#自由詩
A Poem for a Cup of Coffee
Your words turn into
a cup of coffee today
It warms your frozen fingers
through the white ceramic cup
It goes well with sugar
It goes well with milk
It goes well with cinnamon
and honey glittering go
ヘイズバラの海岸にて
飛行機雲が彗星のように白い尾を引きながら、
2月の澄みきった空を行き交う。
その下で海は見渡す限り
深い藍色を広げている。
スニーカーの足が少し沈みこむほどの
ふかふかな芝を頂く崖の上に立っている。
1年ごとに2mずつ
この海岸は削られていく。
白とグレーのまだらの石を
美しく組み上げた600年前の教会も
かつてよりも海にずっと近くなった。
その足許はすでにもろく不確かだ。
崖の下の波打ち際
高度35,000フィート
海の底に沈む
クジラの全身骨格
のような
山脈が
眼下の
そこかしこに
横たわる
あと2時間もすれば
あかるい夕方の国に
着いてしまうことが
にわかには
信じられない
どこまで
泳いでも
どこまで
進んでも
夜明け前の海
なのではないか
という恐れを
かすかな望みに
変えるとき
高度35,000フィートの深海を
永遠の風景として
再び眠りに落ちゆく
まぶたの
うらに
たたみこむ
(2017年
Après nous le déluge
晴れ渡る空の下を流れる川のほとり
向こう岸の華やかな街を望む見晴らし
遠く時計台の屋根は金色の輝き
かすかに届く祈りの鐘の音の響き
橋桁に寄せるさざ波の穏やかさとは
裏腹なこちら側の岸の騒々しさ
叩き売る輩あれば買い叩く輩
戯作と皮肉が酒の肴、本の商人たちのたまり場
商人たちの売り声は石つぶてよろしく
飛び交ってぶつかりあって窓を震わす
青天井の売上に夜ごと祝杯を挙げるから
潰れた声が紙屑みたい