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◎大都市近郊区間の「秘境駅」京都・保津峡駅を訪ねて 【前編】新旧の現役の駅を訪ねる

保津峡駅は、JR嵯峨野線(山陰本線の、京都~園部間の愛称)の中の駅の一つです。京都市と亀岡市の境にあり、観光ルート化されている、嵯峨野観光鉄道のトロッコ列車や、保津川下りの船が通ることでも知られており、そのコースの途中の山の中にある駅です。この駅の周辺には、民家は全くありません。人里は、ここから3kmくらい離れた、水尾地区しかありません。ここは、「秘境駅」にもノミネートされている駅です。

この保津峡駅付近ですが、かつての国鉄・山陰本線時代には、単線非電化の路線でしたが、1989年(平成元年)に複線の新線が完成し、旧線は廃線となり、旧駅も廃止されました。1991年(平成3年)に、廃線となった旧線を利用して、嵯峨野観光鉄道が開業し、旧駅は、「トロッコ保津峡駅」として営業を開始し、現在に至っています。国土地理院の地図で位置関係を見ると、このような感じです。

国土地理院地図で見た、保津峡駅周辺。新線はトンネルだらけ。
嵯峨野観光鉄道は、川沿いに走り、真ん中に保津峡駅があります。

今回はこの新旧保津峡駅を訪ねてきました。

■行楽シーズンの嵯峨野線へ

東海道新幹線で、京都駅へ。
実家がある場所なので、ある意味帰ってきた感がある場所です。
観光客でごった返す、京都駅。
最近は大きなカバンを持った外国人客が多くなりました。
何故か、嵯峨野線ホームに手裏剣が・・(笑)
え、曲者が2人も!!
知らないで歩いていると、びっくりすると思います。

どうやらこの企画のようです。嵯峨野線ホームは、後方車両はとても混雑し、前方が空いているので、フォトスポットを目指してもらって、混雑緩和につなげたい、とのことです。混雑する車両はウンザリしてしまうので、是非前方まで歩いて楽しむのがおススメです(笑)。

さて、嵯峨野線の園部行きに乗り込みます。

■保津峡駅へ

まずは最初の目的地、JR嵯峨野線保津峡駅に到着。
ホームは、全てが保津川を跨ぐ橋の上にあります。
発車した電車は、すぐ隣の第2保津トンネルに吸い込まれていきます。
保津峡駅って、こんな感じで、周りに民家はありません。
「京」というマークがついています。
「京都市内」の駅で、京都市内発着の切符で来ることができます。

実は、この保津峡駅、旧線の駅は京都市西京区にあったのですが、今の保津峡駅は、橋の上に京都市と亀岡市の境界が走っており、駅舎のある場所の住所は、京都府亀岡市になります。今となっては「京」のマークがつくか微妙な位置にあるのですが、駅の移設された経緯などから、引き続き「京都市内の駅」という扱いにされているとか。

ホーム上から眺める風景。保津川の渓谷です。
奥に見える線路は、旧線(今の嵯峨野観光鉄道)の線路です。
反対側のホームからの景色も、やはり渓谷美です。
亀岡方面行きのホームからは、線路の下(橋の下)をくぐる歩道があり、
そこから京都方面行ホーム前にある駅舎に向かいます。
保津峡駅を橋の下から眺めたところ。
鉄道橋を近くで見られるスポットですね。
【日本国有鉄道 1987年 宮地鉄工所千葉工場製造】
保津峡駅の駅舎。無人駅です。
とはいえ、平均して20分毎くらいには電車が来る、
普通の大阪近郊区間の駅です。簡易ICOCA改札もあります。

■トロッコ保津峡駅を目指す

さて、JR保津峡駅から通じている車道を歩いて、昔の保津峡駅跡である、トロッコ保津峡駅を目指します。

車道を少し歩くと、保津川の支流に架かる橋に差し掛かります。
なかなかダイナミックな橋です。
平成2年9月にできた、保津峡橋です。
橋の説明板がありました。フィーレンディール桁橋であり、
ベルギーのフィーレンディール教授考案の形式というマニアックな説明(笑)。
実際は京都市と亀岡市の境界にありますが、京都市道として作られたのですね。
府道から眺めた、JR保津峡駅。見晴らしが美しい駅です。
数名の観光客(外国人も結構多い)が、この景色見たさに下車しています。
古い保津峡駅に向かう道路は、小さな峠を越えます。
短いですが、トンネルも越えます。「鵜飼隧道」というようです。
閉ざされた旧道もありそうですが、荒れていそうです。
扁額もあり、何か書いてありそうです。
「平安乾域」でしょうか。
そして、この「保津峡」と書いたプレートが、旧・保津峡駅えの道との交差点。
トロッコの駅との間に架かるのは、趣のある吊り橋なのです。
トロッコ保津峡駅の時刻表。
「乗車できる」と記載されていますが、満員だと乗れないのだとか。
「うこうばし」と書かれた橋です。
保津川下りの船に遭遇。皆さんと手を振ることで交流しました(笑)。
いやー、なかなか絵になる橋だとおもいます。
吊り橋から眺める保津川と、保津川沿いに走るトロッコ列車の線路。
「鵜飼(うこう)橋。昭和31年、京都市建造。製作・架設:日本橋梁(株)。」
大好きな吊り橋なのです。
かつては、橋の向こうにあるお茶屋が営業していました。
今は、無人でしたが、営業してる時もあるのかもしれません。

■トロッコ保津峡駅

トロッコ保津峡駅の駅舎。無人です。
待合室は、きれいに整備されています。
駅のホームは、今は単線のみですが、国鉄時代の駅は交換可能でした。
今のホームは、京都方面行の線路をつぶして拡幅した形です。
列車が到着した時に鳴らされるカリヨンが見えます。
狸の置物がお出迎え。
跨線橋は、国鉄当時のものが健在です。
跨線橋から眺めた、駅と吊り橋の全景。
今のホームが、昔の線路を潰して作られていることがよくわかります。

この風景、小学生時代に、山陰本線の駅だった時代に夏休みの写生の宿題でここで絵を描いたことを覚えています。鉄道写真好きにも定番スポットでした。

そうこうしているうちに、トロッコ列車が到着。
トロッコ嵐山駅まで乗りたかったのですが・・。
行楽シーズンなので満席で乗車できず(涙)

トロッコ列車、満席で大盛況でした。保津峡駅からトロッコで嵐山に戻るのもいいかな、と思っていたのですが、残念ながら乗車できず。一旦JRで嵯峨嵐山駅に戻り、3時間後に実はトロッコを予約済みなので、後の楽しみにしたいと思います。トロッコが大盛況なのは、鉄道好きにとっては嬉しい限りです。

後編では、嵯峨嵐山駅に戻り、そこからトロッコに乗り、亀岡まで行った模様をお伝えします。どちらかというと、そちらがメジャーな保津峡めぐりかと思いますので、そちらもお楽しみに。

■終わりに

JR嵯峨野線の保津峡駅と、嵯峨野観光鉄道のトロッコ保津峡駅を訪ねました。京都の近郊区間にありながら、民家が全くなく、2つの駅の間も1km近く離れ、ちょっとした峠や隧道や橋を越えるなど、ちょっとした秘境駅のムードを味わうことができます。とはいえ、保津川には保津川下りの船が行き交い、嵯峨野観光鉄道のトロッコが走るので、全く人目に触れないわけでもなく、外国人観光客も、この美しい景色をお目当てに来るような場所です。

この駅を目当てに観光するのも良いですし、さらに奥にある、水尾の集落を散策したり、そこから愛宕山や清滝などのハイキングを楽しんだりと、いろんな楽しみ方ができる場所でもあります。

是非一度、この場所を訪れてみると楽しいと思います。

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