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【第2話】村山美澄、もう一人の私との共同生活を始める~もう一人の私との出会い~


 なんだか満たされない毎日を送る村山美澄(27)。
日々の些細なストレスを抱え生活するうちに
自分の姿をした幻覚が見えるようになってしまう。

「私の幻覚」は美澄の心の声そのものだと言い、
美澄が自分らしい人生を生きれるよう共同生活を始めることに。

どんな時も側にいて理解してくれる存在と暮らす中で、
美澄の毎日が少しずつ変化していく。


これまでのお話


私の姿をした幻覚

そこには私と同じ姿をした、というより私がいた。目の前で起きていることが信じられず凝視したまま私は固まる。

「本当外の世界に振り回されて嫌になっちゃうよね!」
「…」
「驚いてるよね!自分と同じ姿の人物が目の前に現れたらそれも無理ないね!」
「…誰ですか?」
「嫌だな!敬語なんて使わなくていいんだよ?だって私はあなたなんだなら!簡単には説明すると、誰にも吐き出せないあなたの悩みやモヤモヤ。それは外の世界と生きていく限り一生なくなることはない。でもね、そのわだかまりを中の世界で抱え込んだままだと中の世界と外の世界の境界がなくなって、あなただけの世界が消えてしまうんだよ!よく日曜日になるとサザエさん症候群になる人沢山いるでしょ?あれが良い例で、私たちが普段接する外の世界が仕事という形であるんだけど、曜日っていう機能で外の世界と境を作っている。でもその機能で制御が効かず中の世界を侵略するの。それは‘’あなた‘’を守る上で良くなくて、だから私は私を守るためにあなたから分離したの」
「…幻覚幻聴?」
「アハハハ、まあ…そうとも言うかな。私はあなたの中の世界。だから私が発する言葉は全てあなたが素直に感じることだし、あなたの望むものなんだよ!」
「…はい…」
「どーしたらいいか分からないよね!大丈夫、私は他の人には見えないし、いつでも100%あなたのことを理解してる話し相手と思ってくれればいいよ!日々感じたこと溜めていること、全て吐き出していいんだよ!それがあなたの中の世界を守ることになるからね!」
「どーしよ。。病院行かないとかな。。」
「精神科かー。まあそれで自分の状況を確認して安心したいね!明日一緒にいこうか!」



私は私と同じ姿をした幻覚から目をそらし、話しかけることもなく眠りについた。それ以降、私も私に話しかけてくることはなく静かにクローゼットの前で目を閉じていた。
私はいったいどうしたのだろうか。。




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