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🐚フィールド調査日記①🐟

#夏の写真

2015年8月~、私は実家周辺地域の環境保全のため、当地のレッドデータブック(RDB)編集委員長を務めている生物専門家と協同で、自然観察・調査活動を続けてきた。
(水槽内での飼育実験・食性の継続観察などを行った年もあった)

その調査項目は、自身が家族とともに採集の仕事を行っている現場(干潟)の生物にとどまらず、海岸植物や河川に棲む甲殻類、昆虫・哺乳類・爬虫類・植物全般におよぶ。 

今回紹介する画像はいずれも今年の調査で得られた画像ではなく、昨夏までに撮影されたもの。

(環境保全の観点から)調査パートナーの専門家から既に公開許可が得られている生物写真を紹介しつつ、自身の今後の調査課題や分析テーマなどを軽くご紹介しておきたい。

なお、今回の記事のアイキャッチ画像がなぜ猫🐱(実家で飼われている猫)なのかというと……

私たち親子の調査・観察活動を常にずっと見守ってくれてきた、そして時には、そのかわいい「猫の手」を快く貸してくれた、大事なサポーターだから。

そのため、我が実家の「護り神」とも言うべき猫様🐱に今回、「記事の顔」としてご登場願うことにした(笑)


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①ムラサキガイ

2022年、私の母が干潟で撮影したもの。殻長2センチ程度の幼個体。

思えば、私たち親子のRDB関連調査への協力は、たまたま現場で知り合った専門家から、この貝の調査依頼を引き受けたところから始まった。

環境省の最新レッドデータでは、「絶滅危惧Ⅱ類(VU)」。

この貝はよく、侵略的外来種の「ムラサキイガイ」(通名「ムール貝」と称される)と混同されることがあるが、まったくの別物である。


● ムラサキ イガイ……イガイ目イガイ科

● ムラサキ ガイ……マルスダレガイ目シオサザナミガイ科 ←今回紹介している貝

調査を開始した年には、ムラサキガイの生体サンプルがたった一個体しか得られず、ほかは新鮮な死殻が多数出土するばかりだった(しかし、それは沖合にまとまった数の生貝がいることを示唆していた)。

その後、調査地の干潟環境が回復の兆しを見せ、現場で観察できる干潟生物がバリエーション豊かになってくると、このムラサキガイも多くの地点(潮間帯)で新鮮な死殻や、産まれて間もない稚貝を数多く目撃するようになった。

ただ、年によって干潟環境は大きく変わるし、周辺の山々の環境異変や河川護岸工事などに伴う環境改変などによっても、大きな影響を受ける。

もちろん、近年の温暖化に伴う海水温の上昇も、生態系に甚大なダメージを与えるリスク因子の一つだ。

ともあれ、私たち親子が過去、地元RDBに調査協力を行ったことにより、このムラサキガイは当地でも「準絶滅危惧種」として指定されるに至った。

同時に、専門家の手で学術的な発見報告がなされたが、今後、健全な個体群を維持できるかどうかは不明。

楽観視は禁物だ。


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②ユキガイ

2021年撮影。これも殻長1.5㎝程度の稚貝。

本種は「ソトオリガイ」という二枚貝と見た目が似ており、同所的に得られるため(棲息に適した環境が同じ)、現場では発見時に混同が起きやすい。

しかし、水管の太さが異なるのと、砂中深くに潜っていくときの速度・挙動がまったく異なる(ユキガイは一瞬で水管を引っ込めて隠れようとする)。

これまでそうした違いを注意深く観察してきた私は、潮干狩り中、水管の先端を目撃しただけでどちらの種か大体見分けがつくようになった(生体・実物を何度も観察する、という経験は後々の調査活動において大きな強みとなる)

このユキガイも当地では長らく生貝がほとんど見られない状況になり、絶滅が危ぶまれていたが、ムラサキガイの出現頻度が高まった直後ぐらいから、潮干狩り中によく見かけるようになった。

今年の干潟でも回復傾向にある。

ただし、これまた将来的な生存について楽観視は禁物。
地元RDBの絶滅危惧指定から外れることはないだろう。


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②シラオガイ

全て、合弁死殻・片弁死殻として発見したものだが、いずれも殻のコンディションは新鮮。2022年、ケマンガイとの相違点を解説する文書を作成した時、添付画像として撮影した1枚。

本種に関しては、私が2018年に発見・採集する年まで、当地での採集記録が残っていない状態だった。

そのため、まだ当地の自治体RDBには、私たちの調査内容や最新情報は反映されていない。

が、間違いなく絶滅が危ぶまれる状態であり、次回のRDB更新作業の時にはいずれかのランクに指定する必要がある(…ということで、調査パートナーの専門家と意見が一致している)。

環境省レッドデータでは「準絶滅危惧種(NT)」。

これからもしっかりと、現場の状況を観察していかなくてはならない。






🐥本日の記事は以上です🍀
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