的思考を司る前頭前野を働かせることが、扁桃体の興奮をコントロールすることにつながります。

ただ、HSPの場合は、ほんのちょっとしたことで不意に驚いてしまう場合があります。

まずは「驚きやすい自分を認めること」。境界線が薄いという生まれ持った気質だから仕方ないのだと自覚しておくことが大切です。
また、動悸や不安感を抑えたい場合は、手のツボ「神門」「合谷」を刺激することで、多少気持ちが楽になります。

短所2:人ごみが苦手

沢山の方がいる人ごみなどに行くと、とても疲れます。頭痛や腹痛がおこる人もいるようで、通り過ぎる人それぞれから何かを感じ取ってしまう傾向があります。

2018年8月現在、パニック障害のため療養中で、外出の機会が減ったせいか、スーパーへの買い物でも、すれ違う人の様子がなんとなく気になってしまい、さらに大音量の店内放送に当てられて、めまいに襲われたりします。調子が悪い時はパニック発作に移行することもあります。

買い物の際は、来店客が少ない時間帯を狙い、購入物のリスト(メモ)を握りしめて、できるだけ早く済ませるようにしています。

■「人ごみが苦手」への対策

「そもそも人ごみに行かない」と言えればいいのですが、なかなか難しいものです。

喧騒から意識をそらすために、自分が集中できることに意識を向けることが、境界線を強化するのに有効です。

買い物であれば、メモを手元に持っておくのは不自然ではありません。疲れたらそれに意識を向ける。

また、自分の歩調に合わせて、頭の中で「1,2,1,2,..」とか「右、左、右、左…」と唱えるのもいいです。これは自分の身体感覚に意識を向ける「動的マインドフルネス」の一種だと言えます。

電車やバスなどに乗る時は、可能な限り座席を確保し、なるべく目を閉じて、刺激の量を減らすように意識しています。

短所3:ストレスを溜め込む

感受性の強い人は、人より多くのことを敏感に感じ、受け取ってしまいますが、自分が受けた感情を表に出すことができず、ストレスを溜め込みやすいと言われています。

学生時代はポーカーフェイスと言われ、リアクションの薄さを理由にいじめられていた時期もありました。

刺激の多さに圧倒されると、自分が何をすればいいのか分からなくなるのです。

私が美術の道を選んだのは、自分の感情を表現する手段を得たかったからかもしれません。

長所の一つである「人の気持ちを察する」ことに執着しすぎると、自分の本音がどんどん抑圧されていき、最終的には心を病んでしまいます。

■「ストレスを溜め込む」への対策

端的に言えば、第一回の記事でご紹介したコーピングが有効です。

自分なりのストレス解消法を100個書き出すのは1日では難しいと思いますが、自分とじっくり向き合い、自分をいたわることを意識づけるには有効です。

「ストレス解消、数打ちゃ当たる」くらいの気楽さでいいと思います。

参考:扁桃体の鎮め方についての動画

短所4:疲れやすい

周りの変化や、感情など受け止める物が多ければ多いほど疲れてしまうのは当然です。他人の言葉に敏感な分、自分が発する言葉を相手がどう感じるかについても、深く考えるので疲れてしまいます。
また、失敗を恐れるあまり、とにかく慎重に動くので、考える事が多く、さらに疲れてしまいます。

おそらくHSPの悩みはこの「疲れやすい」ということに集約されるのではないでしょうか。

さらに言えば、心の疲れ、「気疲れ」からくる様々な体の不調を抱えている場合が多いようです。

私も休職前は午前中ですでにクタクタになってしまい、午後からも無理して仕事を続けていると具合が悪くなってきて、やっと仕事を終えて帰ると何もする気が起きない…という日々を過ごしていました。

■「疲れやすい」への対策

たくさんありすぎて書ききれないほどなので、今回はいくつかのポイントにしぼって簡単にご紹介します。

①自覚
まずは自分が疲れやすいことを自覚しておきましょう。HSPは自分の限界を超えて頑張りすぎるのが癖になっていることが多いです。疲れたら休んでいい、と自分に言い聞かせましょう。
休むことが難しい場合は、口角を上げて作り笑いをすることで、脳が楽しいと勘違いして緊張をほぐすことができます。

②食事
精神的な刺激によって消耗しがちな栄養素が、マグネシウム、亜鉛といわれています。豆腐納豆などの大豆製品や、アーモンドくるみなどのナッツ類がオススメです。
また、水分をこまめにとること、カフェインを控えることもよいといわれています。
他にも根菜乳酸菌で腸を整えること、セロトニンメラトニンの原料となるタンパク質を積極的にとることなど、挙げたらキリがありませんので、別の機会に改めてまとめてみたいと思います

③運動
精神的な疲労感は、体のだるさを引き起こしますが、逆に適度な運動によって血行を促進することで軽減することができます。
運動不足だと感じていたら、まずは無理のない範囲で、ストレッチやヨガ、ウォーキングなどを定期的にやってみましょう。
個人的にオススメなのが室内ウォーキングです。部屋の空調を利かせ、スペースと通路をつくり、好きな音楽を流しながらぐるぐると歩き回るというやり方です。6畳程度か、それ以下の広さでも、椅子の周りをぐるぐる歩き回る(たまに逆回転)くらいでもスッキリすると思います。
室内なので、適温の中、人目を気にせず気軽にできます。(ご家族と同居されている場合はあらかじめ説明しておきましょう)

④睡眠
睡眠時間を充分とること(個人差はありますが、7〜9時間)もさることながら、睡眠の質も重要です。快適な寝具、快適な室温・湿度、お好みでアロマテラピーやBGMなど、できるだけ心地よく眠れる環境を整えましょう。
なるべく寝る1時間前までにPC・スマホを済ませ、手の届かないところに置き、目覚ましは別途セットするといいです。
いろいろ工夫しても、なかなか寝付けない、頻繁に目が覚めてしまうという場合は、部屋を暗くして目を閉じて横になっておくだけで睡眠の80%の効果があるといいますので、眠りにつけなくても大丈夫、という気持ちをもっておいた方がいいです。

とにかく、まずは自分をいたわること

人一倍刺激に敏感で、ともすれば周りに気を使いすぎ、なかなか気が休まらないHSPだからこそ、意識的に自分を刺激から切り離して、癒してあげましょう。

「自分はいつも誰かのために体を張ろうとしがちなんだ」と自覚しましょう。

自分は自分。

この世にたった一人の自分。

まずは自分をいたわることから始めましょう。


ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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