むらやまちあき

日々の思いや、短いお話などを書いています。 単独公演が終演しました! 公演HP:htt…

むらやまちあき

日々の思いや、短いお話などを書いています。 単独公演が終演しました! 公演HP:https://yumekamoshirenai.jimdosite.com/

マガジン

  • 小鳥が鳴いたと思ったら…

    あったらいいな、と思う小さな世界たちです

  • 夢の話

    実際に見た夢って面白いですよね。私も、自分の見た夢を何度も思い出して笑っているタイプです。

  • 日々のエッセイ

    なんとなく、自分のこと、文章のこと、日々のことについてゆるりと書いたものをまとめております

  • 恋のエッセイ

    恋愛エッセイをまとめております

  • 食のエッセイ

    食にまつわるエッセイをまとめております

最近の記事

最近の日々について

お久しぶりです! とっても久々の投稿になりました。 最近は、演劇の公演準備をしておりました。 2年ほど前から演劇をしており、この度自主公演を開催することになりました。 3月23日(土)、美術作家と企て屋による二人芝居「夢かもしれない」という公演です。 公演HP https://yumekamoshirenai.jimdosite.com/ なんと、ステージナタリーさんに取り上げていただき、その後Yahoo!ニュースにも掲載されました…! 美術作家の長沢郁美さんと、自主

    • 【ショートショート】レモンとおじさん(2)〜はじまりの月夜に〜

      暗い、暗い夜の海 一筋の光が、揺れている その先に、浮かぶのは、月 まんまるく、黄色い光に 見惚れていると、吸い込まれるよ ・ ・ ・ 一隻の、小さな船が海に出た オールを握る、おじさんの手 ゆっくり、ゆっくり、漕ぎ始める 沢山のものと出会い、育み、慈しんできた そうして蓄えたものたちに、ひとつずつ、さよならを告げる、そんな旅 潮が満ちて、引いてゆくように 悲しいことではない 進むことでも、戻ることでもない ただ、そうしなくてはと、おじさんは思った それでも時々

      • 【ショートショート】HOME

         その時私が乗り込んだ電車はずっと昔から走り続けていたようで、長年の煤に覆われていた。  発車時刻を一時間過ぎても予定の電車は一向に来る気配がなかった。日本の端っこに取り残されたようにぽつりと存在する海町なのだから、そんなことは日常茶飯事だろうとも思ったけれど流石に遅い。休日であれば一部の物好きな観光客で賑わうその小さな町も、週のど真ん中の平日では、他の乗客の姿は一人も見当たらなかった。簡素なホームの上にひょろりと生えたようなトタン屋根の下で、冷たい風と交互に通り過ぎていく

        • 【エッセイ】ちょっと疲れてしまった私へ

          私は、何を信じて生きていけばいいのだろう。 ころころと表情を変え続ける私の気持ちに、気まぐれでものを言う心に、疲れてしまった。 何か大切なことを伝えられているような気がしてならない。見逃したことはないか、と少し前の自分を睨みつけるように思い出そうとする。 あの時感じた新鮮さを、繊細な光をまとったときめきを、楽しさを、何度、私は信じようとしただろうか。それらは今、私の頭の隅に、薄く埃をかぶったまま、ぽん、と放り出されている。たまにカタカタと音を鳴らして、動いている、それは

        最近の日々について

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        記事

          noteのクリエイター名について

          さっき、クリエイター名を少し変えました。 「千秋」から、「千秋です」 にしてみました。 なんか、自分のページを見た時に 「千秋!」 ってまぬけな顔で自分が言ってるのを想像してしまって、どうしようもなくそわそわしてしまいました。 そういう時、ありませんか? でも気分屋なので、またすぐ戻すと思いますが… 自分の気分にはできるだけ寄り添ってあげたいなぁと、常日頃思っております。 えっと、今日言いたいのはそれだけです、はい…。 あと、あけましたね。2024年も、元気

          noteのクリエイター名について

          小さな足跡

          不安から、色んなものに手を伸ばしてしまった。 沢山の人の肩を叩き、振り向いて、助けてほしいと願った。 触手のように一旦伸ばした手はもう止まることなく、伸び続けていく。 後になって、何度後悔しただろうか。 何度、私は同じことをしてきただろうか。 そんなことも、嵐が過ぎ去り、全てをひっくり返してしまった後になって、ようやく気づくのだ。 恥ずかしい、またやってしまったと、私は一人、どこか薄暗い場所にしゃがみこんで、悔いている。 冷静になってから、荒れた野原に戻ってみた

          【エッセイ】愛するということ

          今、どれだけその人を思いやれているだろうか。 自分自身を愛さないことで、許さないことで、大切な人を傷つけてしまうなんて、知らなかった。 私は、人と仲良くなることにいつも自信が持てなかった。仲がいい人たちを見ると、魔法を見ているように不思議で、なにか、彼らにしかない特別な能力や、魅力を持っている人たちなのかもしれないと、思っていた。それは友達同士でも、カップルでも、同じだった。人との繋がりを強く求めるあまり、私はその方法を一人で探し、彷徨い続けていた。 知り合いと仲良くなる

          【エッセイ】愛するということ

          【ショートショート】君の秘密

          いつもは私が、待ち合わせ時間に少し遅れて行くから、気づかなかった。 その日はめずらしく、たまたま早めに着いた。 私の家から二つ角を曲がったところの、開けた場所。 待ち合わせ時間を少し過ぎたとき、彼から連絡が来た。 「もう着いてるよ」 彼が通ってくるはずの道で待っていたのに、私が気づかないうちに彼は通り過ぎていたのだろうか。 私の家の前に戻ってみると、彼は年季の入った車の隣で、いつもの色褪せたダウンコートと大きなマフラーに顔を埋めて立っていた。 「あれ?私ずっとあそ

          【ショートショート】君の秘密

          【エッセイ】頭動いちゃうの、とめて

          「面白い話を作りたい」という欲求が二年くらい前に現れて、それからずっと私の隣に居座っています。どうしてなのか分からないけど、書いたこともないのに突然脚本を書きたいと思い、それなら先に演じてみようと、「劇団Clowncrown」に飛び込みました。その時劇団はインプロバイゼーションという、演者がその場の即興で話を作って演じる、という種類の演劇に力を入れ始めた頃で、頭を柔らかくしたい、そして物語を作ってみたいと思っていた私にはぴったりの場所でした。即興の舞台ではアドレナリンが出て、

          【エッセイ】頭動いちゃうの、とめて

          【エッセイ】はじめまして、千秋です

          はじめまして、千秋といいます。 大変今更ですが、ご挨拶みたいなものを書いてみようと思いました。 面白いお店(「隠し味は店主のツンデレ」)に出会ってから、ふとエッセイを書いてみようと思ったのをきっかけに、noteを始めてみました。 それからある人との出会いで、自分がいつも頭の中で妄想しているようなおかしな世界を、文章にしてみたらどうなるんだろうと思い、創作話のようなものを書き始めました。 その時は「ショートショート」というジャンルがあることを知らず、こんなに短くてよく分

          【エッセイ】はじめまして、千秋です

          【エッセイ】彼、彼、彼

          別れた直後は、彼のことしか考えられなかった。 でも今は、二人で買った鍋とか、トマトの苗とか、大きなビーズクッションとか、あれどうしたのかな、今でも使ってるのかな、と気になってしまう。別れる直前に誕生日を迎えた彼にあげたサンダルは?履いているのだろうか。彼のことだから、靴箱の奥の方にどうしたらいいか分からず、しまっているかもしれない。 思い出を振り返ると、切なく苦い気持ちになるのに、写真の中の私はとても楽しそうに笑っている。今思い返すと沢山の疑念が浮かぶけど、当時の私はただ愛

          【エッセイ】彼、彼、彼

          【エッセイ】あゝお酒

          生きた心地がしなかった。なんでかって、お酒が美味しくなくなったのだ。 大学時代、部活の練習に明け暮れていたときも、身を削るような気持ちで毎日会社に勤めていたときも、私はとにかく、お酒が好きだった。 職場を離れてフリーランスで生きていくと決めてから数ヶ月、私は「人生の猫期」と題してぼんやりと生きてみた。 なんとなく走る気分になれなかったし、走れる気もしなかった。フリーランスの駆け出しなんて、頬を高揚させて意気揚々とクラウチングスタートを決める時なのに、私はスタートラインに寝そ

          【エッセイ】あゝお酒

          【エッセイ(のようなもの)】猫

          足の裏をそっと、猫の背中に当ててみた。 ふわふわふわふわふわふわ。 そのままちょっと撫でてから、足をもう少し奥に入れてみる。 あったかい。 あったかくて、皮膚の下の筋肉とか骨の感じがじんわりと伝わってきて、どきっとする。 そしたら猫が、もそもそって動いて、 ああ、生きてる、って思う。 それで尻尾をベッドにぺしんって下ろしたから、 あ、怒ってる、って思う。 私はそっと足を引っ込める。 猫がベッドから降りていってしまわないように。 すうすうと静かな寝息がまた聞こえ

          【エッセイ(のようなもの)】猫

          【ショートショート】玉ねぎとおじさん

          ある日の夕方、肉じゃがを作ろうと思った。 駅前のスーパーの入り口に、じゃがいもと玉ねぎがたくさん、緑色のケースから溢れそうなほどたくさん積み上げられていて、一つ四十三円。どれもツヤツヤしていて良いものだったので、じゃがいも三つと玉ねぎを二つ買った。二百十五円。 つやっとまるい玉ねぎの皮をむき、半分に切ると、中から小さなおじさんが出てきた。玉ねぎの芯の部分に親指姫のように包まれていた。この前はテレビの配線で遊んでいたけど、そのおじさんとは別人のようだ。 おじさんは昼寝中だ

          【ショートショート】玉ねぎとおじさん

          【ショートショート】土星にいる男

          こんなことを続けてもう何年だ。 私は旅に出たつもりが、気がついたら土星の輪の上を走っている。なぜか地球で愛用していたフェラーリも隣で並走している。そして今気がついたのだが、裸足だ。 不思議なことに疲れを感じない、疲れを感じないので走り続けている。走るのをやめてもやることがなくなる気がするから、だからしょうがなくでもないが、とにかく今は走り続けている。 近くに時計がないので、時間がわからない。そういえばカレンダーもないので、日付も分からない。 ただ私が疲れておらず、フェラ

          【ショートショート】土星にいる男

          【ショートショート】レモンとおじさん〜連なり、生まれる〜

          おじさんが連なっている。 よく見ると、おじさんとおじさんの間にレモンが浮いている。 おじさんが前にスッと腕を上げると、手に取れるくらいの位置に。 レモンとおじさんは、程よい距離を保っている。 おじさんの連なりは、住宅街の中をゆっくりと進んでいる。 車が前を横切ろうとすれば立ち止まり、ベビーカーを押した女性が前から歩いてきたら、少しずれて、全員で道を譲った。 どういう具合でレモンが発生するのか、どういう経緯であの連なりは生まれるのか、気になって様子を見ていた。 す

          【ショートショート】レモンとおじさん〜連なり、生まれる〜