最近の記事

生まれてきたのもぜんぶたまたま。

5歳の甥がだんだんと家系図を理解してきた。 「C子ちゃん(私のこと)はお母さんの妹やろ?」「お父さんのお母さんは大阪のバァバやんな?」 ついこの間までは私のことをなぜかよく家にいる女、としか理解してなかったのに。甥よ、成長したな。 そう思っているところに甥のこの発言である。 「僕のお母さんはお母さんやのに、なんでC子ちゃんのはバァバなん? 哲学的じゃないか甥よ。私は間髪入れずにこう答えた。 「それはな、たまたまや。たまたまお母さんはあんたを産んでバァバは私を産んだんや。」

    • 子どもとLGBTQ

      4月、今年5歳になる甥宛にランドセルメーカー各社からDMが届いていた。何の気なしに「〇〇君、何色のランドセルにするんや?」と問うと、「えっとーぉ、〇〇はこれにするぅー」と満面の笑みで指差したのは近所を登下校する女の子たちが背負っているのをよくみる、パステルのラベンダーカラーであった。 甥は、お下がりでお姉ちゃんからもらった女児用水着を好んで市民プールに着て行くし、ショッピングモールには自ら希望して髪の毛をくくって行く。ただ、車や作業車といった遊びも好きな、いわゆるジェンダー

      • 非常時のためのドッグトレーニング

        千葉県の動物病院からピットブルが逃げ出したと知った時はひやっとした。 ピットブルといえば土佐犬同様、闘犬として改良され、身体の作りから他の犬種とは一線を画す。筋肉質で体格が良く、もし何かあったときは大きな怪我を引き起こしやすい。 しかし保護された際のニュースの見出しはこうであった。「逃走の大型犬 警官のお座り従う」。さらに記事には警察官が網も使わず保護したと記載があった。 飼い主がドッグトレーニングをしっかりしていたこと、警察の方が不用意に網を使用しなかったことはこの子にと

        • 思わぬ取引先からのメール

          退社直前、このメールだけチェックして帰ろう、と思って開いた取引先からのメールの最後に「家族が御社商品を愛用しています。いつもありがとうございます。」と書かれていた。 「嬉しいお言葉を本当にありがとうございます。とても励みになります。商品共々今後ともよろしくお願いします。」と返事をした。 会社の上層部にほとほと嫌気がさし、とうに愛社精神を無くした私にとって、励みになったのは喜んでもらえるように今後も良い商品を作ろう、という思いからではなかった。 なんとなく、世の中にはこの

        生まれてきたのもぜんぶたまたま。

          四肢障害の君が17歳を迎えて

          飼い始めて間もなく、「生まれつきのもんやから、この子は体も弱いかもしれへんで。」と母から言われたことを覚えている。ブリーダーのもとで生まれた時から右脚がなく、売り物にならないからと手放され、獣医さんから引き取って帰ったとき、初めて抱っこした子犬の君が可愛くて可愛くてたまらなかった。以来、ダックスにとって県民病ならぬ"犬民病"であるヘルニアはもちろん、先天性の病気があるかもしれないからと、食事やサプリメントも、体重・毛艶・鼻の色を見ながら入念にケアをしてきた。特に体重は、上手く

          四肢障害の君が17歳を迎えて

          みんなに話したい、姉のこと

          姉は何があっても私の前で泣かなかった。中学の頃、同級生や先生からいじめを受け、母に相談していたとき、話を横で聞いていた私の方がショックを受けて大泣きしてしまい、母が「みてみぃ、あんたの代わりに泣いてるわ」と言ったときも、口をへの字にしてバツが悪そうにしていた。生まれつき色素が薄く、髪の毛が茶色い姉は厳しい教師からずっと髪を黒く染めろと言われ、部活でも何かしら理由をつけては1人外周を走らされていた。いつからか、姉は泣きたい時は自分の部屋に籠るようになった。私は高校生の頃の姉は食

          みんなに話したい、姉のこと

          バガボンドは完結しなくても良いと思ってる

          バガボンドが好きすぎる。 高校3年生まで、一番好きな漫画を聞かれるとシティーハンターと答えていた。大学生になって初めてブックオフで大人買いしたのがバガボンドで、それ以来、理想の男が冴羽獠から宮本武蔵に変わった。 休日の電車移動、居酒屋での一人飲み、コロナのワクチン接種待ち時間など、ひとりの時間に没頭したいときはバガボンドを鞄にしのばせている。 美容室でのカラー中にバガボンドを取り出すと、「いつ終わるんすかね?」と美容師さんが話を振ってくる。「仮にあと五巻で完結するとして、

          バガボンドは完結しなくても良いと思ってる