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たった7秒、いや0.03秒戻れれば億万長者なのに

なにもギャンブルの話をしているわけじゃない。一等がわかってからレース前に戻れれば稼げるなんて一切思っていない。あまり詳しくないけど多分何らかの法律にも引っかかるだろう。

誰か一人が得することを全力で防ぐ、それが法律というものだ。多分違うけども。

1.国に守られたい

表に出してないだけで、どの国も「タイムスリップ」「瞬間移動」「透明人間」の3大SFロマンテクノロジーの研究を秘密裏に行っていると思う。というのは星新一の読みすぎだろうか。

どう使うかはその国次第だが、この3つのうちどれか1つでも実用化できればなにかしらのメリットがあるはず。と、なれば、「実現に最も近い人間」には多額の研究費用を投じてくれるだろう。

そう、明日の朝起きた僕が、突然0.03秒戻れるようになっていれば。僕は日本、いや、この地球上で最も「タイムスリップ」に近い存在になれる。

2.多くは望まない

もちろんタイムスリップが自由にできるに越したことはない。好きな時間に好きな場所に戻れるようになれば、稼ぎ方なんていくらでも思いつくし、お金以上の面白体験もきっとたくさんできる

ただ、さすがにそれは高望みだ。残念ながらドラえもんの存在しないこの世の中には「叶わない夢」がある。子供が「将来はプリキュアになりたい!」と言っているようなもの。幼き純朴な発言は微笑ましく周りを和ませる効果があるが、これを23歳男性が言っていたら大問題である。別に法的にどうとかではなく、ただただ変。周りから人はいなくなるだろう。

「自由にタイムスリップしたい!」というのは、そういう類の「叶わないし、言うのもバカバカしい夢」に属する。しかし、「0.03秒でいいから戻りたい!」は、なんというか、叶う気がする。

自分が神になった世界を想像してみてほしい。唯一絶対神でも八百万の一端でもなんでもいい。自分に向かって「タイムスリップができるようになりたい」と願っている人と、「0.03秒でいいから戻れるようになりたい」と願っている人がいたら。叶えるのは後者じゃないですか?手っ取り早そうだもの。

3.研究費で食べていく。

「叶いそう」という前提を皆さんと共有したところで、次の段階を考えよう。0.03秒戻れるようになった僕は、なんらかの方法でそれを国に伝える。つくば研究学園都市かなんかに赴き、適当な科学者を捕まえて「ぼく、0.03秒戻れるんですよ」と囁けば、100人に1人くらいは興味を持ってもらえると思う。その特異な科学者がきっと証明方法を考えてくれる。

その後、秘密裏に僕は科学者とともに政府の科学技術イノベーション推進事務局的なところに送られるだろう。そして、「0.03秒タイムスリップできる存在」として研究対象になる。

ここで大事なのは、向こうも、もちろん僕も、「なぜ僕がタイムスリップできるようになったのかわからない」という点である。もし仮に「1日にみかんをたくさん食べた」ことにタイムスリップとの因果が認められたら、政府機関は僕に大量のみかんのみを与え、なんとかタイムスリップ時間を伸ばそうとする。

しかし、なにがタイムスリップを引き起こしたかわからない状態では、とにかく僕そのものに金をかけるしかない。生活を支え、さまざまな食べ物を与え、適度な運動をさせ、健康に保つ。なんせ僕に死なれたら国家の大損失なのだから、丁重にも扱われるだろう。

わかってもらえたでしょうか。0.03秒さえ戻れれば、巨額の投資を受けながら安心安全な生活ができるんです。

1ヶ月後には新社会人。それまでになんとか叶えてほしい。こいつまじで何言ってんだとお思いでしょう。いまにみててくださいね。今年は賽銭多めにいれたんですから。


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