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今日の日を、やさしい気持ちで(映画『マイ・エレメント』)

日曜に、映画館でムスメと『マイ・エレメント』を観た。『ポケモン』はしばらく映画をやらないし、『プリキュア』や『すみっコぐらし』の映画もまだ先だ。言ってしまえば消去法で選んだのだけど、とてもいい映画だった。

驚いたのはテンポのよさ。とくに前半は、話がトントン拍子に進む。動画を倍速再生する人が増えているようだし、現代の映画はこれくらいのスピードが必要なのだろう。恋愛が話の主軸だしテンポが速いしで、ムスメがついていけるか心配だったけど、ピクサーらしい丁寧な映像表現をそこそこ楽しんでいるようだった。

(映画公式サイトより)

そして迎えたクライマックス。多くの映画がそうであるように、本作も強く心を揺さぶってくる。まわりから鼻をすする音が聞こえる。どんな顔をしているだろう。もしかして寝ちゃっているかなあ。そう思いながら隣を見た。

――心臓がドクン、と鳴るのがわかるくらい、僕はびっくりした。

頬に涙を伝わせて、歯を食いしばって、声をなんとかこらえているムスメがいた。慌ててハンカチを差し出し背中をさする。そうすることで、ようやくムスメは、小さな声で泣くことができた。

ああ、そうか、そうだよな。うれしさもかなしさも、もうわかるよな。5歳なんだもん。声を出しちゃダメってことも、わかってるんだよな。だって、最初にパパが「しずかに観るんだよ」って言ったんだもの。ごめん。気づくのが遅れてごめんよ。隣の席のムスメを持ち上げて、自分のひざに乗せる。

『マイ・エレメント』は、家業を継がせたい父親と、違う夢を見つけた娘の話でもあった。僕は自分の子供をかわいがるあまり、まだまだ小さい幼児のように思ってしまっていた。でも、子供は驚くくらいの速さで成長していく。もう、ひとりの少女として接しなければならないのだ。

そしていつかこの子も、自分の夢を見つけるときが来るのだろう。そのときは全力で背中を押してあげようと思う。僕がそうしてもらったように。

(映画公式サイトより)

ムスメを抱きしめながら眺めるエンドロールは、前がにじんでよく見えなかった。きっと君もそうだったろう。伝わってくる愛しさと、自分への反省と、成長のうれしさと。感情がないまぜになって、涙が止まらなかった。

この映画に会えてよかった。僕は、この日を一生忘れない。

愛する人を抱きしめよう、わたしから
街中が、やさしい気持ちで
今日の日を、やさしい気持ちで

(Superfly / やさしい気持ちで)

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