マンゴーの季節がやって来た。
もみじに桜、新緑と、日本には四季折々の風景がある。ここ常夏のミャンマーでは、フルーツで季節の移り変わりを知る。アボガド、苺、ドリアンときて、とうとう、マンゴーの季節がやって来た。乾季もピークを迎える5月、満を持しての登場である。市場には、香り高い黄色い山が広がっている。マンゴーの品種はおよそ80種ほどあるらしく、それぞれ味や大きさも微妙に異なっている。その中でもクイーン of クイーンは、一粒のダイヤモンドと呼ばれるセインタロンだ。
3年ぶりに日本へ一時帰国された方が顔をほころばせて言った。日本はなんでも美味しい。洋食とか、ケーキとか・・たしかに、芸術品ともいえる繊細な飾りつけ、ほろにがさ、甘酸っぱさは、海外のただ甘いスイーツではなかなかお目にかかれない。塩キャラメルなども日本ならではのものだろう。50円のイチゴポッキーでスターになってしまった米国の交換留学を思い出す。五感で味わえる日本のお菓子は、四季折々の国ならではの秀逸さだ。
だがしかし、ことマンゴーにおいては、セインタロンの右に出るものはない。あたりいっぱいに広がる濃厚な香り、甘酸っぱさ、ほろ苦さ、青さなど複雑な味わいがジューシーな果肉と共にいっぱいに拡がっていく。
フルーツは検疫があるため日本にはまだ入っておらず、シンガポールや中国へ輸出されているらしい。いつの日か、日本でもお目にかかりたい。
大家さんからの粋な差し入れは、籠いっぱいのセインタロン。すべすべしたお肌で、おすましして鎮座する様子は可愛いらしく、思わず写真をとってしまう。
スタッフが袋をかかえてやってきた。タクシードライバーさんのお誕生日です。アジアの国では、バースデーの本人がごちそうすることが多い。伝統的な朝ごはんのモヒンガ-をスタッフ全員にふるまってくれるという。魚のだしの効いたスープにバナナの茎が浮かんでいる。ロータスとふきの間くらいのシャキシャキ感でスープとよく合い美味。あっという間にカラになったお弁当箱のお返しにマンゴーを添える。
「ホームタウンから来たから召し上がって!」
事務所の大家さんからもマンゴーが届く。黄色いピンボールのように、思いやりのセインタロンが、あちこち飛び回っている。そろそろ日本から本が届くころ、お礼にマンゴーをつつもう。
3.11の後、ミャンマーから日本にセインタロンが届いた。丁寧につつまれた冷凍のマンゴーピューレはプリンにしても美味で、長い列をつくった糖朝のマンゴープリンがウォータリーに感じられるほどだった。
今日の朝ごはんは、一粒のマンゴー。うす曇りの空を眺めながら、そろそろひと雨降ったらなあーと思っている。
ひこうき雲 Yumi Arai The Concert with old Friends
https://youtu.be/SlXL1A7rrxo
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