Amazon Prime Videoで観られるオススメ映画10選
おはようございます、チェ・ブンブンです。
新型コロナウイルスの蔓延により、イタリアだけでなくフランスでも生活に必要な最低限の店以外営業停止処分となりました。日本の場合、東京五輪がかかっているためか、また病気でも会社に通勤するストイックな国民性故にそういったことは行われないとは思いますが、今や映画館ではなんでもかんでも公開延期となり観たい映画がなくなってしまっています。
こういう時こそ、Netflixやhulu等のサブスクリプション、VODで文化的活動をするチャンスです。とはいっても、こういったサイトは作品が膨大にありすぎて、何を観ようか選ぶのに迷ってしまうものです。
今回は、Amazon Prime Videoで観られる作品の中でブンブンオススメの映画を10本紹介していきます。貴方の文化活動に貢献できればと思います。
タイトルクリックすると、Amazon Prime Videoのページに飛びます。
1.仮面/ペルソナ(Persona,1966)
監督:イングマール・ベルイマン
出演:ビビ・アンデショーン、リヴ・ウルマンetc
Amazon Prime VideoはNetflixと比べると操作性の悪さが際立ってしまっているのですが、AmazonはU-NEXT同様映画のサブスクリプションで問題となってくる「昔の映画の軽視」に積極的に立ち向かっている特徴があります。2019年3月15日現在、イングマール・ベルイマンの『叫びとささやき』、『魔術師』、そして『仮面/ペルソナ』が配信されています。
この中で私が強くオススメしたいのは、『仮面/ペルソナ』です。失語症の女性に看護師が一生懸命話しかけていくうちに、2人が超融合していく斬新な作品でありますが、『ファイト・クラブ』や『マルホランド・ドライブ』といった有名作品に影響を与えている作品です。
意外と、日本映画でも似たような作品が存在し、吹奏楽部の陰と陽が対話を通じて心を通わせていく『リズと青い鳥』、SMの関係を通じて己の苦しみを癒しあっていく様子を描いた『性の劇薬』が好きな人であれば刺さること間違いありません。
2.オルフェ(Orphée,1950)
監督:ジャン・コクトー
出演:ジャン・マレー、マリア・カザレス、フランソワ・ペリエetc
ジャン・コクトーといえば『恐るべき子供たち』で有名な小説家のイメージがどうしても強くなってしまうのですが、変な映画を撮る監督として注目していただきたい。『美女と野獣』では、ディズニーアニメで豪華絢爛可愛らしく動き回る食器や家具を、人力で動かしているのですが、その苦労が不気味さを増幅させておりどうかしています。
さて、ジャン・コクトーといえば『オルフェ』にも着目していただきたい。死んだ妻を取り戻す為、鏡の世界を通じて冥界へ行くという内容で、逆再生やヌルヌル動く鏡の演出。冥界での浮遊感溢れる映像が観る者を虜にします。そして、何よりも「決して後ろを向いて妻を観てはいけない」という制約の魅せ方が面白い。椅子に座ったり、お話ししたりと何気ない動作でうっかり妻を観てしまいそうになるハラハラドキドキ感がたまりません。
『千と千尋の神隠し』のラスト「決して後ろを振り返ってはいけない。」演出のルーツがここに繋がっていると言えます。
3.すばらしき映画音楽たち(Score: A Film Music Documentary,2016)
監督:マット・シュレイダー
貴方は映画を映像で観ますか?それとも音楽で観ますか?
私は、結構映像で観るタイプなのですが、それでも映画音楽の魅力を1000%引き出したこのドキュメンタリーを観ると、ワクワクドキドキしてきます。ハンス・ジマーやダニー・エルフマン、ジョン・ウィリアムズが丁寧に丁寧に映画を盛り上げる音を模索していく様は圧巻です。
そしてハンス・ジマーのような天才でも、「重圧に耐えきらないとき、マジで『ジョン・ウィリアムズにお願いして』と言おうと思った」といった弱音を吐いてしまう意外な側面を観られたりするので、驚きと興奮に満ち溢れた体験ができる一本です。
4.5パーセントの奇跡 〜嘘から始まる素敵な人生〜(Mein Blind Date mit dem Leben,2017)
監督:マルク・ローテムント
出演:コスティア・ウルマン、ヤコブ・マッチェンツ、アンナ・マリア・ミューエetc
目がほとんど見えないにもかかわらず、一流のホテルマンになりたい一心で、ホテルに潜入した男の実話を描いた作品。本作を観ると、日頃会社で理不尽に巻き込まれたり、先輩・上司に怒られフラストレーションが溜まっている悩めるサラリーマンは元気をもらうことでしょう。
観客は、主人公が目が見えないことを知っている。共犯関係になりながら、彼のホテル潜入修行の行く末を見守ります。しかも主人公は、守りに入ることなく常に攻めの姿勢で、なんなら恋愛にまで身を投じようとする。
それ故に5分ごとに修羅場が押し寄せます。
実話ものでありながらも、エンターテイメントとして一流のおもてなしで観る者を迎え入れてくれる本作は楽しい時間を過ごせることとなるでしょう。
5.ブランカとギター弾き(Blanka,2015)
監督:長谷井宏紀
出演:Cydel Gabutero, Peter Millari etc
写真家の長谷井宏紀がイタリア資本、全編フィリピンロケで制作し日本人初のヴェネツィア国際映画祭ソッリーゾ・ディベルソ賞(孤立した個人を社会が受け入れることの大切さを描いた映画と監督に贈られる賞)を受賞した作品だ。
孤児である少女が盲目のギター弾きと協力して母親をお金で買おうとする話。フィリピン映画というとブリランテ・メンドーサといった激しいタッチ、ネオリアリズモ的辛辣さでフィリピン社会の貧しさを描きがちだ。それだけに本作は少し寓話的過ぎるのかもしれませんが、少女とおじいさんが愚直に知恵を絞って夢を叶えるべくお金を稼いで行く様は琴線に触れるものがあります。
それでもって感動ポルノのような貧困を消費コンテンツとしてクリシェを並べていくだけの作品になっていないところが素敵な作品です。
6.デス・バレット(Let the Corpses Tan,2017)
監督:エレーヌ・カテト、ブルーノ・フォルザーニ
出演:エリナ・レーヴェンソン、ステファーヌ・フェラーラ、マルク・バルベetc
クエンティン・タランティーノが絶賛したと言われる、フランスのB級アクション映画。暴力とエロスが渦巻く70年代アクション映画を彷彿させる作品で、暑苦しく執拗にクローズアップされる銃口と顔に圧倒されます。
そして、何よりも映画が進んでいくうちに、本作は物語ることを放棄し始め、裸体に金のエキスを塗りたくり、鮮血のイメージを並べることに傾倒していきます。
よく分からないし、ダサいのだが、それがカッコいい。一度観たら忘れることのできない本作は、お酒を呑みながらゆるく観ると楽しめることでしょう。
7.ふるさと(1983)
監督:神山征二郎
出演:加藤嘉、長門裕之(沢村アキヲ)、樫山文枝etc
Amazon Prime Videoは忘れられた邦画も沢山配信していて、古い映画に疎い私に助かるラインナップとなっています。
その中でも『ふるさと』はオススメだ。
ダム建設により消滅しつつある村の人々を捉えた群像劇で、子ども、大人、そしてお爺さんの目線で物語られます。小学校の授業中に、親がダム関係者だということでクラスメイトと論争になる様のヒリヒリした様子。そしてノスタルジックで美しい陽光の中、悟りを開き最後のひと時を過ごすお爺さんを演じた加藤嘉の姿に涙が出てきます。
尚、『男はつらいよ』諏訪博役でお馴染み、前田吟の漢な身体も拝める人情劇となっているので、『男はつらいよ』ファンにもオススメな作品です。
8.アポロ 11[完全版](Apollo 11,2019)
監督:トッド・ダグラス・ミラー
昨年、日本各地のプラネタリウムで公開された後、長尺版が限定公開された『アポロ11』がAmazon Prime Videoに来ていました。
本作はアポロ11号が月面着陸してから50周年を記念し、アーカイブ映像をデジタルリマスターした代物となっています。アポロ11号ドキュメンタリーと言えば、クリストファー・ノーランが『インターステラー』を観る時に参考にした『宇宙へのフロンティア』が有名ですが、あちらが陰とするならば、こちらは陽の作品で、宇宙に対するロマンに人類が希望を抱いていたあの温かみがアーカイブされています。
中々、外へいけない鬱憤をこの浪漫飛行にぶつけてみてはいかがでしょうか?
9.おとなの恋の測り方(Un homme à la hauteur,2016)
監督:ローラン・ティラール
出演:ジャン・デュジャルダン、ヴィルジニー・エフィラ、セドリック・カーンetc
多様性の時代になって来たので、従来の高身長男子と付き合う美女像というのが瓦解してきて、LGBTQ映画やぽっちゃりした女性と付き合う話など様々な形で愛が語られるようになりました。
アルゼンチン映画『ライオン・ハート(Corazón de León)』のフランスリメイクである本作は、低身長男子と恋に落ちる女性の苦悩を描いた作品です。
非常に面白いのは、低身長男子を高身長男子であるジャン・デュジャルダンがCGで演じているというところです。炎上しそうな試みなのですが、低身長男子が演じることで生じる無意識に滲み出るコンプレックスというものを打ち消すことに成功し、それにより逆身長差カップルあるあるのクリシェを並べるだけの映画に陥ることを防いでいます。
そしてリメイク版の素敵なところは、主人公である女性が、ヒールを脱がないところにあります。そしてヒールを脱ぐか脱がないかというところに、葛藤の力点を置いているところが絶妙です。
10.ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(The Founder,2016)
監督:ジョン・リー・ハンコック
出演:マイケル・キートン、ニック・オファーマンetc
現代は新自由主義時代と呼ばれ、弱肉強食社会である。そして、その勝者とも言えるマクドナルドの軌跡を追うことで、合理的なビジネスと倫理との関係性を考えさせられます。
マクドナルド兄弟が開発した、効率的なフード提供システムに惹かれたビジネスマンのレイ・クロックは、フランチャイズ化することを提案する。ビジネスの手綱を渡してしまったマクドナルド兄弟は、徐々に徐々にレイ・クロックに乗っ取られていき、最終的には創設者にもかかわらず会社を追い出されてしまう。
Amazonやウーバーをはじめとして外資系企業の、甘い言葉で近づいて段々と制度を変えていき、人々の心を乗っ取っていく過程の元祖が見られ、非常に怖い作品です。
何よりも怖いのは、本作を観るとマクドナルドへ行きたくなるというところです。
変わったホラー映画として挑戦する価値ある作品と言えよう。
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