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段ボールに入れられた0歳児――批判の前に知るべき事実

手足口病の0歳児を 段ボールに入れて隔離:  福岡市の認可保育園で起きた事例


福岡市の認可保育園で、手足口病にかかった0歳児を段ボールに入れて隔離したというニュースが報じられました。福岡市はこれを「不適切な保育」とし、口頭で注意したとしています。


この報道に対し、Twitter上では次のような反応が見られました。

• 保育園は悪くない
• 手足口病の子を預けるなんて非常識
• 親は産んだ責任がある
• 段ボールに入れるなんてひどい
• 他の園児にうつらなくて良かった
• 0歳児に感情移入しすぎ
• 保育士の人手不足だったのか

これらの意見を見て感じたことは、多くの人が状況の一面だけを見て判断し、すぐに誰かを批判しているということです。

『知らない』ことが引き起こす批判


人が他者を悪く言う時、そこにはある共通点があるように思います。それは『知らない』ことです。このケースでは、ニュースで報道された断片的な情報をもとに「悪者」を決めつけ、批判しているように感じます。
しかし、実際にはマスコミが報じた情報だけで「悪者」を見つけることはできません。

手足口病の登園基準


多くの人が手足口病の親に対して「非常識だ」「産んだ責任を果たしていない」といった批判をしていますが、これには重要な背景情報が抜けています。
厚生労働省の「保育所における感染症対策ガイドライン」では、手足口病に感染した子どもが登園を再開できる基準が定められています。その目安は「発熱や口内の潰瘍が治まり、普通に食事がとれること」とされています。

つまり、
手足に発疹が残っていても
登園は可能
なのです。

手足の発疹自体から感染するケースはまれで、主な感染経路は喉や唾液からの飛沫感染です。こうした情報が知られていれば、批判的な意見も変わったのではないでしょうか。

また、この時は発症し始めていたのか、それとも医師からの登園許可が出ていたけれど、急変したのか。記事からは、症状の経過はわかりません。

親の気持ちと現実

また、親が子どもを保育園に預ける背景には、私たちが簡単には想像できない事情があります。手足口病にかかった子どもを預けた親も、できることなら家で面倒を見たいと思ったかもしれません。しかし、長期間の休暇を取ることが難しい職場環境であれば、やむを得ず預けるしかなかったのではないでしょうか。

「産んだ責任」という言葉は、一見正論のように聞こえますが、実際にはその背景にある親の苦悩や選択肢の限られた現実を無視している発言とも言えます。

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