あの虹の正体
太陽の光って実は7つの色が組み合わさって、あの白っぽい光になっているのだそう。
その光が、空気中の雨粒ひとつひとつの中で跳ね返るのだけれど、7色は色によって跳ね返る角度が違うから、7層に分解されて虹になるんだって。
色によって跳ね返る角度が違うから綺麗な虹が出来るだなんて、なんだかそれはとても素敵な話だ。
「世界は複雑だから」
グリーンブックという映画がある。日本では昨年公開された、世界的ピアニストと、お付きの用心棒コンビのお話。アカデミー賞の作品賞にも輝いた、私も大好きな映画。
舞台は1962年のアメリカ。腕っ節の強いトニーは、ひょんなことから天才ピアニストであるドクターシャーリーの用心棒 兼 コンサートツアーの運転手として雇われる。人種差別やジェンダー差別、様々な差別に遭遇しながらも2人はアメリカ南部を目指す。国籍も、肌の色も、経歴も、性格も、全てが正反対の2人が黒人用旅行ガイドブック「グリーンブック」を手にツアーを終えるまでの日々を描く。2人はそこで何を見て、何を感じ、どうなっていくのか。
人種差別やジェンダー差別が今よりも色濃く、自然とまかり通ってしまう時代に、強く生きるドクターシャーリーの人となりの偉大さ、そして無骨ながらに優しさを持つトニーの魅力にグッと心を掴まれる、そんな映画なのです。
冒頭「世界は複雑だから。」は劇中にて、トニーがドクターシャーリーに言う台詞。
肌の色や、恋愛対象となるジェンダーが、マイノリティである、ただそれだけで傷付けられてしまう時代の真実に胸が痛くなる。そしてそれは50年以上経った今なお終わることはない。
この映画を鑑賞してからというもの、私の知っている、知らない以上のことがこの世の中にはあるのだ、と感じる。
私が見てきたすべて以上に世界は難しくて、様々な事象が絡み合い、簡単には理解し難いのだと思う。
すべてが分かる時はきっと永遠に来ないし、それで良いのだと思う。
分からないなりに自分との違いに対面したとき、どう受け入れるかで、人の豊かさは変わってくるんじゃないかな。
分からないから拒絶するより、分からないからこそ尊重するという優しい選択肢を大切にしたい。
自分と違うということが、ただそこに在るという事実を受け止めたい。
存在を誰かに許可されたり、認可されることなく、当たり前に全ての人は等しく、生まれ持ったものや考え方、自分の在り方を他と比較されることなく、ありのままに生きることを称賛したい。
道に迷う人や自分に対して、どんな生き方をしたって間違っていないよとそう言ってくれる人がひとりひとりのそばに居たら、もっと息をしやすい世界になるんじゃないかと思う。
例えそれが大多数の人と違う生き方であってもね。
隣にいる人や、ましてや自分に、常にそう言ってあげられる人になりたい。
トニーは本当に立派な人だ。
7色の光が違う屈折角だからこそ美しい虹になるように、
全ての人が違うからこそ美しい世界になるように、
違うからこそ美しいんだ、地球は。
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