シュークリーム心理学
–– シュークリームが食べたい気分
そこにはいつも決まってあの感情 ––
たまに衝動的に、シュークリームが食べたくてしょうがなくなるときがある。
その衝動はだいたいいつも、ちょっと遅い時間の帰りの電車で、最寄りの駅の二つ手前くらいで湧き上がる。
一度その衝動に呑まれたら、私はシュークリームを食べずして抜け出すことができなくなる。
そう
一度あの感情が起こると誰にも止められない。
これはシュークリームにしかない感情であって、
エクレアにも
クレープにも
ショートケーキにもなぜかない。
そしてこういう気分のときは、いつも決まってコンビニのシュークリームが食べたくなる。
あのふにゃっとしたシューと、たっぷりとは言い難いWクリーム(Wは既定事項)と、100円台という手軽さ。
洋菓子店のシュークリームではだめなのだ。
そもそもコンビニのシュークリームが食べたくなるような時間に開いている洋菓子店はそうない。
駅から家までの帰り道の途中にあるコンビニを脳内マップで検索する。
そして家に1番近いコンビニに決める。
余談だが、一度我慢できずに駅から1番近いコンビニでシュークリームを買ったことがある。
そうしたら、コンビニを出てすぐの夜道で袋を開け、シュークリームを貪り歩いてしまった。
(みっともない。)
これは人目を気にしながら、クリームがこぼれないように食べなくてはいけないため、味わえない。
オススメしない。
(されてもやらないか。)
こんな話はさておき、
コンビニごとのシュークリームのクオリティに、そう大差はないと思っている。
セブンでも
ファミマでも
ローソンでも
どこにでもシュークリームは売っているし、味の差がわかってしまうほど美味しくないシュークリームがこの世にあるとは考えられない。
私はシュークリームにかじりついたときの、あの幸せを想像しながらコンビニに入る。
そこからはスイーツコーナーまで一直線に速歩き。
他のスイーツは一切目に入らない。
それほどまでに
シュークリームは君臨している
堂々と
スイーツコーナーの頂点に。
(倒置法生まれて初めて使った。)
値段も見ずに、1番前にあるシュークリームを手に取ってレジに並ぶ。
ポイントカードも面倒だから、持ってませんと答える。
私は目の前にあるシュークリームが、早く食べたくてしょうがないのだ。
100円台のシュークリームを買って手に入るポイントなんかにかまっている暇はない。
そんな感じで当然のように「レジ袋いりません」と言って、裸のシュークリームを手でつまんで店を出る。
そして早足で帰宅
パパパっとコートを脱いで、手洗いうがいをして、アイスコーヒーを出して、
開封!
クリームがこぼれないように、ひっくり返して食べる。
以前妹に自慢げに教えられた裏ワザだ。
でも私はそのときすでに知っていた。
(姉あるある)
一度この食べ方を知ってしまうと、もうひっくり返さずにはいられなくなる。
ひっくり返さないとクリームが溢れる心配をしてしまい、ちゃんと味わうことができない。
私はシュークリームを味わいたいタイプだ。
(逆にそれ以外どんなタイプがいる?って感じだけど。)
いつもなるべくゆっくり幸せを噛みしめながら口に運ぶ。
そして思う存分味わい尽くす。
ゆっくりゆっくり味わう。
持っただけでわかるシューのふにゃっと感。
まだ溢れるクリームの心配をしなくてもいい1口目のぱくっと感。
若干はみ出そうなクリームが気にかかる2口目のぷしゅっと感。
そしてだんだん溢れてくるWクリームのとろっと感。
コンビニ特有のふにゃっとしたシューの、この気の抜けた感じがいい。
だって気を抜きたい気分なんだもん。
これを求めて私は洋菓子店ではなくコンビニに入るのだから。
洋菓子店のザクッとしたシューでは、この私の気分を満たすことはできない。
そしてこのなんとも絶妙な量のWクリーム。
これがまたいい
クリームが多すぎると食べるときに神経を使う。
私は気を抜きたい気分だから相応しくない。
かといってクリームが少ないと、それはそれで物足りない。
だってシュークリームが食べたくなるときは心が満たされたいときだもん。
だから私は満面の笑みで大口を開けて、クリームを少しも残さず全身に幸せを押し込むようにして食べる。¥
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