ココナツ・チャーリイ

映画レビュー、ブックレビュー、新聞流通研究の3本柱で記事を書いています。 2023年7…

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映画レビュー、ブックレビュー、新聞流通研究の3本柱で記事を書いています。 2023年7月まで更新していたブログ「CharlieInTheFog」(http://charlieinthefog.com/)から、記事を順次移行中です。 大阪在住、20代。

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「80年 躍進する敦賀」は今 賀春CMの企業を見に行く

 YouTubeには古いCMの録画がたくさん投稿されていますが、最近目にした動画の中でもひときわ、珍しいと感じるものがありました。  内容はいずれも、敦賀市関連企業による賀春のあいさつ。登場するのは各企業の幹部。アナウンサーではありませんから、どうも喋りがたどたどしく、これが今となっては趣の深い映像になっています。  果たしてこれらの企業は今もあるのだろうか――。今回は、回数が余っている青春18きっぷを使って敦賀を訪ね、「80年 躍進する敦賀」に登場した各企業が今どうなっ

    • 『悪は存在しない』と『GIFT』(ロームシアター京都ライブレポ)

       音楽家石橋英子が、ライブ・パフォーマンス用の映像制作を映画監督濱口竜介に依頼し、その過程ででき上がった映画が、ベネチア国際映画祭で銀獅子賞を獲った106分のトーキー『悪は存在しない』(4月26日劇場公開予定)であるが、元の石橋の依頼に応える形で作られた「シアター・ピース」が、74分の無声中編『GIFT』である。  この『GIFT』のライブ・パフォーマンスは、国内では昨年11月23日の東京フィルメックスでしか行われていなかったが、2月24日、ロームシアター京都ノースホールで

      • 平尾昌宏著『人間関係ってどういう関係?』

         ずっと「親友」が「友人」の一類型として位置づけられることに、なんとなくモヤモヤしてきた。  例えば、異性の親友との会話の中で「私たちって絶対彼氏彼女にはならないよね」というセリフを聞いたとき、みんなはどう受け止めるのだろう。私も何人かから言われたことがあるが、正直少し淋しい気持ちになる。別に付き合う気などさらさらなくても、である。  2人の親密さを形容する言葉として発せられていることは十分理解できる。そのこと自体はありがたい。「恋人」かそうでないかの間に大きな一線が引か

        • 映画『夜明けのすべて』評/「一時の幸福」を超え、三宅唱監督は新たな時間世界を描出した

           これまでの三宅唱監督作品に映る幸福な時間は、永遠に続くことのない一時の祝祭的な時間でもあった。  『きみの鳥はうたえる』(2018年)の「僕」、佐知子、静雄の3人の享楽的な時間の終焉。『ケイコ 目を澄ませて』(2022年)でケイコの寄る辺となってきた老舗ジムの閉鎖。スクリーンに映る素晴らしき時間は、常に終焉を示唆する緊張感も漂わせていた。  三宅映画に感動しながらも、どこかで寂しさを覚えるのはこの点による。束の間の幸福な時間が、のちの人生を支えるのであろうことは示唆され

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          映画『熱のあとに』評/予想もしなかった人生にある悲惨と希望

           愛したホストを刺した女の6年後の話と聴けば、狂気や激情をイメージするが、この映画はそういう作品ではない。むしろ自らの理性に従って信じるものを信じ貫いた結果そうなってしまったのが、主人公・沙苗(橋本愛)であった。  彼女にとって、生きることすら絶対ではなかった。木野花演じる精神科医に「全てを捧げるからこそ愛は永久不滅で、そのほかは愛に近いもの」と語る一方で「当時の自分にとって、生きることと死ぬことはそこまで変わらなかった」ともいう。だから愛の形が、生によるものか死によるもの

          映画『熱のあとに』評/予想もしなかった人生にある悲惨と希望

          映画『春原さんのうた』評/風と湿度が同居するショットに生を見る

           モノローグはおろか説明ゼリフも一切ないショットの連なりは、まさに「映像詩」の名に相応しい。じっくり見ていく中で、主人公が喪失を受け止めようとしていく過程にあることが分かる。  ハッとさせられるショットがいくつかあるが、白眉は真っ暗な部屋で眠っていた主人公が起き上がるところだ。白い枕の沈み込みに、間違いなく主人公が「生きている」という実感が表れる。まるで体温までスクリーンから伝わってくるような、力を持ったショットだった。  その部屋がフェリーの船室であることが後でわかる。

          映画『春原さんのうた』評/風と湿度が同居するショットに生を見る

          現在の震災が直接の当事者ではない人のために ~外岡秀俊著『地震と社会 「阪神大震災」記』の薦め

           元日に発生した能登半島地震から1週間がたちました。被災された方はもちろんのこと、遠隔地の方でも、親類縁者が北陸にいる、職務等で災害対応に当たっているなどの事情がある方は、身に迫る心配の多い日々を過ごされていると思います。  一方で、今回の地震災害と特に具体的な関わりはない方の中にも、日々の報道を見るなかで、不安や葛藤状態になっている方もいらっしゃるかもしれません。  私は被災経験はありませんが、阪神・淡路大震災を経験した方々と関わる機会を大学時代に得て以来、毎年1月17

          現在の震災が直接の当事者ではない人のために ~外岡秀俊著『地震と社会 「阪神大震災」記』の薦め

          速報! #ガンジツスゴクオモイシンブン 2024

           2024年になりました。ことしも当ブログをどうぞよろしくお願いいたします。年初恒例企画「ガンジツスゴクオモイシンブン」のページ数速報をお送りします。  新聞にとって元旦紙面(1月1日付朝刊)は大型企画やスクープ、政財界要人対談などを掲載し、企業の賀春広告を集めるなど、特に力を入れて製作する見せ場です。  別刷りが多数作られ重量が大きくなることから、新聞流通研究の同人サークル「横浜新聞研究所」が「シンカンセンスゴクカタイアイス」のパロディーとして「ガンジツスゴクオモイシン

          速報! #ガンジツスゴクオモイシンブン 2024

          2023 映画鑑賞この一年

           2023年に見た映画は延べ130本でした。昨年比5本増とほぼ変わらぬ鑑賞頻度でしたが、その中身は大きく変わり、今年は大半が旧作となりました。そこで今年の「映画鑑賞この一年」は印象深い旧作の上映イベントを振り返りたいと思います。 ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ リプリーズ(6月24日~/渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国ロードショー)  濱口竜介が影響を受けた監督として必ず名を挙げるジョン・カサヴェテスの特集上映です。  中でも特に衝撃を受けたのは『チャ

          2023 映画鑑賞この一年

          2023 読書この一年

           今年の読了冊数は86冊でした。昨年よりも約10冊減りました。なかなか読書のタイミングが取れなくなりつつありますが、それでも、時折恵まれる収穫には熱中してしまうものです。  今年読んだ本の中から特に印象に残った9冊をご紹介します。なお、「今年読んだ本」ですので、昨年までに発売された本も含まれます。 『家政婦の歴史』 今年の新書で一番の収穫は、濱口桂一郎『家政婦の歴史』(文春新書、7月発売、8月15日読了)でした。家政婦が、労働基準法による保護から漏れるに至る過程を、まるで

          『1日240時間』in パルシネマ「万博映画特集~70年大阪万博の光と影~」

           1970年大阪万博にちなんだ映画の特集上映「万博映画特集~70年大阪万博の光と影~」が12月10日から19日にかけて、神戸・新開地の「パルシネマしんこうえん」であり、10日には同万博の会場で公開された安部公房脚本、勅使河原宏監督の珍品『1日240時間』が上映された。  本特集は、同じテーマで甲南大学文学部が12月上旬に開催した第1回「甲南映画祭」の地域連携企画として、パルシネマでの興行が実現したもの。  服用すると10倍の速さで動けるようになる加速剤「アクセレチン」が発

          『1日240時間』in パルシネマ「万博映画特集~70年大阪万博の光と影~」

          『ある精肉店のはなし』評/技能の必然性をとらえた映像記録

           名前だけは知っていた『ある精肉店のはなし』(纐纈あや監督、2013年)というドキュメンタリー映画は、ついに見る機会を逸したままだったが、公開10周年の記念日に当たる2023年11月29日、大阪・十三の第七藝術劇場にて上映があると聞きつけて仕事帰りに向かった。  冒頭、家の裏にある牛舎から牛を引き出していく。男手一本でやや興奮ぎみの牛をなだめすかしながら屠場へ連れて行く。  その日は「屠畜見学会」が催され、衆人環視の中、牛を「割る」のである。牛の眉間にハンマーを振り下ろし

          『ある精肉店のはなし』評/技能の必然性をとらえた映像記録

          『ケイコ 目を澄ませて』バリアフリー版を見る

           来年日本公開される濱口竜介監督の新作『悪は存在しない』のジャパンプレミアが11月26日、広島国際映画祭2023の4日目の招待上映として開催されるのを知り、同日、広島・基町のNTTクレドホールを訪ねた。  同作は14時からで、午前中には三宅唱監督の傑作『ケイコ 目を澄ませて』(2022)が上映されるということなので、朝から会場入りして2本見ることにした。  10時半、『ケイコ』の上映直前、本上映がバリアフリー上映である旨のアナウンスがあった。てっきり日本語字幕の付いている

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          北野武監督『首』レビュー/自身のフィルモグラフィーを批評する徹底した茶化し

           昨今、年老いた巨匠が自らのキャリアを総括する作品を作る例が多い。宮崎駿『君たちはどう生きるか』、スピルバーグ『フェイブルマンズ』などである。  北野武ももう後期高齢者である。前作『アウトレイジ最終章』(2017)は、枯れて枯れて最後には、やっぱり自裁したいのか……という、北野映画ファンにとっても悲しいものだっただけに、新作がキャリアの総括になったらどうしようという不安があった。  不安は解消された。たけしは未だ現役である。  とにかく、過去の自らの作品の引用がとても多

          北野武監督『首』レビュー/自身のフィルモグラフィーを批評する徹底した茶化し

          濱口竜介監督、仙台でカサヴェテスを語る

           『ドライブ・マイ・カー』(2021)『偶然と想像』(同)などで知られる映画監督濱口竜介さんが講師を務める映画講座「映画のみかた モーションとエモーション」(幕の人主催)が11月11、12両日に仙台であり、受講してきました。  午前に映画が1本を上映し、休憩を挟んで、午後は濱口さんが登場し、上映作の各シーンを確認しながら、その作品の何が秀でているのかを語るという贅沢な企画です。  11日の作品は、濱口さんが最も影響を受けた映画作家と公言しているジョン・カサヴェテスの『こわ

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          阪神日本一、なんばで号外配布

           プロ野球日本シリーズは5日の第7戦で、阪神が7-1でオリックスに勝って4勝3敗とし、38年ぶり2度目の日本一に輝きました。  NHKがニュース速報で阪神日本一を伝えたのが午後9時44分。私は野球ファンではないので、大阪・九条の映画館「シネ・ヌーヴォ」で『不安は魂を食いつくす』を見ている最中でした。  22時すぎに終映し、映画館を出ると既に試合は終了。九条は、試合会場の京セラドーム大阪から徒歩9分前後の場所ですが、近くの商店街では、阪神、オリックスどちらのユニホームを見る

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