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フランス留学を経て感じた日本人意識と挫折経験



インタビューした方

鈴木光悠さん

早稲田大学卒業後、日本IBMに入社。
数年間働いたのちに独立。現在は株式会社Sphiaの代表として、データ分析の会社を経営。主な業務内容は、医療系のデータ分析と組織の業務効率を上げるアプリケーション開発。

フランス留学での挫折経験

ーーフランス留学の響きだけ聞くとキラキラしてますが、思い出などを教えてください。

フランス留学は結構挫折が多かったです。

フランスではたくさん移民を受け入れた経緯があるので、「フランス語を喋れること」がフランス人の証明みたいな部分があります。

逆にいえば、フランス語を正しく話すことができれば、他の違いが多少あってもフランス人だと思われます。

フランス語は第2外国語で学びましたが、周りの留学生と比べれば全然でした。

ちょっとは頭いいと思ってたけど、周りには頭が良くて要領が良い人がめちゃくちゃいっぱいいて、「自分は何もできないんだ」と絶望してました。


明治維新とアイデンティティクライシス

※アイデンティティクライシス
自己喪失した状態。目的や存在意義などを見失い混乱した状況にあること

当時、明治維新に関する本を読んでいたんですが、日本も昔はきっとそうだったんだろうなと思いました。

鎖国し国内に閉じこもって、海外と触れ合う経験がない。「日本人とは何か」なんて考えたこともなかった。

でも外国と関わったことによって、「何にもできない」と自覚して、そこで初めて「日本とは何か」を考えて発展してきた国なんだなと思います。

海を経て断絶されてる日本は、良くも悪くも自分が何者か考えなくてもいい国なのかもしれません。

ーー留学に行ってよかったですか?

本当に行ってよかったと思います。

アイデンティティクライシスを経験して、自分はどう考えても日本人だって思えたので。

フランスもいい国ですが、心の底から日本はいい国だと思いました。

途上国支援を現地でやって感じたこと

ーーフランス留学以外にも、途上国支援もやっていたと伺いましたが。

学生時代に海外ボランティアみたいなのをやっていて、東南アジアに行きました。

マレーシアには国籍がない子供たちがいます。マレーシアとフィリピンの国境に住んでて、元々どっちつかずで住んでた人たちが、どっちの国民でもないとなってしまってしまっている。

そういう子たちは学校教育が受けられないので、そこに向けた教育支援みたいなものをやっていました。

ーーボランティアをやってみてどうでしたか?

「何もできねえ」というのが自分個人としての率直な感想です。

現地には、すでに根付いた支援をしている方がいて、日々真剣に人と向き合っている。

ただの大学生が行ってもそう簡単に特別なことはできない。なんなら僕の方がこどもに元気づけられてました。

そこには、助ける立場になりたかったというエゴもあったかもしれません。そもそも自分は何をしたいんだっけ?と考えるきっかけになりました。

お金を与えることは支援か

ーーボランティアや人的支援をするなら、直接現地にお金を渡した方がいいのでは?という意見をどう思いますか?

「なぜお金をあげるのか」が大事です。

「かわいそうだから」を理由にして資金援助すると、支援される側は「かわいそう」な方が都合がよくなってしまう。

知り合いだから、その地域が大事だから。そんな理由で活動してる人たちこそが、本当に必要なものがわかってる。

そういう人達からの支援の方が現地の人は嬉しいし、そういう活動者にお金が行くようにすれば、より意味があるんじゃないかと思います。

物理的な豊かさと精神的な豊かさ

ーーフランスの留学経験もあって、途上国の支援ボランティアの経験もある光悠さんから見て、日本はどういうふうに映りますか?

なんだかんだ言っても、日本は経済的に豊かだなと思います。

大学時代、フィリピンのミンダナオという、紛争が発生していたこともある地域に滞在しました。

そこで現地の方の家に泊まらせてもらったことがあるのですが、一時的に体調を崩してしまいました。

日本では病院に行けばすむ話ですが、なにぶんジャングルの中だったのでそうもいかず、結構大変でした。

一方で、ミンダナオにいる間は本当に幸せで楽しかった。必ずしも便利じゃないけど、一体感があるというか、寂しさは感じませんでした。

豊かさを否定するわけでも、コミュニティの良さを否定するわけでもない。両方ともに良さがあるので、両方ある社会を目指すべきだと思います。

→豊かな日本で死なないためのアイデンティティ確立方法

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