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みんなに話したい、姉のこと

姉は何があっても私の前で泣かなかった。中学の頃、同級生や先生からいじめを受け、母に相談していたとき、話を横で聞いていた私の方がショックを受けて大泣きしてしまい、母が「みてみぃ、あんたの代わりに泣いてるわ」と言ったときも、口をへの字にしてバツが悪そうにしていた。生まれつき色素が薄く、髪の毛が茶色い姉は厳しい教師からずっと髪を黒く染めろと言われ、部活でも何かしら理由をつけては1人外周を走らされていた。いつからか、姉は泣きたい時は自分の部屋に籠るようになった。私は高校生の頃の姉は食事姿しか見た記憶がない。学校が終わると部屋へ行き、食事が済むとまた部屋に戻る。

姉は星と微生物と自然が好きだ。高校生のころは休みを利用して屋久島に渡って現地の生き物、土や微生物のこと、私には分からないけどすごく大切なことを学んだらしい。夜空を見上げるのも大好きで、これまた私には分からないけどなんだか価値のありそうな望遠鏡を持っている。好きなことをしている姉が好きだ。イキイキとしていて私も嬉しい。

姉はコミュニケーション能力が高いんだと思う。大人になってから、法事や結婚式などで親戚と会うと、親戚たちは姉を可愛がる。可愛がるといってももうアラサーなので、「○○ちゃんは優しいわ〜」「よく気がつく子や〜」てな感じで愛されている。私が、どう振る舞えばこの場では正しいのかと考えて行動している時でも、姉は自然と望まれていることをやってのける。例えば脚が悪い祖父のお手洗いに付き添ったり、みんなの話し相手になったり。本当に心から優しいのだと思う。

でもおそらく姉はそれに気が付いていない。周りから優しいと思われていることにも、姉の魅力がその自然と人の辛さや孤独に寄り添えることだということにも。

姉は実家から離れた、縁もゆかりもなかった地域に住んでいる。それでも地元の人との交流でその土地の歴史などを驚くほどよく知っている。それこそが、姉の素晴らしいところ。

どんなかたちでも良いからとにかく幸せで、自信を持って暮らしていて欲しいと思う。でも家庭を築いてくれたら尚嬉しい。姉は老人や子どもにはとにかく優しい。絶対良いお母さんになると思う。

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