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組織の変革を阻害するものとは

はじめに断っておきますが今から書くことは自分が所属している組織について論じているわけではなくあくまで一般論としてあるだろうなという推測、個人の見解です。では始めます。

最近はDXという言葉を聞かない日はないくらいよく聞きます。僕はDXという言葉は人によって解釈や定義が異なるためあまり好きではありません。
この投稿においてはDX=デジタル変革という意味合いで捉えてもらえればと思います。
単なる手書き作業をクラウド等を使ってデータとして記録するようなデジタル化ではなく、仕組みによって今まで発生していた業務が短くなる、なくなる、全く別の効率的な運用に移行するなどの変化を変革と呼びたいと思います。

どこの組織も変革したい、予算も人も確保した、組織も新設した、でも遅々として変革が進まない、みたいな状態が起きているのではないかと推測しています。

なんで変革が進まないのか、意志もリソースもあるのに何が変革を阻害しているのか、ボトルネックを突き止めるための仮説をいくつか考えたいと思います。

仮説1:契約審査業務がネックになっている
変革する目的を果たす一つの手段として新しいクラウドのツールやサービスの導入、それに伴う契約締結が発生すると思います。ここに時間がかかるのがネックという仮説です。

段階を踏んでその要因について解像度を上げてみます。
契約審査に時間がかかる
 契約書の確認、調整に時間がかかる
  人力で契約書の確認をしている
   人手が足りない

契約審査業務に時間がかかるという仮説に別の切り口からもう一つ仮説を立てます。

契約審査に時間がかかる
 審査の途中承認者のチェックが細かい
  途中承認者の上司(役員)の指摘を最小限にしたい
   審査件数が多いため予め上司に指摘されそうな文言はできるだけつぶしておきたい
    役員等の偉い人も内容を確認しなければならない仕組みになっている
     契約上問題が起きた時の責任回避のため上位者も承認フローに含めている
      適切な権限移譲ができていない

書き出してみると2点目のチェックが細かい件がとても根深いなと感じました。何のために契約書を細かく確認するのか、本来の目的は将来何かしらのインシデントが発生した時、契約書はその後対応すべき処置の根拠とするルールブックとなるため、自社に不利にならないようにすることだと思います。しかし実態として考えられるのは「上の人はここを指摘しそうだから修正してもらおう」という内向きな視点に変わってしまい、本来の目的が失われている可能性があります。

これらに対して想定できる打ち手を考えてみます。
・人を雇う
人手が足りない点についての最も簡単な選択肢です。とは言え人を雇うのにも時間と手間がかかります。ミスマッチのリスクもあります。ベストな打ち手とは言い切れません。

・リーガルテックを導入する
営業系のセールスフォースや経理系のコンカーなどグローバルスタンダードなツールがあるかまで把握してませんがスタートアップ含めて契約書のAI、機械学習による契約書審査の自動化は一次チェック者の代わりになれるくらい進化していると思います。一次チェックをツールに任せられれば現場の担当者の負担を軽くできます。
契約書をOCR等で読み込んでデータ化する為、あわせて電子契約書の仕組み導入も考えられます。

・適切な権限移譲を行う
これが最も根深いですがもしかしたら最も簡単かつ効果的かもしれません。例えば役員から法務部長に最終承認を任せる。それだけで法務部長は役員の顔色を伺う必要はなくなり純粋に自分の物差しに従って契約書の内容を確認してくれるはずです。
どうしても多額の損害を被るリスクがある案件で責任を取りたくない場合や内部監査上ガバナンスとして必要な場合は、賠償の上限が数千万円規模になる場合は役員承認必須、それ未満の場合は部長承認でよい、などの調整をします。

仮に権限移譲した場合、問題が起きたらどうするんだという指摘が出そうなので、例えば過去10年の契約に関するインシデント事例を整理し、全体の件数の中で何%インシデントが発生したのか、そこから今後発生するリスクを算出して将来の損害リスクがほぼないことをファクトで実証したいところです。

数年先に発生するかどうかさえわからないインシデントを未然に防ぐために多くの時間が割かれないようにするにはどうしたらよいのか、適切に権限移譲するために必要なこととは、というさらに深掘りした考察がないと実現しない気がする為、もう少し考えてみたいと思います。

仮説をいくつか、と最初に書きましたがけっこうな文字数いってしまったので一旦ここで切りたいと思います。別の仮説は別途書きます。

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