無持菴 茶の湯の日日

様々な古茶室や近代建築の中で茶会を披いております。 道具無し茶室無しの厳しい制約の中で…

無持菴 茶の湯の日日

様々な古茶室や近代建築の中で茶会を披いております。 道具無し茶室無しの厳しい制約の中で如何にして茶を行うかを考える日々。 数寄茶修行中。         #茶道#お茶会 https://sites.google.com/view/kamakura-chanoyu/

最近の記事

松永記念館茶会 跡見の会

松永記念館茶会跡見の会 小田原の松永記念館では朝から風は強いものの、天気の大きな崩れもなく、見学者も少ない穏やかな日となりました。 昨年11月3日の松永記念館茶会では、席を持つことが決まってから日にちがすくなく、無持菴メンバーの皆さんにもお知らせが遅くなってしまいました。 残念ながらご参加の叶わなかった方々がお集まりくださり、同じ内容で一会を開催致しました。 同じ事を二度行うと反省や変更した方が良い点も見えて来て、次につながる良い学びの機会となりました。 ご参加の皆様、

    • 寒雲亭

      鎌倉東慶寺にて開催された観音縁日月釜に参加し、かねてより関心のあった茶室「寒雲亭」に初めて席入りしました。 茶室の構造そのものは付書院のある八畳間で躙口はなく貴人口のみ、床の間と鉤の手の二枚襖を開けると、四畳枡床の小間と繋がっています。 千宗旦が建てた茶室ですが、天明の火災で一度消失しその後再建されております。 明治時代に諸々の事情により裏千家から東京の久松家(旧伊予松山藩主)に渡り、その後昭和四年に裏千家の女流茶人の堀越宗円女史の鎌倉材木座の邸宅に移築されました。 記録

      • 甘柑荘の炉の修復

        甘柑荘の炉の修復が完了いたしました。 甘柑荘の六畳の茶室に切られた炉は松永耳庵と交流のあった三淵忠彦氏がおそらくは小田原茶人の好みの田舎家の茶室をイメージした囲炉裏の見立てで切られた炉であると思われます。 六畳間ですので大炉の点前にも使用はできますが、寸法は二尺で大炉よりさらに二寸ほど大きく、かつての写真でもやはり囲炉裏として使用されている様子が見られます。戦後の改修以前には天井に蛭釘が打たれていたそうで、写真でもやはり自在鉤が微かに写っております。 小田原城の修復に携

        • 2023年のふりかえり

          昨年は一月の松下亭での初釜に始まり、町田市鶴川の虚心亭、松永記念館の無住庵での茶会、横浜と鎌倉では近代建築の中での茶会、そして後半は松永記念館茶会、益田鈍翁追善茶会で初めて大きなお茶会の席持ちを経験いたしました。 また、小田原市の三淵邸甘柑荘の施設公開での茶席を季節ごとにお手伝いさせていただきました。 13回催したお茶の席では全く雰囲気の異なる環境で、その場にふさわしい席を作るという自分の定めた課題に挑戦し、失敗と試行錯誤を繰り返しながら、様々なことを学ぶことができました

          流転の茶室「獨楽庵」

          利休より始まり、その姿形を変えながらも四百数十年の時を生き抜いた流転の茶室「獨楽庵」。戦前には鎌倉数寄者の所有で北鎌倉に所在しておりましたが、現在は八王子で「桑都茶寮 獨楽庵」として穏やかな日々を送っております。 本日は獨楽庵をはじめとする大小4つの茶室を備えた茶寮の「船越席」にて庵主の小坂先生が二客一亭のシンプルな茶事でもてなして下さいました。 点心席での食事と一献の後、主菓子は侘助をかたどった練り切り。その後蹲踞を使い、船越席での濃茶薄茶となりました。 灯火の灯のみの厳

          流転の茶室「獨楽庵」

          近代建築で茶の湯を

          「近代建築で茶の湯を」 去る9月24日(日)に横浜市中区にあります地区93年のビルヂングにある茶室で小さな茶会を開催いたしました。 1930年に建築家川崎鉄三の設計で外国人向のアパートメントとして建てられ、現在は一般の居住、オフィス、アトリエなどとしてそれぞれにリノベーションして利用されております。 エントランスや階段や廊下は建築当時そのままの形を残し、共有部分には古い電話など、かつての姿を彷彿とさせるものが残っております。 茶室は持ち主のかたのセンスによる和風モダンな明

          近代建築で茶の湯を

          「鎌倉の洋館で茶の湯を」利休の先を生きる時代のために

          紫陽花の花に町が包まれている6月。 鎌倉の洋館で楽しむ茶会を開催いたしました。 これまで数々の名席と言われる近代数寄者の残した茶室を中心に建築作品として優れた茶室での席を披いてまいりましたが、今回初めてテーブルと椅子による洋間での茶会を試みました。 流泉庵からの活動期間も20年を経て、そろそろ足腰の不安で茶会への参加を躊躇う方が出始め、最近のいくつかの出来事もあり、座礼だけの茶ではなくもっと広い視野で考える必要性を感じておりました。 しかしながら、御園棚やタワフルで腰掛の立

          「鎌倉の洋館で茶の湯を」利休の先を生きる時代のために

          驟雨

          もはや梅雨入りしたのではないかと思われるような豪雨の一夜が明け、静かな曇り空でかろうじて雨んが止んだ5月14日(日)。 当初は翌週21日の開催を予定するも同じ会場にて開催を予定する大規模イベントの圧力で変更を余儀なくされたという、曰くのついたスタートでした。

          十薬

          「ドクダミ」とも呼ばれますが独特の強烈な匂いは邪気を払う強さが感じられて周囲の空気が清められる気がします。 幸運を呼ぶと言われる5弁のはなを今朝庭で見つけました。 活ける人の精神により「十薬」にも「ドクダミ」にもなる危うさもまた魅力です。

          甘柑荘 端午の節句の呈茶席

          甘柑荘での端午の節句の呈茶席が終了いたしました。 皐月の青空のもと、地元のお祭りの日でもあるため時折祭囃子の聞こえるまことに風情のある環境での茶席となりました。 お茶人のかたのご来席も多数あり、お茶談義が盛り上がる一方で三淵忠彦氏と三淵家の歴史にもみなさま大変興味をお持ちになり、建物を熱心に鑑賞されておりました。 茶の湯の暦では初風炉の時期ですので、爽やかさを感じられるような薩摩焼の瓶掛けに竹の結界を設えてみました。 菓子は小田原で有名和菓子店の餡を作る鈴木製餡所と小

          甘柑荘 端午の節句の呈茶席

          花は野にあるように 

          日本橋高島屋にて開催されている山村御流のいけばな展の観覧のため、コロナ禍以来三年ぶりに東京を訪れました。 江戸前でデパートが大好きだった父に連れられて買い物に訪れた子供時代や、その後仕事で訪れた頃の日本橋界隈は表通りから少し裏通りへ入るとまだ昔の面影を残したお店や民家も残っておりましたが、その後長らく訪れることもないまま久しぶりに歩く街並みは開発の大きな変化を遂げて、江戸の面影なども微塵も感じられなくなってまことに寂しい限りです。 話は戻りますが山村御流は奈良の円照寺という

          花は野にあるように 

          桜花一瞬

          桜花はあっという間に去って行きました。 庭に飛んできた花びらだけが名残を留めます。 4月の名席体験会ではそのような花のひと時の姿を桜皮細工の銘々皿と花吹雪をイメージした鶴屋吉信の「春景色」で表現してみました。 #茶道#古茶室#虚心亭

          春の名席体験会 鶴川の茶室「虚心亭」

          桜がまさに満開を迎えた4月2日に町田市鶴川にあります茶室 虚心亭 にて春の名席体験会を開催いたしました。 鶴川は白洲正子さんの旧居である武相荘で知られるようになりましたが、田畑と開発された住宅地の続く町です。 白洲夫妻が空襲の危険を避けてこの鶴川に移住したのが昭和17年。戦争がいよいよ激しくなり始めた時代にあっても鶴川は静かな農村で、小田急線の駅まで畦道を延々と歩いてむかったそうです。 住宅街を一歩奥へ入ると昔ながらの里山の風景もまだ残っていて、虚心亭はまさに、白洲正子さん

          春の名席体験会 鶴川の茶室「虚心亭」

          お湯割点前

          お湯割点前 昭和30年に小田原の老欅荘裏のみかん山の中腹に農家の家の一部を利用して田舎家の茶室を建てた松永耳庵は、そこで囲炉裏に見立てた炉を囲んで、自由な茶の湯を楽しみました。 この茶室が現在は老欅荘隣に移築された無住庵です。 園遊会も開いて、多くの人を招き茶や食事を振る舞ったそうです。写真はその時に耳庵が自在に釣った手取り釜の湯を柄杓で汲み、ウィスキーのお湯割を作る姿を写したものです。 まるで盆点前の要領で柄杓のお湯をグラスに注ぎ、周りで興味深げに見守るお客様の姿に

          甘柑荘 雛の呈茶席

          昨日小田原板橋の甘柑荘における「雛の呈茶席」が無事終了いたしました。 甘柑荘も地元を中心とした方々に広く知られるところとなり、また小田原雛道中のイベントにより内野邸武功庵さんからの回遊でご参加の方や、古民家を愛好し甘柑荘をぜひ見学したいという方から無持菴ファンの方まで、広く様々な方のご来席をいただき、賑わった1日となりました。 流泉庵時代に英勝寺にいらして下さっていたお客様が久しぶりにと慣れない小田原で、道を探しながら、わざわざお訪ねくださった感動的な再会もございました。

          甘柑荘 雛の呈茶席

          2023 新春の名席体験会 松下亭

          小田原でも梅が開き始め、微かに春の香りが漂い始めた一月の末。 箱根板橋の老欅荘茶室「松下亭(しょうかてい)」に於いて新春の名席体験会を開催いたしました。 小田原三茶人のひとりである松永耳庵が、昭和21年12月以来晩年の住まいとした、老欅荘の一番奥に位置する茶室の松下亭は、8年の歳月をかけて耳庵と夫人が試行錯誤を重ねて茶道と生活の調和のとれたささやかで快適な日常を目指して増改築を繰り返した建物です。 当初は現在の寄付きを松下亭と称していました。 現在の松下亭は迷路のような構

          2023 新春の名席体験会 松下亭