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安倍元首相銃撃死 翌朝新聞紙面の写真取り扱い

 7月8日、奈良市の近鉄大和西大寺駅前の路上で、参院選候補の応援演説をしていた安倍晋三元首相が男に銃撃され亡くなりました。67歳でした。

 通算の首相在職期間歴代最長をほこり、現在も自民党最大派閥のトップである大物政治家が選挙期間中に殺害されるという、極めてショッキングなニュースとなりました。

 現場には多くの記者が居合わせたこともあり、9日付の朝刊紙面には銃撃直後の安倍氏の写真が掲載されていますが、どの面に掲載したか、画像にモザイクをかけたかどうかなどの取り扱いに違いが出ました。


 今回、一般紙で入手した新聞は、5全国紙の大阪本社版最終版(朝日14版△、毎日14版、読売14版、日経14版、産経14版)と大阪日日新聞、東京新聞(12版)の七つです。

 各紙が1面に掲載した写真は次のとおりでした。

 銃撃された後の安倍氏の写真を1面に掲載したのは毎日、読売、産経の3紙でした。

 最もインパクトの強い写真を選んだのは毎日でした(写真リンク=毎日新聞ウェブサイト)。路上で手当てを受けている安倍氏を斜め上方向から撮影したもので、目を閉じた安倍氏の顔がはっきりと分かります。掲載位置も上中央の目立つ位置でした。ただし首元はモザイク処理されており、傷や、ワイシャツの血に染まった箇所は明瞭になっていません。

 産経も同じく手当を受けている様子ですが、安倍氏の頭の方向から水平に撮られているため、毎日ほどは表情はよくわかりません。また、銃撃された首元や胸の箇所は安倍氏の頭や、手当てをしている人の腕などで隠れており、モザイク処理はされていないものの画質がそもそも粗いため、ワイシャツに血がついているのがかろうじてわかる程度となっています。写真は共同通信配信のもののようです(スポーツニッポンAneexに掲載のものと同じ=写真リンク

 読売は担架に乗った安倍氏が救急者に乗せられようとしているところを遠方から撮ったもので、、傷や血、ワイシャツは全く写っていません。(写真リンク=読売新聞オンライン)

 その他の新聞では、銃撃前に撮影された演説中の安倍氏の写真や、取り押さえられる容疑者の男の写真が載せられました。

 1面掲載を回避した社のうち、朝日、日経、大阪日日は中面で掲載。東京新聞は掲載しませんでした。

 日経と大阪日日は大見出し直下の目立つ位置に掲載したものの、朝日は臨時特集面の最下部という目立たたない位置にしました。この特集面は、容疑者の男が取り押さえられる様子を組み写真で伝えることをメインとする構成になっていました。

 銃撃後の写真は安倍氏が意識を失っているようにうかがえます。事件自体の衝撃を伝える上でもこの写真を掲載する意味はあると思います。

 一方でやはり写真自体の衝撃度ゆえ、意図せず目に飛び込んできやすい位置に載せることに慎重さが求められるのも理解できます。顔がはっきり分かる形で1面の目立つところに載った毎日新聞は、例えば喫茶店や電車の中で読むには躊躇します。

 報道の公益性と、読者への配慮とのバランスの中で編集判断が分かれた形となりました。

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