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駆け出しエンジニアを挫折させる方法(あとがき)
※こちらはあとがきです。
本編が未読の方は先にこちらをお読みいただけると幸いです。
「駆け出しエンジニアを挫折させる方法」をお読みいただきましてありがとうございました。
初noteだった為、「1記事3桁PV、全体で4桁いけば結構良いのかな?」くらいに思っていたのですが、気付いたら10倍以上の方に見ていただいて驚いております。またTwitter等でもたくさんご感想いただけて嬉しかったです。
今更になってしまったのですが、本編で触れきれなかった部分について少し補足できればと思います。
Tさん&Oさんについて
私の表現が悪く、ちゃんとお二人のことをお伝えしきれてなかったのですが、私から見てのお二人は、とても仕事ができ、お客様からの信頼も厚いという印象でした。
前職で担当していた仕事をそのまま個人で引き受けられているというのがその証拠だと思います。この業界にいるなら知らない人はいないのではないかというレベルの大きな会社さんの案件も持っていました。
ただお客さんや目上の方に対してはとても懇切丁寧ではありましたが、目下の人間にはとても雑な扱い・言葉遣いをしていたように思います。(まぁこういうタイプの方はよくいらっしゃいますよね…。)
けれど、とても可愛がっていただいたとも思っています。
たくさん食事や飲みに連れて行っていただき、ご馳走にもなりました。
たまにお説教になることもありましたが、お二人の昔のお仕事の話は聞いていて面白かったですし、「こういう場を使って優秀な方に技術の質問をしたり、お客さんの困っていることを聞き出して仕事に繋げるんだよ」といった教えはその後、他社の方と仕事をしていく上で非常に役立ちました。
そんなに可愛がってもらっていたのにあのような結果になってしまったのは、後述しますが、やはり当時の私の至らなさによるのでしょう。
「もう降りられない」発言について
多分最も反響が大きかったこの発言(笑)
私も言われた時「そんなこと言っちゃう!?」って衝撃を受けたので、特に鮮明に残っています。
お二人の元を離れた後、ある教育系の本を読む機会があったのですが、その中にこんな一文がありました。(手元に無いのでうろ覚え…)
相手のレベルに立てなくなった人は教育者としての賞味期限は切れている
賞味期限切れだか失格だかは忘れましたがそういった話でした。
仕事はすごくできる人達でしたが、もともと教えるのは得意じゃない方達なのだろうなぁとは感じていました。
ただ、それはお二人もまた良い教え方をされずに育てられた結果なのかもしれません。
6話の頃のように、お二人の口から「イヤミかな?」と思えるようなことを言われることがしばしばありました。それはお二人が抱えてる大きなコンプレックスのようなものに起因するのではと考えていました。
恐らく…本当に推測になるのですが、
お二人もまた、否定し劣等感を植え付けて育てるという教育、またその教育を是としていた時代の被害者だったのかなと思うのです。
また同じ本にこのような内容もありました。
説明を省きたいときは、自分が疲れていると考える
推し量ってくださった方もいましたが、お二人とも個人事業主でご多忙な方でした。指導に割けるリソースが元々あまり無い中、付き合いの長い社長の依頼で引き受けてくださったのでした。
私も当時から比較すると多少は成長したのでわかりますが、教えることってかなり大きなエネルギーを使います。片手間でうまくできることでもないんですよね。
そう考えると、あのような教え方になってしまったのは致し方ない…というか、むしろ教えていただけるだけありがたかったのかもしれません。
私の一番の過ち
私に対しての苦言もいただきました。
「自分で考えられないなんてエンジニアに向かない」と。
開き直りではないですが、事実、私はエンジニアには向いていないタイプだと思いますし、当時の私の思考は褒められたものではありませんでした。
最初の就職活動の時点で「自分には選択権がない」ということを知ってから、私を受け入れてくれる会社ならどこでも良いと思っていました。
そこで社長に「開発エンジニアになってくれ」と言われますが、私から見て開発エンジニアの道は言葉通り社長から頼まれた道でした。
そして頼んできたからには会社がサポートしてくれるだろう、教えてくれる環境は用意してくれるのだろうと完全に受身で考えてしまっていたのです。
会社にやれって言われたから仕方なくやってる
ふざけてるかもしれませんが、これが当時の私の考えでした。
会社に頼まれた結果、他の社員と別々の道を歩むことになりました。社内の誰と話しても同じ悩みを分かち合えない。私が苦しいのは会社のせいだって思ってたこともあります。
けれど、社長からの頼みを「引き受ける」って決めた時点で
それは自分で選んだ道になっていたんですよね。
そんな簡単なことを見落として、私は私の意志でこの道を選んだという覚悟を持っていなかったからこんな失敗をしたのだと思います。
その覚悟を持っていれば、お二人に教えてもらうことを当たり前と考えず、もう少し自分でなんとかする方法を考えたのかな…とは思ったりします。
(考えてもやっぱりわからないものはわからなかった可能性も高いですが)
失敗のアウトプットは想像以上に勇気がいる
ここから先は記事を書いてみて感じたことになります。
挫折談。失敗体験。
これめちゃめちゃ書くのしんどいですね。恥ずかしい。
自分で良くなかったと思っているから、書きながら過去の自分をぶん殴りに行きたくなる。…で、今はそんな考え方をしていないけれど、やはり当時の自分に対しての批判はくる。仕方ないんですけどね(笑)
組織の心理的安全性はよく言われますけど、社会的な心理的安全性ってまず無いですよね。
就職も転職も求められるのは大抵実績・成功体験ばかり。
たまに失敗体験も聞かれたりするけれど、話す内容を選ばないといけないのが現実だと思います。
多分このあたりはそれだけでまた1記事書けると思うんでこれ以上は書きませんが。
挫折記事を表に出して一番驚いたのは、
「自分も同じような経験をした」という声がたくさん来たことでした。
「ねぇ、みんな一体どこに隠れてたの?」ってくらいに。
実際に隠れるしかなかったんだと思います。
否定され続けた自分はダメで仕事ができない人間なのだと。
そのことを周囲の人に知られたらどう思われるのか。
同じ業界の人は自分と一緒に仕事をしたいなんて思わないだろう。軽蔑されるだろう。
そう思う人がほとんどなのだと思います。
でも私と一緒に「つらかった」って声をあげてくれて本当にありがとう。
私は、私達は確かに当時はダメだったのかもしれない。
上手なやり方がわからなかった。
最初から上手にやれる人もいるけれど、そうじゃない人もいる。
これに関しては才能とかじゃなくて、人生のどこでその方法に気付けるか、
あるいは良き先輩に教えてもらえるかだと思います。
本当にそれだけの差。
それだけの差だけど、同じような想いをした人がこんなにいた。
それを知れただけでこの体験を書いた意味はあったのかな、と思いました。
いつかフィクションに
本当はこの体験談は多くの人に笑い飛ばしてほしかったです。
「こんなこと本当にあるのかよww」って言ってもらえたら良かったです。残念ながらそうはなりませんでしたが。
無数に届いた「自分もそうだった」という声。
でもその中には
「自分もそうだった。だからこのくらいは甘え。もっと苦労しろ。」
といった声はほとんどありませんでした。
個人的に、これはとてもすごいことだと思うのです。
「自分が苦労したから後輩も苦労するべきだ」という考えを持つ人はどこに行っても少なからずいるものです。
そうやってどこの界隈でも負の連鎖が断ち切れずにいます。
だけどそれがほとんどなかった。
きっと声をあげてくださった方達は、自分がされたことが良くない育て方だったこと、同じような経験は他者にさせてはいけないということを理解されているのだと思います。
自分がされて嬉しかったことは、ほかの人にもしてあげよう。
自分がされて悲しかったことは、ほかの人には絶対しない。
なんてことない、ただそれだけ。
それだけで、いつかこの話がフィクションだと笑える時代に変えていける。
そんな希望を持つことができました。
挫折した駆け出しエンジニアのその後(2019/09更新)
最後になりますが、その後の話と近況を。
このSES企業は3年ほど働いて退職し、その後スタートアップで半年間働き、2019年9月現在、転職活動をしております。(無事に決まりそうです)
こんなダメダメで、当時転職において選択権の無かった私ですが、今では転職活動宣言したら驚くほど多くの会社さんから声を掛けていただけるようになりました。
中にはこの記事を読んで声を掛けてくださった会社さんもあったのですが…本当にそれでいいのですか?(笑)
まだまだ至らない所はあるにしても、エンジニアとして必要としてもらえるようになったこと、これは自分としては非常に感慨深いものです。
今もこれからもエンジニアを続けられることを本当に嬉しく思います。
また、1話の最後でも触れましたが、「TechCommit」というプログラミング学習コミュニティのお手伝いもしております。
私自身、駆け出し時代にこのような経験をしたことから、同じような想いをする方を少しでも減らしたいと思い、微力ながらお力添えをさせていただいております。
学習仲間、良い先輩に出会えるかというのは、エンジニアとしての成長を左右するものだと思います。
私はなかなか出会えないまま長い時間を過ごしてしまいましたが、こういったコミュニティがあったら折れずに済んでたかもしれないですし、何かおかしいということに気づけてたかもしれません。結果論ですが。
複数のコミュニティに所属すると精神が安定するとも言いますしね。
駆け出しエンジニアやエンジニア目指す方、現役エンジニアが良い感じに集まっているので、もしよろしければ覗いてみてください。
と、露骨な宣伝で終わるのもアレですが(笑)
挫折した駆け出しエンジニアは今も楽しくエンジニアをやっております。
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