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Under the oak tree 小説 完結まで読む簡単な方法&ネタバレレビューあらすじ【オークの樹の下で】




「オークの樹の下で」とは、170か国でいま世界的に大ヒットしているファンタジー・ライトノベルです。

しかもじつはこれ、R★18の女性向け小説です。

なんですが…なんですが…たとえR★18箇所を全て飛ばして読んでも、ストーリー部分の面白さだけで続きが気になって続きが気になって読んでしまうと思いますよ。

どういう話かといいますと…ええと…なんというか…乙女版「はじめの一歩」というか乙女版「ランボー 怒りの脱出」乙女版「ゴールデンカムイ」みたいな話かな。そしてそこに「ハリーポッター」を噛ませてあるわけです。

何言ってるのまったく訳が分からないよ何を言い出すんだこの人頭大丈夫かと今思ってるでしょうでも本当にそんな話なんですもんそうとしか言いようがないんだもん。

(注意※私の貧弱な読解力&英語力で読みましたのでそこかしこ誤訳や解釈違いもあると思います。間違ったらごめんなさいっ。)


あらすじ

ここにあらすじを書きますと、お城の領地から一歩も出たことのない、8歳のころから父親にトンデモネエ虐待を受けていた、自己肯定感ヨワヨワの運動音痴引きこもりの小柄ヒヨヒヨのクヨクヨメソメソ侯爵令嬢マクシミリアンが、農奴産まれで混血褐色肌の傭兵上がりのマッチョ騎士団長であるリフタンと政略結婚で無理矢理結婚させられるのですが、マクシミリアンは父親の虐待から逃れたのをきっかけに自分の意志で運命を切り開くことに覚醒してしまい、一歩一歩と戦闘力を身につけてワイルド化して行き、ついには戦場に旅立った夫リフタン率いる軍隊の窮地を救おうと、従軍看護婦に化けて泥水をすすりボロボロになりながら最前線に自力で最前線にたどり着き崖と崖の上の巨石を爆破して敵の本拠地を潰したり、風呂にも入らず干し肉やらその辺で仕留めてぶっ殺した動物の肉とかかじりながら雪原を、砂漠を、ジャングルを馬で駆けぬけ、徒歩で岩山をよじ登り、その合間合間に、農奴産まれで混血褐色肌の傭兵上がりの巨大なムキムキの騎士団長の夫を無理矢理押し倒して騎乗位セックスしたり、「美人でもないオドオドダメっ子な私だけど…そうだわ!いつか夫に女として飽きられてもせめて役に立つ存在になれば大好きな夫の側に置かせて貰えるかも知れない、私、夫の軍隊に少しでも役に立ちたいの…」とクヨクヨメソメソしながら魔導士になる勉強を精進し過ぎた結果、新米魔導士の癖に土中から巨神兵的な土人形を錬成して魔物をぶっ倒すというキモキモ禍々しい術式を独自に発明して世界塔の魔導士長老達を震撼させたり(つうか何もない土中から巨大ゴーレムを錬成して魔物を倒すってそれ…どっちが魔物だよ、お前の方がむしろ大妖怪だろ)、お城の家計簿を付け直したり、お城でコツコツ縫い物したり、心優しくもその辺で拾った猫を保護してお部屋で可愛がって育てたりする話です。

え?ちょっと待って、やっぱり意味が分からないYO、

自己肯定感ヨワヨワのクヨクヨキャラの運動音痴引きこもりの小柄な侯爵令嬢が、何で一人で崖を爆破して敵の軍勢を一網打尽出来るんだ、なんで戦闘で負傷した軍人の治療ができるんだ、なんで風呂に入らず干し肉齧りながら何か月もハードな行軍が出来るんだ、そんな馬鹿な!って話ですが、それはおなじみの【はじめの一歩展開】ですね。

え?はじめの一歩展開、解らない?

いやはじめの一歩は日本人なら必ず読んどけ、全巻読むべきとは言わんよ、はじめの10巻ぐらいでもいいからまあ読んどけ。

どーしょーもないヨワヨワいじめられっ子だった幕の内一歩君ですが、一歩君は、小さい頃から、お母さんを助けるために家業の釣り船屋の不安定な船の中でお客さんの重い荷物を担いで仕事を手伝っていました、その結果、実は人並み外れた強靭な体幹を培ってしまっていた、そしてその類い稀なる体幹は、一歩君をまさかのボクシングチャンピオンに導いてしまっていたのだった!

つまり「意味のない苦行だと思っていた、自分の欠点だと思って日々恥じつつ長年繰り返していたあのことが、実は天下一武闘会で優勝するための重要な基礎訓練に自然となっていたのであった…」展開ですね。

より古くはベスト・キッド展開とも呼ばれていますな。
そうそうベストキッドもまじでいい映画だから観なさい、観なさい。ジャッキーチェン版もいいし、オリジナル版もどっちも至高。

話戻って、
そう、この小説、

魔法ファンタジーだけどチート展開は一切なしなの良き

なんです。

魔法やらオークやら怪物やらが出てくるファンタジー設定なんですが、チート展開にならないように非常に丁寧に組み上げられているので、私のような

純真な心を完全に忘れてしまった汚れに汚れちまった大人

でも気持ちよく読めます。

ただし、半分幽閉されるように城の片隅に閉じ込められていた外界に出たこともないオドオド令嬢からスタートして、いきなり試練・修行・試練・修行、無駄に絶倫な夫と朝までぶっ続けヒリヒリするまでSEX(まあ令嬢もノリノリ大喜びでやってますけども)、次の日にはまた修行・修行・試練…と次から次へと過酷な試練と過酷な修行を乗り越え続けるトライアスロンみたいな話の連続ですから、(元気な時に読むと自分まで「そうだ!働くぞ!」とやる気がふつふつ湧いて良いのですが)心身弱ってる時とか、鬱病に罹患中の時に読むのはお勧めしないかも、読むだけでチョッピリ…疲れる…かもしれませんネ…

すなわち「はじめの一歩」がギリギリ読める以上の精神状態の時に読むのがおすすめです。

R18箇所の描写もとても良き

個人的に1番良いなぁと思ったR18シーンは、

久々に再開した時にマッチョ軍人リフタンが

「俺はいま昂りすぎていていま貴女に触れてしまうと抑制が効かなくなって(貴女をメチャクチャに抱き潰して)貴女を傷つけてしまいそうだから触れられない」

とかコーフンしすぎて訳わかんない事を言っておびえ後ずさってるのに

オドオドクヨクヨした小柄で色白で華奢な深層の令嬢な気弱女子のはずのマクシミリアンがとつとつと恥ずかしそうに

「で、でも…私の方こそ…貴方に抱かれたいんです…お願い…抱いて…」

とリフタンを追い詰め、にじり寄って

「あ、あの…じゃあ…これならどうでしょうか…?これなら私はあなたに傷つけられる事はないから…」

とモジモジしつつも怯えるゴリマッチョ褐色軍人に無理やり自分から騎〇位で跨って美男子ゴリマッチョ軍人を自分のペースでヒィヒィアンアンと滅茶苦茶に鳴かせる場面ですね。いつか絶対パ…ク、いや、インスパイアしようと思いました。

人物描写がリアルで腑に落ちるの良き

萌え小説だというのに。

人物描写に不自然な部分が本当に少なくて、いちいち腑に落ちる描き方されてるのが読んでいてすごく気持ちがいい。

中でも親子間の虐待ストーリーが感動的に正確、かつ、どんな立ち位置の人にも伝わる秀逸な描き方がされていて素晴らしかったです。

といいますのは。

親子間の愛と確執とか虐待とかを盛り込んだエンタメって、通常は、虐待被害者のトラウマを抉りぬき、しかもサイコパスを勇気づけてしまう胸糞トンデモ展開になりがちなんです。

説明しましょう。

世間一般の親のほとんど95%はマトモですから
    ↓
「虐待は存在した」って話よりも「虐待は存在しなかった!酷い親に虐待されたと思ってたが真っ赤な誤解で本当は愛だった!」って話の方が、人口の95%に説得力と感動を呼びます。

しかも残り5%のサイコパス親にとって【も】そういう話って「自分のやった虐待は虐待ではなく愛!」と言い張れる材料になるのでキモチイイ展開です。
    ↓
しかも、想定外の大きなどんでん返しがあるほどエンタメストーリーは盛り上がりますから、多くのフィクションは話の前半で親が【どう考えても虐待と思える凄まじい非人間的な虐待】してたのに→最後で【それ、実は全部誤解だった、親は正しい行いをしたのにこどもが被害妄想の勘違い野郎のワガママ人間だったので勘違いして反抗してただけだったんです!そう、この世に子を愛さない親なんて存在しない!】というオチで片付けるとほとんどの人が大感動できる大ヒットエンタメがつくれます。
    ↓
すると「これでもかこれでもかというような理不尽で残虐な行為は実は愛だったので感謝せねばならない」な物語が練成されてしまって、本当に虐待されていたこどもだった人たちのトラウマをぐりぐりにえぐったあげく、本物のサイコパスが自信を持って次なる悪事への勇気を得てしまうんですよね。(実際に親に虐待されて死んでいるいるこどもだってちゃんと実在するのは犯罪の報道やら見れば明らかなんですけどもね。)

(たとえば、割と最近のでは水星の○女とか…あと比較的ソフトな事例だけどさ…美味しんぼの海原雄山と山岡士郎の確執とかさぁ…元々は明らかに「母さんは雄山に虐待され虐め殺されたんだ!」な話だったし、初期の雄山は確かに周囲に対してもトンデモネェイカれサイコパスだったのに、最後の最後でそんな事実全部なかった話です雄山良い親でした♡お父さんはよく一緒に遊んでくれるいいお父さんだったんだよね♡みたいに現実改変されて、母の仇という設定で雄山に楯突いてた士郎が、いつのまにやらいい歳まで反抗期引き摺ってるだけのとんだ馬鹿みたいな扱いになって…なんだよアレ、士郎、本当に可哀想だろ)

例えば、大統領や有名歌手の警護をやってた「映画 ボディーガード」の元ネタにまでなったストーカー犯罪対策のプロ、キャヴィン・ディ・ベッガー先生だったかな?たしか彼も「よく小説やエンタメってさぁ、出てくる恋人やら親は相手を【愛あればこそ殺した】執着愛殺人展開多いけどなー、あれな、ドラマチックなんで大衆にウケっけどもよ、実際は【愛がないから】こそ殺したんに決まってんだよ。実際は殺人者にとってターゲットは特別なひとりですらなくて割と誰でもよくてほどほどに条件に合う相手を手当たり次第に複数狙ってるだけという…、あの、愛が高じて殺人したった展開をテレビで放映するとよぉ、人々混乱するしそれ信じる事で本来なら逃げ延びられた人が死んで本当に死人が増えたりするのであの展開の映画マジで辞めてくれませんかね!現場からは以上です。みたいな事をたしか書いとりましたがな。

虐待被害でトラウマってる人は↑これも読みなさい。

話戻ると。

で、この「オークの樹の下で」作者が描いた、
粗雑エンタメに堕ちずになおかつ大多数の親子にも訴求する正確な親子虐待問題の描き方

の話に戻ります。

この小説では、
「実の娘二人に非人間的な虐待して周囲には溺愛親の仮面を被っている外道の父クロイソ公爵」
「実子でもないのに義理の息子を身を挺して支えた愛の父親リフタンの継父」
という2人の対照的な父親が出てくるんです。

リフタンの継父は決して立派な男ではありません。

気の弱い、しょうもない、ど貧乏な、飲んだくれの男です。しかし、自分の実子でもない、メンヘラ嫁の連れ子、しかも見るからに肌の色が褐色で、自分の子ではないと周囲からも明白な、そんな、混血の少年に対して

「俺みたいな農奴を一生やっていてはダメだ、特に年貢の酷いこのクロイソの土地はダメだ、手に職をつけろ。お前だけでもこの生活から抜け出すんだ」

と自分のなけなしの貯金を使い切って金を払ってリフタンを鍛冶屋に弟子入りさせてくれるのです…!

結局、その鍛冶屋ではリフタンは差別を受けてロクな修行をさせてもらえることもなかったのですが、そこの鍛冶屋でのごたごたの結果、リフタンは12歳の時に(!)小さな剣を手に入れ、凄まじい年貢のクロイソの領地からひとり脱出し、傭兵となり、ついには王直属の騎士団の団長に上り詰め、広大な領地も得ます。

リフタンとリフタンの継父は、血も繋がっておらず、おそらく10年も一緒に住んだわけではありません。

でもリフタンにとって、リフタンの可能性を信じ、命を削るようにしてリフタンが羽ばたくための翼を与えたのは、本当の親と言える人物は、たったひとり、この継父をおいて他には居ないのです。

で。

ある時、マクシミリアンの外道父=クロイソ公爵は、自分の領地にリフタンの父親がいるらしいという情報を聞きつけ、リフタン継父を捕まえて拷問にかけた挙句に人質にして、リフタンに「もしも言うことを聞かなければお前の父親を処刑するぞ?」と脅して王命でクロイソ公爵がやるべきと命令されたメチャクチャ危険な死ぬ確率が高い魔物討伐を全てリフタンに押し付けます。

リフタンは遠い昔に10年も一緒に暮らしたかどうかという血の繋がらない継父の為に、自分の命と現在の地位すべてを失うリスクまで負って無実の継父の釈放と引き換えに、クロイソ公爵がやるべき危険すぎる魔物討伐を肩代わりしてクロイソ公爵の地下牢から継父を救い出します。

そして、そんな事件から、数年間の時を経て、

今度は諸事情によりマクシミリアンが再びクロイソ城に閉じ込められてクロイソ公爵に鞭打たれるのですが、リフタンはそれを見た瞬間に瞬時に判断をしてクロイソ公爵を思いっきりぶん殴って鞭打たれるマクシミリアンを救出するのです。

つまり、「親から子への深い献身と愛」と=「子から親への感謝と愛と献身」が=「子を鬼畜レベルで虐待・搾取するうえに溺愛親の仮面を被って周囲をだますサイコパス親の否定」とが有機的なひとつの線で全て繋がっているのです。

だから、愛情に満ちた親子関係だけを経験している世の大多数の人々にも深く訴求するし、

反対に血がつながっている親がサイコパスだったりしてそこから逃げ延びるそして他の家族や兄弟を守るしかないという運命に生れ落ちてしまった少数の虐待被害者な人々にも同時に深く訴求するのです。

なんという秀逸な組み立てのストーリー。素晴らし過ぎる。

ちなみに、マクシミリアンサイドの親子関係ですが、

マクシミリアンは8歳のころから父親のクロイソ侯爵に毎日のように【血だらけになるまで鞭で打たれ】て育ちます。吃音症であることや異母妹(美人)よりも容姿が劣るということも常に否定され、侯爵令嬢でありながら、使用人にまで意地悪されながら、要らない部屋に半分閉じ込められるようにしてひとりぼっちで育ちます。

で、もちろん異母妹にも蔑まれているわけですが…実は。

表面上は父親に溺愛され贅沢させてもらっているように見える異母妹、ロゼッタですが…小さなマクシミリアンが父親に血だらけになるまで鞭打たれるとき、

実は。

ロゼッタは毎回毎回、隠し部屋に連れていかれて、マクシミリアンが鞭打ちの刑を受けている様子を毎回隠し部屋から鑑賞させられ「父親の望むとおりに育たない役立たずはこんな目に遭うのだよ」と言い含められて育っていたのです。

それな!

こどもをわざと極端に差別することで、こども同士の仲を引き裂き、孤立させ連携不能にさせ、わざと喧嘩させたり、時には一方のこどもへの虐待行為をもう片方のこどもに無理矢理加担させることによって、引き返せない溝を作り、結果的に両方のこどもを自在に操る

ザ・虐待親の典型技ですね〜。

(ロゼッタが人前で大切な娘のように扱われるのも贅沢な衣装を与えられているのも、クロイソ公爵の野望「娘を王族に嫁がせて権力を得る」ための政略結婚の駒にするためでしかありません。)

クロイソ公爵は周囲には常に「我儘な2人の娘を溺愛する良い親」の仮面を被ります。

もちろん虐待親が溺愛親の仮面を被っても、娘がおびえ切っていたり、常に体調が悪くふらふらしていたり、びくびくして人前に出て来るのを嫌がったりなどなど、所々に明らかな不自然さは産まれるのですが、「娘はわがままで、お客に挨拶も出来ない、コミュ障なのですが、ついつい甘やかしてしまいます」と自分の嘘のほころびや自分の悪事からくる不自然さををすべて娘がダメでわがままな人間であるために起こった事だと娘に全てをおっかぶせて周囲を巧妙にだます様子がキモいほどリアルです。

この、

健全な家庭で育った人には想像もつかない世界、

でも、

実は実子虐待では

あまりにもありふれた極めて典型的なあるある事例

です。

それをそうやってリアルに丁寧に描く事で、

更には

精神的にはむしろマクシミリアンよりも苛酷で孤独かもしれない、ロゼッタが日々受けている苛酷で逃げ場のない精神的な虐待、ロゼッタの苦悩と絶望感、ロゼッタのマクシミリアンへの苛立ち、

そして、公爵に徹底的に潰されるもそれでもどうしても自然に湧き上がるロゼッタのマクシミリアンへの姉妹愛などが鮮やかに浮かび上がります。

(ロゼッタは常にマクシミリアンに面と向かって軽蔑を表し「うじうじした無能なあなたが大っ嫌い」などと毒を吐くのですが、監禁されたマクシミリアンを助け出そうとするリフタンに、幽閉されているマクシミリアンの居場所をこっそりとおしえて手助けします。もし手助けしたことがバレたらロゼッタもクロイソ公爵に殺されるかもしれないレベルの反逆だと解っているのに。)

そうそう、ここなんですが、女性向け萌え小説としては珍しく、

女性同士の関わりが爽やかなの良き

ロゼッタしかり、
アグネス王女しかり、
マクシミリアンにとって劣等感とジェラシーを掻き立てられる立ち位置の女性が登場しますが、

えげつない嫉妬劇や足の引っ張り合いは展開されずむしろ友情と成長の物語になっていくのもすごくいいですね。

そうそう、アグネス王女もすごく面白い。

アグネス王女、リフタンと結婚する噂まであった、更にはリフタンと3年間軍務を共にした、美女の誉れ高いスーパーハイスペック女性、リフタンとアグネス王女の間になにも無いと考える方がむしろ不自然、どう考えてもマクシミリアンの一番の恋敵だろうという登場の仕方をしたのに、

リフタンを横取りするどころか、

下手するとほーーーんのり百合っぽいというかうっすらマクシミリアンが好きなんじゃないかぐらいの親密度で何かとマクシミリアンに懐いたあげく、更にはとんだバリキャリ上昇志向のめんどくさい系フェミニズムっぽいキャラをあらわにして

「マクシミリアン、私のように、世界塔に行って学び、魔導士の資格を取りなさい。この世界では女は所詮は男の所有物でしかないわ。王族でも魔導士にならない限り私でも権力争いの駒として男の駒として生きるだけだったのだわ。でも私は魔導士になる事で別の人生を手に入れたの。マクシミリアン、いったんあなたが魔導士にさえなれば、あなたは貴重な魔導士として、王権すら及ばない、世界塔の権力に守られる。マクシミリアン、自由を掴むのよ!

とかなんとか言いだして、(アグネス王女がマクシミリアンからリフタンを奪うどころか)アグネス王女がリフタンからマクシミリアンを奪い去って世界塔に3年間も連れていってしまうんです。

そしてアグネス王女はリフタンにマジマジのガチギレされ

領 地 内 永 久 出 禁

までされてしまう下りがすごくカオスで最高ですw

女性の自立テーマも共感呼びそう(でもさぁこの旦那カワイソすぎなぁい?)

そう、この小説「オークの木の下で」は中世っぽいファンタジーエンタメでありながら、女性の自立がテーマになっていてかなりフェミフェミしたテイストが濃いです。

この辺も世界中の現代女性の共感を生んで大ヒットした原因なのかもしれませんね。

確かにまぁ、リフタンは、マクシミリアンが、リフタンの助けになるかとリフタンのために良かれと思って

(領地や軍に医療従事者が足りな過ぎるから)怪我人の治療を学ぶ事、(領地や軍に魔導士が足りなすぎるから)魔導士になる事、どれに対していちいちすごく否定的です。

怪我人の治療なんか貴女がやらんでもいい、
魔導士になる勉強なんかしなくていい、
軍隊になんかついてくるな、
といつも冷たくあしらいます。

結果的になんだかんだでリフタンの軍の窮地をマクシミリアンが何度も救っているのに!

もちろん、いい人ぶりつつ、実際はただ優位に立ちたいから、妻を無力な状態のままにすることで生涯自在にコントロールしたいから、だから妻が社会進出するのを妨害するような、そういうモラハラ男はこの世におりますよ。

だけども、リフタンはどう考えても決してモラハラ男ではありません。読めばわかるだろう!

そもそも、マクシミリアンを領地に連れて来た瞬間に、リフタンはマクシミリアンに「いくらでも好きに使って贅沢しろ、そして今は城の内装は整ってないが、女はインテリアに凝ったり飾り立てるのが好きなもんだろ?もしも貴女が嫌でないなら城の内装を自分の好みで好きに飾り立ててみてはどうだ?金は幾らでも好きに使っていいから」と財布の紐をバシッと受け渡したんですよ。

ここすごく大切。

妻を信頼し、そして妻に城の運営能力があると信じ、内政をドンと任せる、これ、嫁の能力への信頼と嫁への尊敬と愛情のこれ以上ない表現でしょう。

ちなみにリフタン、一見ものすごくこわそうに見えて、
一度たりともマクシミリアンに暴力振るってません、
Hも一度も無理強いしてません、
マクシミリアンのわがままは結局全部聞いてます、
財布は嫁に全部明け渡してます。

後ずさるリフタンに強引に無理強いSEXを強要してるモラハラ野郎はマクシミリアンの側です。

あと物語の初めごろ、マクシミリアンが「魔法なんて自分にできるかどうか自信がない恥ずかしいから…」と魔法の勉強を始めたことをリフタンには秘密にしたまま、

毎日何時間も、リフタンの腹心の魔導士ルース(外見は銀髪の小柄め貧弱ガリガリの天使のごとき美青年〈だとルース自身は自分では言い張っている〉、遠い先祖に僅かにエルフの血が入っている。ただし本当は相当ないい歳で、若い小柄青年の皮の中身は社会不適合アスペADHDオタク毒舌KYおじさん)と二人っきりで図書室に引きこもって、ルースから魔法の授業を受けてるんですが、

あのね、ルースはその図書室にせんべい布団を持ち込んで毎日その図書室で寝てるんですよ?!?!新婚の嫁が別の男と、常に布団が引いてあるドアの閉まる密室で何ヶ月も毎日毎日何時間も二人っきりで、旦那に隠れてなんかこそこそやっててるんですよ?!

それを嫁一筋の新婚旦那が疑いも怒りも全くしなかったらそっちの方があたまへんやがな。しかもマクシミリアンはルースと魔法の勉強をしてたと聞いたリフタンは不機嫌な表情になりつつも「…好きにするがいい」とその後もルースとマクシミリアンが毎日何時間も図書館で勉強することを許すんですよ!?!?!(マクシミリアンはその後、リフタンに誤解されないようにと自分から女性の召使いを同席させるようにはしましたがね。)

リフタン、むしろ理解あるにもほどがあるレベルに理解あるだろ。

「夫の理解が無い…グスン」とか「夫が私の頑張りを理解してくれないの…ウルウル」とかフェミフェミした愚痴をこぼす前に、まずは、マクシミリアンよぉ、リフタンの事をそんなに愛しているのなら、その、図書室のその密室に敷いてあるルースのくさそうなせんべい布団を図書室の窓から外に投げ捨てて庭でキャンプファイヤーみたいにごうごうと燃やしてやれよ!それくらいの浮気してない感をキッチリ表現して嫁一筋の新婚旦那を安心させてやるのが嫁の仁義ってもんだろが!と私は思いましたね。

とにかくリフタンは文句言いつつも結局はマクシミリアンのやる事なす事を毎回全部許してしまうんです、「…勝手にしろ」「お前はどうせ俺のいうことを聞かないで全部やりたいようにするんだ」みたいな言い方ではありますけども。

そして戦場では軍隊の規律を半端曲げるようにしてまでしてマクシミリアンを繰り返し助けます(やっぱりマクシミリアン、ある意味スゲー迷惑やろがい)。

リフタンがマクシミリアンの社会進出というか「危険な死地にの最前線に従軍」に対して反対する理由と!は、ただ単にリフタンの台詞、

「貴女は(戦場で)もうこれで2回も死にかけてるんだぞ!」

に集約されております。

まあ死にかけつつリフタンの軍隊の窮地を救ったんですがね!

いやまぁマクシミリアンの技能はリフタンの領地、リフタンの軍にとって、喉から手が出るほど必要不可欠な技能なんですけど、

(マクシミリアンを弁護すると「そうだよ!アタシが死にかけながら貴様と貴様の軍隊守ってやったんやど?なのにおま、いくらなんでもその態度はねえだろが、まずは感謝せんかい」って話なんですがマクシミリアンはとっても良い嫁なので絶対にそんな言い方しませんけども)

そらふつうは大事な嫁が「危険な死地の最前線に従軍」して2回も死にかけたら止めるがな、社会進出とかそういうステージ超えてるっぺよ。

要するにリフタン的には大事な嫁を危険な目に合わせたくない、なんで頑張って成り上がったのに、自分の嫁だけを戦争の最前線にさらさなあかんのや、輪姦されたらどうすんねん、そもそも俺だって好きで軍隊なんかで戦ってねぇわ、お前には俺みたいなこんな辛い目に遭わしたくねえのよ、いいからお城でホッカホカのあったかい布団で寝てお菓子食って嬉しそうにしててくれよ、って事でしょう。

いやもうリフタンの気持ちわかりますよ、私も女性の社会進出についてそもそも産休とか子どもの教育費などの諸制度が地獄なこの現代日本において、男性と全く同等に働き戦争にも積極的に従軍するのが女の1番の幸福でそれが男女平等なんだみたいな考え方にはあんまり賛成ではないですね、

別に夫と同じ勢いで働かんでも要は財産と家政の支配権を完全掌握さえすればいいではないですかヒャハ!

ただまぁこの資本主義社会ではその為にはやっぱり家賃収入とか自分の仕事とかあったほうがいいけど、とにかく実効支配権の掌握さえあれば、別に夫と同じくらいのキャリアなんか持たなくてもいいんじゃないの〜?同じ専業主婦でもさぁ鵜飼となるかペットになるかで意味は違うんじゃな〜い?とは思っちゃいますね私は。アグネス王女とは違い、私は自分が鵜飼ポジにさえ立てるならば専業主婦も大歓迎ですわよ、っていう逆差別主義者ですね。はいはい話ずれましたね。

リフタンとマクシミリアンのすれ違いに関してまとめると

リフタンは何かとマクシミリアンの社会進出を否定するように見えるですけども1ミリもマクシミリアンを蔑んだり操るつもりはなく、むしろ(高貴で教養まである俺の嫁ってスゲーしかも生まれの卑しい俺のことを蔑む事など決してせず尊敬してくれる懐の広さもめっちゃ萌えるー)とすら思ってる節さえあり、マクシミリアンの社会進出を妨害したいんじゃなくて単に大事な嫁が戦場で死んだり大怪我したり輪姦されたりするのは絶対イヤーと心配しているだけに見えますねぇ。

まぁ確かに、そこは、女性はある意味、孤独です。
新しい可能性を掴もうとせっかく努力している時、
自分を愛してるはずと思っていた夫がなぜか嫌がって止めようとする。
親も心配して止めようとする。
誰も彼も自分が未来に踏み出すことを否定する。
挫けますわな。

でも、それ、女性差別とかではなく、未成年とか、両家の子弟とかにも生じる不自由さだし、

なんだかんだでじつは割と貴女も自分の娘に対して同じように止めると思いますよ。

まずあなた、自分の息子が「俺、マグロ漁船に乗るから連帯保証人のハンコくれ」とか言い出したら心配してまずは否定するでしょう。

そして、いいですか、

マグロ漁船に乗ろうとしてるのが、
蝶野昌洋似の36才の息子でもめっちゃ焦るのに、
身長150cmで色白Hカップの16才の娘がマグロ漁船に乗るって言い出したら、まずは全力で止めるでしょう?

リフタンが言っとるのはそういう事やで。

マグロ漁船に乗るなとはいいません、

ただ女性には

夫の否定を撥ねつける厚い面の皮と力技、
夫を安心させる堂々としたプレゼン力が必要
なんですよ。

それを何でもかんでもほんのちょっとdisられた度に
「うちの夫は女性差別ゥゥウ!女性差別ゥゥウ!」
とキレたり、

ちょっとでも否定されたらなぜか

「あいつに止められたから…私は人生を諦めたんだ…」

チャンスを諦めて何十年も死ぬまでそのことを逆恨みし続けるなんてダサいですがな。

つまりマクシミリアンは今ほどメソメソクヨクヨ感を出さずに、笑顔で、安全性をプレゼンした上で、

「アタシに任せろ!大丈夫だ!」

とキレずに明るく実力行使で押し切ってしまって「どうでえ、大丈夫だったやろがい」って大丈夫だった既成事実をテメェの背中でリフタンに伝えてあげれば案外全部解決するって思っちゃいますね。

えーとズレこんだわぃ、

小説の話に戻りますが、いや戻ってないのかな、

あえて言うなら、マクシミリアンはもっとリフタンの不安をなだめるため、

①もっと大袈裟に繰り返しリフタンに感謝を伝えて安心させてあげるべき
②リフタンもちゃんとマクシミリアンのサポートでメチャクチャ助かったことをまめに感謝見せるべき→リフタンがマクシミリアンを褒めさえすればむしろマクシミリアンの無茶は治るはず(そもそもマクシミリアンが頑張りすぎなのは幼少期から長年褒められることに飢えておりむしろリフタンが褒めてあげないから劣等感のあまりますますもっともっとリフタンの役に立たねばと過剰に突っ走っているので)
②マクシミリアンは自分の「現場猫かよ?!」レベル…いやもっと雑な危機管理についてはマジで大反省すべき。頻繁にマメな安全確認してリフタンを安心させるべき。ヨシ!

(↑Amazonで1番高評価な「ヨシ!」です。)

という事で、小説を読んでいる内に、
どういうわけか、私は自分の人生に思いを馳せるにいたり

「うーむやはり夫婦はとにかく相手にして貰ったことを繰り返し褒め合うべき、そこ恥ずかしがってはマジ伝わらねえんだな、そこはもう壊れたレコードか気の狂った人かキャバ嬢もしくは淀川貞治と水野晴郎のしらじらしさを見習って毎回毎回棒読みでもいいから、いやぁ夫っていいものですね程度でもいいからとにかくなんか褒めるべき、白々しいかとかいまさらかとか些細なことかなとか前も言った話かなとか昔話過ぎるかしらとか一切気にしちゃダメ、とにかく褒めるべし、なぜって相手はテメェのために全財産寄進してくれたり、生涯浮気もしないで毎日働いたお金を寄進してくれたり、パンツ洗ってくれたりとんのやぞ、それだけしてくれたパートナーにはちょっとはリップサービスしてやらんとな、喋るだけならタダだしな」

謎の教訓と反省を得ました。

明日からすこし心掛け…よう…たぶんね…

完結まで読むのに1番簡単な方法は…コレ!


2024年6月現在の結論としては日本のAmazonで英語版を購入してkindle内の機械翻訳で読むのが最も簡単で安上がりです。

「ええ?!機械翻訳ですと?」

とビビられたと思いますがいや私もあんなたどたどしいもので1Pずつ翻訳するとか地獄すぎだろと思ったんですが、最近の機械翻訳はすごいんですよ。

普通にジョークとかを理解できるように翻訳できてます。

他の方法としては、日本語のweb漫画版(めちゃコミック)も描かれた人物も綺麗で魅力的で、原作にも忠実でいいんですが、無料部分は11話のみ、1話60円で1話がめちゃくちゃ短い。普通に完結まで課金したら何万円だよ…しかも軽く500話、いや1000話くらいはありそうなのにまだ51話位やがな。あとMantaって漫画アプリで、アップルIDでログインするだけで完全無課金でも24時間に一本ずつならば英語版の漫画も読めますよ。ただ漫画の英語は無料で簡単に使える翻訳ソフトとかないのでかなりハードル高いっ。

つまり結論は2024年現在は英語小説版をアマゾンで買ってキンドル付属の翻訳ソフト使うのが一番楽。もしくは日本語訳の小説が出るまで数年待とう、

で、初め機械翻訳した時は私も「ムリムリムリ」って思ったのですが…休み休みトライしたら急にスルスル読めるようになりました。

機械翻訳を我慢して読んでいると脳が慣れて学習してきて、なんということでしょう、意外に自然にサクサク読み取れるようになってしまいます。

あと翻訳って訳者によって結構癖が強いのもあるじゃないですか。そういう余計な味付けが一切ないものを想像力で補いながら読むって、馴れるとそれはそれで自由な感じで爽快かも。

機械翻訳の欠点として、以下のような欠点はあります。

★英語からの翻訳なので、AさんのセリフとBさんのセリフをあべこべに取り違えて読めてしまう事がある。また、女性のセリフに「おれ」など男性的なセリフが当てはめられていたりして混乱することも。

そういう時は英語を確認すらせず脳内で「あれ、これ言ったのはBさんじゃなくてAかも」って当てはめてみるだけでも大体わかります。または一瞬だけ英語を見てみれば中学1年英語レベルでもすぐわかります。

★エラーで翻訳できない時がある。

じつはこれ、慌てないで再度選択して再翻訳すれば、必ず翻訳できます。


おまけ:オラひとつだけどうでもいい部分にケチをつけるぞ


そもそも女性向け萌え小説なので、この部分、どんなに不自然でもあってもOKだしむしろ不自然であるべきな部分ですけども、ひとつケチを付けさせて下さい。

リフタンが【どんな女性も惚れて憧れてしまうような輝くようなイケメンかつ大金持ちで交渉力も高い】のにあそこまで気が狂ったみたいにマクシミリアン一筋なのがあまりにも不自然すぎませんかね…

まぁ、外伝でその不自然さを全て論破できるような元々無かった取ってつけたようなしかし綿密・緻密な理由が付け加えられましたのである程度は納得は出来ましたが…

しかしそれにしてもいくら何でもここまでの溺愛はちょっとありえないのではないか…そんな超絶美男子ならば本人がどんなに誠実真面目な人でも、多くの女性から凄まじいアタックをされるのでは…だから…さすがにああいう展開にはならないのではないか…あんな絶倫を通算6年間放置したりしたら、ふつうはその間に別の女性に迫られてどうかなっちゃうでしょ…とは思ってしまいますね。

あと、3年間もリフタンと戦地で共に戦いリフタンが国の英雄になるまでの活躍を見ているアグネス王女が、凄まじい吊り橋効果もあっただろうに、1ミリもリフタンに惚れている様子がないのが…なんだか…いや、むしろリフタンの事を生理的にやや嫌いなくらいの勢いで全く男として見ていない感じが…

…どうも怪しい…

それに、リフタンは高身長で褐色肌で腹が深い端正な顔だちで大人っぽく見える顔、という話なのですが、

リフタンは傭兵時代に、魔導士ルースとはじめて出会った時に、魔導士ルースに「あんた、本当に強いよねぇ、傭兵歴長いの?一体何歳なの?」って質問されて「,,,16歳」って答えた時にルースに「えーっ!えーっ?!マジ?!?!マジマジマジの助ェェエ?!40歳位だと思ってたよ!!!」って言われています。まぁルースは有能だけどかなり社会不適合アスペADHDな思った事そのまま言いがちな人ですけどでもつまりその意見はKYだけど真実だった可能性が高くて、

つまり、

リフタンを「女性すべてがあこがれちゃうレベルの輝くばかりに美しエロい奇跡のハイパーセクシーイケメン」だと感じているのは…

実はマクシミリアンただひとりだけ

なのでは…。つまりマクシミリアンは男の趣味が相当おかしいいわゆる「B専の乙女」(不細工男子愛好者)でありマクシミリアン以外の女性から見た実際のリフタンはおそらくたぶんせいぜいが贔屓目にみて…↓程度だとすると、この小説、すべてに完璧につじつまが合うんですけどね…。






まあとにかくあれだけいい人ならこの程度のビジュアルとて充分いい男じゃん。お幸せに。




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