ちゃろみ

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ぬばたまの花

 自身の片割れがほのかに抱いている恋の欠片をすくい上げることは出来ても、己が抱いている想いには自覚できないのがリディー・マーレンという少女だった。  目の前を背の高いブロンドの青年と妹がじゃれ合って歩いている。傍からだと、似ていない仲睦まじい兄妹としか見えないが……リディーは知っている。妹の頬へ微かに朱がさしていることに。文字通り生まれた時から一緒だった自分でなければ、わからなかっただろう。  ふざけて青年に腕を絡ませる妹が、その一瞬前、意を決するよう息を吸ったことに……恐ら

    • 成年向け読書感想文『流されトラップ』

      サークル「ライトコーラル」様  オリジナル読み切り作品『流されトラップ』 本作が素晴らしかったので、当初はここ(note)にレビューを書いて紹介しようと思いましたが、まずは販売先(上記リンクDLite)へレビューを書くのが一番だろう……ということで、そちらに投稿したものの追記修正版をこちらにも記載する形とします。 (といっても、今現在、DL siteへ投稿したレビューが掲載待ち状態になっているので、読めるのはこちらが先になるかもしれません…) まず結論!!!とにかく可愛くて

      • 感想 僕しか知らない兄の顔2

        サークル『久米』様 大好きな前作からの続編だ!!!と気付いた瞬間に買い物カートへ即投入(仕事中)即読破(業務中)即悶絶感動(勤務中)してしまいました。 今でこそ自分は大人になって社会人となり、彗くんみたいな子にも優しくしようと思えるようになりましたが、案の定、思春期の頃は彗くんタイプを見ると、正直言うと天明が彗くんに抱いたような……嗜虐というか、そういう、イラァ~~ってなってたタイプで、当初、この作品は前作では彗くんの心情にリンクして、人生、どうしようもない嫌な時でもどうし

        • Lステ4千葉 作品感想

          アキサモさん 「なななな」 初手から深遊ちとせ氏の的確な指摘およびそこから導き出された『でかいちち部』という特性、これは学術的にも大変に納得のいく論理であり、ドクターアキサモ氏による大変に学術的で豊満なイラスト資料は圧巻であるといえよう。何よりもこのD-ちち部の学術理論を拝見していると私の全身が興奮を覚え、大変すばらしく非常にとてもgoodエッチでした(真実) 「SHIFT」 大好きシリーズ最新作。いつも待ってましたと言わんばかりの本作、今回は船橋ときましたか。なるほ

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        ぬばたまの花

          『うたかたの星』ネタバレ解説

          Lステ4千葉で頒布しました諸星すばる小説「うたかたの星」をお手に取って下さりありがとうございます。 本記事は既にお読みいただいた皆様に対して、解説や裏設定を垂れ流す記事ですので、ぜひ、読後に見て頂けましたら…とご留意願います。 『お月様の名前を伏せたことについて』 お月様の正体は100%みんなわかってることだと思うので今更ここで名前を出すのも粋じゃないなと思うので名前は出しませんが、ではなぜ名前を伏せたかというと「彼女の正体を確定存在にしたくなかったから」です。 たぶん誰

          『うたかたの星』ネタバレ解説

          寄る辺の道に

           新居浜いずなとそのマスターと別れて三日目。みろくのサポートがあるとはいえ、文字通り『人間』が一人になるとやはり何かと不便ではある。勿論、みろくと二人で旅する時間の方が圧倒的に長いし、『でんこ』なんていう超常的存在からもたらされる多大な恩恵を受けている身でこんな事を言うのは贅沢であるのだが、そこはソレ。  そもそも、俺たちマスターが旅をさせられているのは、このみろく達の親玉ーー未だ責任者の顔すら見せないどうにも胡散臭いーー協会とかいう奴腹のせいなのだから、文句の一つを垂れても

          寄る辺の道に

          ぬばたまの

           レイカが丁稚と廓抜けしたかと思うと、その日のうちに身投げをしたとの馬が入りました。どうやら元よりそのつもりらしく、ご丁寧に遺書まで残されてまして。  前兆はあったのですよ。舞台では蝶よ華よと弄ばれても、付け人の頃から、それこそアタクシの年まで夜は客をとらなくてはいけませんから。この頃はいつも泣いていましたね。  それで、男の方はくたばっちまいましたが、レイカの方は息がありました。まあ、死んでないとは言っても身体はこの有様じゃ、せいぜい、花が散るまでタコ部屋です。  意外だっ

          ぬばたまの