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イチゴはすっぱいか?

新春から、苺ばかり食べていた。

それにしても高い。1パック980円とは、ケーキ以上ではないか。私の記憶では398円で止まっている。ブランドではなく、普通のものでよいのだが、燦然と輝くイチゴは一段で680円、もはやお得なのかもわからない。
けれども、一時帰国のご褒美として買う。
冷蔵庫を開けたらつやつやしたイチゴが並んでいる喜び。あー幸せ!今年一年よくがんばった。

 手土産にもイチゴをもっていく。

「食べたかったんだー。」とほころぶ顔たち。日本に住んでいたら、こんなに高いときにわざわざ買わないだろう。さっと洗って出せる一粒は、甘いものより罪悪感なく、団らんも弾んでいく。

 「イチゴ買わなくていいの?」

おぉ~、そうだった。あわててシャンパンとイチゴを。温泉にもいちご、至福のとき。

・・・

ミャンマーのイチゴは2-3万チャット。旬のマンゴーの20倍もする。まだ白いもの、ゴツゴツしたもの、かたちも多種多様。ぜんぶ甘いとは限らない。日本のイチゴは、中までしっかりと赤く、歯触りもよく、白い種は均等に並んでおり、まるで、合羽橋でみつけたようだ。

ヤンゴンのスーパーマーケットには名も知らぬ葉ものがたくさん並んでいる。かろうじて識別できるのは、パクチーと空心菜、あとはスープに入れる馬の蹄という、すっぱい葉ものくらい。今度、知人におしえてもらおう。

その一角に、めずらしく春菊があった。水にたっぷりとさらし、花のつぼみをつまんでいく。水をすった春菊は元気いっぱい、思い思いの方向へ伸びて、シャキシャキしすぎだ。考えてみれば、日本の春菊の葉っぱはいつも柔らかく、判で押したように同じ形であった。

玉ねぎときゅうりは、おままごとのように小さい。日本のサイズなら1コずつあればカレーが完成する。種々雑多な野菜やフルーツにかこまれていたら、日本のスーパーが特殊に思えてきた。


書類を提出すれば、一定期間で手続きは完了。エスカレーターが止まって、歩いて上ることもない。ほぼ想定内、滞りなく進んでいく日本の日常は、知らず知らずのうちに人を打たれ弱くしてしまうのかもしれない。

グローバル人材育成といわれるが、語学でも、社交性でもなく、実のところ、すっぱいイチゴも楽しめる力を養うということなのではないだろうか。通訳もポケトークもあるし、語学はあとで、いくらでも何とでもなる。

今日は朝から、キャンディのような小さなチョコレートが飛び交っている。
「これは○○さんからです。」という。

 旧正月おめでとう!!

 ちがいますよ、バレンタインデーです。可笑しそうに笑っている。そうか、2月のミャンマーは色々ありすぎて、バレンタインデーがかすんでしまうほどだった。

若ものたちは、明日もわからず不安でいっぱいのはずだ。眠れているのだろうか。それでも、チョコを配って、笑い合う。まるで、一期一会を味わうかのように。こうして皆が一堂に集まって仕事ができるのも、限りあるひとときなのだ。

ミャンマーにいる20代は、すっぱいイチゴを楽しむ力をもっている。

さて、日本のわれわれはどうだろう。

今日もビタミンCたっぷりのすっぱいイチゴを楽しもう。ふと思いがけず当たりのような甘さも、また格別なものなのだから。
Happy Valentine’s Day!


Orange Pekoe - Happy Valley

  

 

#多様性を考える #至福のスイーツ #ミャンマー #イチゴ

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