バガボンドは完結しなくても良いと思ってる

バガボンドが好きすぎる。

高校3年生まで、一番好きな漫画を聞かれるとシティーハンターと答えていた。大学生になって初めてブックオフで大人買いしたのがバガボンドで、それ以来、理想の男が冴羽獠から宮本武蔵に変わった。

休日の電車移動、居酒屋での一人飲み、コロナのワクチン接種待ち時間など、ひとりの時間に没頭したいときはバガボンドを鞄にしのばせている。
美容室でのカラー中にバガボンドを取り出すと、「いつ終わるんすかね?」と美容師さんが話を振ってくる。「仮にあと五巻で完結するとして、今のペースだと一冊あたり最低五年はかかると思うんで、きっと終わらないですね。」私は”バガボンドいつ終わるのか論争”では毎回こう答える。
せっかく話を振ってくれているのにそっけない返事だとは思いつつ、完結してほしいと強く思っているわけでもないので、あっさり答えられる。

井上雄彦のTwitterに「バガボンド早く続き書いてください。」「スラムダンクの続編書いてください。」こんなリプライが多くてちょっと嫌だ。
スラムダンクに関して言えば、あんなに芸術的な最終話を読んでおいて続きが読みたいと、こともあろうに作者にリプライで送りつけるということに対して「まじか」と思ってしまう。まあ、たしかに続編が出たら読むけど。予約して買うけど。映画も楽しみやけど。
バガボンドに関しては、もうただ与えられるだけの娯楽ではなくなってしまい、安易に「早く続きが読みたい」と思えなくなってしまった。それもそのはず、史実がすでに盛大なネタバレになっているので、巌流島のラストが頭をちらつく。

沢庵が武蔵に言ったように、もう武蔵には斬り合いを望んでいない。そして、剣に打ち込む老人が武蔵に語ったように、剣を持った人間、つまりは人間みんなが何をできるのか、武蔵を通して見てみたい。

武蔵となんの共通点もないアラサーOLの私がなんでこんなに共感できてしまうのか、天下無双と息巻いて執着していた武蔵が、小次郎とのじゃれあいで友情を、おつうや伊織たちとの関わりの中で愛情を、沢庵や斬り倒してきた相手達に感謝を確かに感じていく姿をみると、武蔵には幸せで、笑っていて欲しいと思う。

井上先生、どうせもう原作のストーリーからちょっと外れているわけですし、巌流島のラストでは誰も斬り合わないというのも、ありよりのありですよ!笑

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