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鶏むね肉の操り方

本日は鶏むね肉のお話です。

家庭で火を入れるとパサつくリスクが高い鶏むね肉

今回紹介するブライン液(ソミュール液)を使って、誰でも簡単に鶏むね肉をしっとりジューシーに作れる方法を紹介します。

ブライン液については前回記事【ローストチキンの真実】で少しだけ触れましたが、今回詳しく解説させていただくと同時に、フレンチのレストランではどのようにして鶏むね肉を火入れしているのか解説させていただきます。

まずブライン液とは塩を溶かした水のことを指す言葉です。

塩水、または塩水に漬けるという意味を持ちます。欧米では、肉類を保存するための手段の1つです。塩が肉のタンパク質を分解することで中に水分が入り肉を柔らかくします。塩は肉に入った水分を閉じ込める作用があるためジューシーさも維持できます。

ブライン液の作り方はとても簡単です。

冷水に塩を入れてよく混ぜて溶かすだけ。砂糖も加えて砂糖の持つ保水性を利用するレシピもありますが、基本は水と塩のみで作ることができます。
(砂糖の持つ強い保水性がタンパク質と結びつき、タンパク質を柔らかくしてくれる。決して甘みを加えるためではありません)

ニンニクやレモンの皮、タイムなどのハーブもブライン液に加えて香りを肉自体に移すことも可能です。

ブライン液の材料と分量は以下のとおりです。作りやすい分量を紹介いたします。

✅【ブライン液の材料・分量】
水   500g
塩    25g(水に対して5%)
*砂糖を加える場合も塩同様に水の総量に対し5%の砂糖を加えるます。上記のレシピならば25g

お肉をブライン液に漬けてから効果が出てくるために最低2時間〜3時間マリネする必要があります。よりしっとりさらさらせるためには一晩(12時間)はマリネすることをオススメします。

このブライン液は鶏むね肉以外にも、鶏もも肉・豚肉などの白身のお肉で完全に火を入れる肉質に向いています。牛肉や羊肉のようにレアやミディアム・レアなどの加熱調理で食べられる赤身のお肉には、肉本来の柔らかさや肉汁の風味を損なうので不向きだと個人的には思います。

お肉の厚みによってマリネする時間は異なってくるので鶏むね肉のような厚みが3〜4cmの肉の厚みがある方が味わいの変化を実感できます。

ブライン液のから取り出したら、しっかり水分を拭き取ってから通常通りフライパンなどで加熱調理をしてください。

鶏むね肉の調理法による、メリット・デメリット

続いてフレンチのレストランではどのようにして鶏むね肉に火を入れているかお話します。(細かい加熱時間や温度は割愛します。次回の記事以降、少しずつ詳しく鶏むね肉の火入れの仕方を説明させていただきます)

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ここでは大きく分けて4つの方法を紹介。

それぞれの【メリット:A】・【デメリット:B】を添えながら説明します。(前提として下味は塩のみ、皮付き、仕上がりの形は写真と同じ盛り付けを前提として)


胸肉が骨についている状態からオーブンで火を入れる。(もも肉は取り外している状態)


A:骨がついていることで肉質の焼き縮みが抑えられ、肉本来の食感・風味と肉汁の旨味を味える。

B:肉を焼く人の経験とセンスが問われます。調理時間が長く火入れ前に常温に戻しておく必要がある。火入れの見極めが難しい。

胸肉が骨から外れた状態

A:下準備と調理時間が短く済む

B:焼き縮みのリスクと均一に火を入れるのが難しい

真空袋に入れて低温調理してから焼き色をつけて温め直す


A:常に一定の火入れと食感を提供できる。一度に大量に下準備が可能。ぱさつくリスクが極めて少ない。調理経験やセンスの有無を問わない。

B:低温調理に時間を要する。温度管理、食中毒対策の知識が必要。

ブライン液に漬けてから調理する


A:特別な調理器具がなくても、しっとり・ジューシーに仕上がり、肉の内側まで味がしっかり馴染む。ぱさつくリスクが少なく冷めてからも美味しく食べられる

B:下準備の手順は少ないがブライン液につけている時間が長い。


YouTuber動画内で紹介している鶏むね肉の調理法は④のブライン液にマリネしてから加熱調理する方法です。家庭でも手軽にできて、なおかつ胸肉の仕上がりもレストランで調理されるように、しっとりと仕上げられる調理法である事を紹介したかったからです。

ただここで料理人の方に特に知ってもらいたいのは、目指すべき食材の仕上がりと味わいがしっかり見えているかが問われます。

全てのレストラン・料理人がその対象ではありませんが、良質な食材の状態や特徴を活かすのであれば、むしろ今回紹介したブライン液を使っての調理法は適していないと思います。

本来ブライン液に浸して調理するお肉は、肉の品質にあまり特徴が見られない食材の味わい・風味を高めたり、保存性を上げる目的として使われる手法でもあります。

つまり鶏肉の王様として名高いフランスのブレス鶏のような、本来持ち合わせている肉質の歯切れの良さや良質な脂の風味、旨みたっぷりの肉汁を味あわせてくれる鶏肉などにブライン液を使用することは好ましくありません。

🔽ブレス鶏について少し触れて書いた記事はこちらから

今回のブライン液を使用した調理法は、必ずしも鶏むね肉をしっとり・ジューシーにするために選択するべき調理法とは限りません。

作り手の【目指したい目的の手段の一つ】としてとらえていただけると、調理法の選択枠や食材に対しての目利きもできてくると思います。

YouTube動画で今回紹介した、ブライン液と調理工程を紹介しています

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Chef ichi

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