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働きアリの私は会社を辞める決意をした


働きアリって、全体の2割がべらぼうに働いて、残りの6割は普通に働いて、あとの2割は女王アリのヒゲとかを触って遊んでいるそうですよ。なにそれ、可愛い。笑

だけれど面白いのはね、じゃあその2割のエキスパートなアリだけの最強チームにしたらいいじゃんって思いますよね。
そうしてしまっても必ず2割は働かない子が出てくるそう。

逆に遊んでるアリたちもずっと遊んでるのかっていうとそうではなくて、エキスパートなアリが疲れちゃうと遊んでたアリが交代して休ませてあげるんだって。

アリの福利厚生まじ手厚いし、しかも自発的なの偉すぎませんか。笑




私の仕事は、アパレル雑貨のデザイナーです。
この仕事は突き詰めていくと正直、世の中に無くても生きていけるものを作る仕事です。

私が精魂込めて作ってきたバックやポーチなんてものは、衣食住と違って生活必需品ではないし、災害時に役立つ訳でもないし、人の命を救いもしないし、むしろ贅沢品の部類にさえ入るものです。

それでも私は、人の生活を豊かにする意味で、無くてはならない仕事だと思っています。


例えば、私たちは雨風を凌げるスペースと7日×3回分の食事と水、7枚の洋服と、下着さえあれば1週間を生き抜くことができます。(洋服なんてもしかしたら1セットでも良いかもしれないけれど。)

このように、ただ息をするだけならば、きっと私たちには衣食住以外は必要がありません。


それでも人間は芸術を好み、音楽に癒され、可愛いペットを家族として慈しみ、素敵な花を愛で、インテリアに心を踊らせ、ファニーなジョークグッズでケラケラと笑い、感動する小説に涙し、そうやって何万年も生きてきました。


私たち人間は、ただ息をしているだけではなく、人生を謳歌するように生きているのです。

そして自分の生活を豊かにするためには、楽しみや趣味、好きなことが必ず必要です。
私の仕事は、誰かの好きを具現化する仕事だったのだと最近は感じるようになりました。


そんな風に考えてみるとデザイナーに限らず、世の中の仕事の殆どは、人の生活を豊かにするという観点の仕事な気がしてきました。

私が、デザインの仕事を世界に無くてはならないものだと思うように、それぞれがそれぞれに、そう思うんじゃないかなあ。
私は今、デザイナーになれたことを心から誇りに思います。

別にね、小さい頃から絵が上手かった訳でも何でもないのです。むしろ美術の成績は万年3でした。笑

ただ、チラシや雑誌を切り抜いてはコラージュするのが好きで、
図工の時間に先生から褒められたのが嬉しくて、
大きくなっても素敵な広告を見るとワクワクして、
ウィットに富んだ商品にドキドキして、
丁寧に紡がれた言葉に心惹かれて、
そういうことが自然と積み重なってデザイナーになりました。

恋焦がれていたデザイナーは、もちろん生半可な職種ではなくて、ゼロからイチを作り出す作業は恐ろしく体力が必要でした。

終わりのないクリエイティビティの探求には沢山の時間を要するし、それが故に体調を崩したこともありました。

それでも私の脳内で想像したモノが形となり、発売され、多くの人の目に留まり、誰か1人の手に届く。

目の前でその商品を手に取っている人を見たとき、ああ、私の選んだ道は何も間違ってなかった、と心からそう思いました。
そんな経験は滅多に出来ることではないと思うのです。

「私たちの仕事は尊い仕事だから。」
デザイナーの先輩がポツリと呟いた言葉、今ならその意味が分かる気がする。
一生かけて続けてゆきたい仕事に出会えた私は本当に幸せものだと感じています。



そんな日々の中で私は先日、大きな決心をしました。
それは会社を辞めるということ。
前々から考えていた漠然とした想いが、最近になって少しずつ固まりかけてきたからです。

私は転職活動をしていた頃に、生まれて初めて女性であることへの蔑視を経験しました。
それが悔しくて、悲しくて。
だからこそ女性として生まれた私が、私の立場からできることは何か、と考えるようになりました。

もっともっと考えていくと、むしろ性別に関係なく、全ての人が生まれ持ったものや個性を活かして生きるために私には何ができるのか、と模索してきました。

文章を書くことが好き。
デザインをすることが好き。
掃除や収納、整理整頓が好き。

これらを包括して、私にしかできない仕事が生み出せないだろうか。

その答えがぼんやりと、たまにガチっとピントが合うような、そんな風に不思議と最近は見えるのです。

まだまだ未来は未確定だけれど必ず道はある。

人間は選び取った未来しか見ることが出来ないと言います。
それなら見える未来ではなく、見たい未来を選んでみたい。
新しい仕事を創造したい。

大人になって数年の私には、正直まだ「はたらくこと」が何なのかを明確に言い表す言語を持ち合わせていません。

この先の未来で、その答えが見つかると良いな。
きっとその答えは人によって異なって、それでいて間違いなんてひとつもないのだと思います。


退職したら、しばしのんびり休憩して
また働きアリに戻れますように。
とか言って全然違う職種に就いたら笑ってください。
うん、それも人生!笑

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