金沢レインボープライドに関する資料PDF魚拓



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ふるさと・金沢に、

誰もが自分らしく居られる居場所を。



石川県金沢市のどこからもアクセスの良い中心地に、地元の人たちが毎日の生活のなかでも足を運ぶ、竪町(たてまち)商店街があります。



そのメインストリートから小道を入ってすぐのところ、ビルとビルの間に、築100年以上の平屋で一軒家の金沢町家がひっそりと建っています。



この度、ご縁をいただき、この金沢町家を借りて、歴史的な建築や趣をできるだけ残し、それらを生かしたリノベーションを施して、LGBTQ+をはじめとする多様な人たちが自分らしく安心して集うことのできる、常設の居場所づくりを目指すことになりました。



居場所の名前は「金沢にじのま」です。



常設の居場所「金沢にじのま」をつくる金沢町家:

竪町商店街の小道を入ったところ、大きな駐車場ビル「タテマチパーキング」の入り口横に建つ金沢町家。大家さんは先代まで家具職人をされていたとのこと。金沢市が条例にて定める、市の歴史、伝統及び文化を伝える上で特に保全及び活用の必要があると市長が認める「特定金澤町家」にも登録されています。北陸に多い古い建築様式である「あずまだち」が特徴的。


私のふるさとである金沢は、伝統的な家族観・家父長制・男性中心主義の風土や文化が、今でも色濃く残る保守的な地域のひとつです。



私たちはそんな金沢だからこそ「金沢にじのま」が必要だと信じ、一般社団法人金沢レインボープライドのメンバーを中心に、多分野の有志と力を合わせて新しい居場所づくりに挑戦します。



LGBTQ+とアライ、不登校や学習に困難のあるユースに向けて活動する人、障害の有無にかかわらず心地よく暮らせるまちづくりに関わる人、映像ディレクターやデザイナーなど。



多様な人たちが安心して集うことができるスペースはもちろん、さまざまな社会活動をする団体がワークショップを開催したり、伝統工芸やアートや音楽などのクリエイターが作品を紹介したりできるエリアや、金沢を訪れた人が気軽に立ち寄れるコワーキング・テーブルなども設置予定です。





一般社団法人 金沢レインボープライドのメンバー:

NPO職員、教育関係者、元国連職員、まちづくりコンサルタント、旅行業関係者、助産師、子どもの居場所づくりスタッフ、地元メディア編集者、大学生など、年齢も国籍やルーツも性のあり方も多様な人たちが集まっています。



本クラウドファンディングでは、金沢町家のリノベーションにかかる事業費を募るとともに、「金沢にじのま」に関わりたい、今後利用したいという仲間づくりをしていくことを目指します。



この挑戦を通して、誰もが自分らしく居られる居場所をつくり、伝統文化・教育・アートとの協働を進めながら、いろんな「ちがい」を金沢の「ちから」に変えていきたいと思っています。



どうか皆さんからの温かいご支援をよろしくお願い致します!



「金沢にじのまプロジェクト」代表

松中 権(まつなか ごん)



|プロフィール

一般社団法人 金沢レインボープライド共同代表 / 認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表 / プライドハウス東京代表 / 公益社団法人Marriage for All Japan 結婚の自由をすべての人に 理事



1976年、金沢市生まれ。一橋大学法学部卒業後、電通に入社。海外研修制度で米国ニューヨークのNPO関連事業に携わった経験をもとに、2010年、NPO法人を仲間たちと設立。2016年、第7回若者力大賞「ユースリーダー賞」受賞。2017年6月末に16年間勤めた電通を退社し、二足のわらじからNPO専任代表に。LGBTQ+と社会をつなぐ場づくりを中心とした活動に加え、全国のLGBTQ+のポートレートをLeslie Keeが撮影する「OUT IN JAPAN」や、2020年を起点としたプロジェクト「プライドハウス東京」等に取り組む。 NHKドキュメンタリー番組「カラフルファミリー」が話題に。





ふるさとを離れた私がもう一度、金沢に向き合う理由。



私は、男三人兄弟の次男として金沢で生まれ、高校卒業まで金沢で育ちました。大学入学を機に金沢を去り、以降ずっと東京で暮らすことを決めた大きな理由は、ゲイである自分が、北陸で暮らし、働き、歳を重ねていく未来をまったく思い描くことができなかったからです。



調査によると「近所の人が同性愛者だったら嫌悪感を抱く・どちらかといえば抱く」という回答の合計が6割を超えて、全国で一番高いのが北陸*1。



LGBTQ+の当事者にとって北陸で暮らすことは、未来がないだけでなく、当事者だと知られるとひどい偏見や差別に晒されてしまうリスクと毎日が隣り合わせ。とにかく息を潜めるか、違う自分を演じ望まない生活をするかの二択しかありませんでした。



*1 出典:広島修道大学の河口和也教授などによる調査(「性的マイノリティについての意識 2015年全国調査)
三人兄弟の次男として生まれました。一番右が私で、子どもの頃からチェックの服が大好きだったそうです。テレビに登場する「保毛尾田保毛男」をみんなで笑い、辞書には「同性愛=異常性愛、性倒錯」と書かれていた時代でした。



ずっとずっと、ふるさとと距離をとってきた私ですが、2010年にLGBTQ+に関する様々な場づくりをするグッド・エイジング・エールズ(現在は、認定NPO法人、以降「グッド」)を仲間たちと立ち上げた頃から、自分の中で気持ちの変化が大きくなっていきました。



当時勤めていた会社の同僚たちに、そして、金沢で暮らす両親にもカミングアウトし、それからは、ありのままの自分で暮らすことができるシンプルな喜びを日々かみしめながら、金沢に帰省する機会も少しずつ増えていったのです。





|これまでに携わってきた、さまざまなLGBTQ+インクルーシブな場づくり





そんな私が、「金沢に、もう一度きちんと向き合いたい」「金沢から離れてしまったLGBTQ+の人たちが、戻ってこれるようにしたい」「金沢で暮らす多様な人たちが、孤独にならず自分らしくいられるまちにしたい」と強く思うようになったのは、ちょうど5年前。



出身校である一橋大学でのアウティング事件をきっかけに、LGBTQ+の活動に専念することを決意し、会社を退社した2017年夏のことです。



退社後の最初の大きな仕事が、金沢市の隣の市で開催されていた「小松サマースクール」という場にて、LGBTQ+の基本的な情報と自分のパーソナルストーリーについてお話しすることでした。



石川県在住の高校生が海外経験などのある大学生たちとともに1週間を過ごし、自分の新たな一面を発見して将来について考えることを目的とした企画です。

#石川県
#社会にいいこと
#地域文化
#まちづくり
#子ども・教育
#人権
#マイノリティ
#貧困
#障害者
#LGBT
#古民家


金沢町家をLGBTQ+や多様な人が集えるクリエイティブな居場所に!



金沢にじのまプロジェクト(代表:松中 権)




http://alpha.shudo-u.ac.jp/~kawaguch/chousa2015.pdf


第1章 結果の要約と留意点 11
第1章 結果の要約と留意点
1. 結果の要約
この調査結果の報告書では、多くの調査項目から主要なトピックを設定し、それに基づ
きながら基本的には単純集計およびクロス集計の数値を紹介しています。それぞれの章は、
そのトピックごとでまとめられています。各章をお読みいただくとわかるのですが、一つ
のトピックのなかでも、多くのグラフ(図)によって数値が並んでいるために、かなりの
分量となっています。そこで、トピックごとの主要な結果やその傾向についての簡潔な要
約を章ごとに掲載することにしました。以下が、その要約となっています。なお、第 3 章
以下が各トピックの要約になっていますが、第 2 章の「本報告書を読むにあたっての留意
点」もあわせてご覧ください。
第2章 調査概要
この章では、調査の目的、調査内容、調査手法、回収状況、回答者の属性などを示して
いる。
本調査は、現在の日本社会において性的マイノリティがどのように捉えられているのか
を把握することを目指して企画されたものである。調査には、同性愛や性別を変えること
に関しての知識や認識、メディアや人間関係の中での性的マイノリティとの接触、同性間
の性愛や性別を変えるという行為に対する嫌悪感、友人が性的マイノリティだった場合の
抵抗感、カミングアウトされた場合の反応、身近な人が性的マイノリティだった場合の嫌
悪感、性的マイノリティについて教えることへの賛否、性的マイノリティが教員になるこ
とに対する考え、同性婚への賛否と見解など、多岐にわたる内容を含めた。これらの性的
マイノリティに関しての項目に加え、ジェンダー・家族に関する考え方、外国人に対する
考え方、政治意識、個人の生活経験・社会経済的属性を含めた。
調査実施の概要は以下のとおりである。
調査名:男女のあり方と社会意識に関する調査
調査地域:全国(130 地点)
調査対象:20 歳から 79 歳までの(戸籍上の)男女
抽出方法:住民基本台帳による層化二段無作為抽出法
調査方法:留置調査(訪問留置訪問回収法)※一部郵送による返却
調査実施時期:平成 27(2015)年 3 月
配布数・回収数(回収率):配布 2,600 票
回収 1,259 票(回収率 48.4%)(郵送返却 61 票、回収票の 4.8%に相当)
質問数:全 59 問、157 項目第1章結果の要約と留意点12

第3章知識と認識

この章では、人びとが性的マイノリティについてどのようなことを知り、またどのよう

に捉えているか、すなわち知識と認識について、全体の傾向、性別、年代別、最終学歴別

にみた結果を示している。

・知識

同性愛の知識に関しては、半数以上の人が正しい知識を有していた。他方、性同一性障

害に関する知識に関しては、正しい知識をもっていた人の割合は、3割程度にとどまって

いる。その正答率は、年代では、60代以上で低くなった。性別で比較すると、正答率は女

性のほうが顕著に高くなっている。

・認識

同性愛に関する認識については、「思春期の一時的なもの」と考える人は非常に少なく、

「生まれつきのもの」と考える傾向は女性において高くなっている。「同性愛者になるのは、

育てられ方の影響がある」と考える人の割合は低く、半数以上の人がそう考えないと回答

している。性別によってみると、女性のほうがそう考えない傾向が強かった。また、7割

以上の人が、「性同一性障害と同性愛は同じである」とは考えていない。

第4章メディア

この章では、テレビ、新聞、書籍、マンガ、インターネットなどのメディアを通じて、

人びとがどの程度、性的マイノリティに関することを見たり聞いたり、あるいは読んだり

しているのかについての結果を示している。

・メディアで見聞きした経験・見聞きした性的マイノリティ

回答者のほとんどがメディアで性的マイノリティを見聞きしていた(全体の9割近く)。

女性のほうが男性よりも、また若い人のほうが高齢者よりも、見聞きした人が多くなって

いた。回答者の性別や年代別にかかわらず、もっとも見聞きされていないのは「女性の同

性愛」であり、もっとも見聞きされているのは「男性から女性への移行」であった。

・性的マイノリティが見聞きされているメディア

性的マイノリティが見聞きされているのは、テレビがもっとも多く、中でも報道・教養

番組のほうが、娯楽番組よりも多かった。メール・ウェブでは男性で、新聞・書籍と雑誌

の活字系では60-70代の高齢者で、テレビでは40-50代で、インターネットやマンガでは

20-30代の若い年代で、見聞き割合が高くなっていた。それぞれのメディアをふだんから

利用する人に限って性的マイノリティについて見聞きした経験をみても、やはりテレビで

の見聞き割合がもっとも高かった。女性向けコミック・マンガは、全体でみると見聞き割

合が低くなっていたが、利用者だけに限ると高くなっていた。インターネット(メール・

ウェブ)は男性で、雑誌は高齢者で、女性向けコミック・マンガ、テレビドラマ・映画、

インターネット(メール・ウェブ)は若い人で、テレビは40-50代で見聞きした割合が高

いという特徴がみられた。第1章結果の要約と留意点13

第5章性的マイノリティの存在の認識

この章では、日常の場面において、性的マイノリティの存在がどの程度認識されている

かについての結果を示している。

職場の同僚、近しい友人、親せきや家族に性的マイノリティがいると認識している人は、

ごく少数であった。「同性愛者」「性別を変えた人(あるいはそうしようと考えている人)」

のいずれか、また少なくともどちらか一方について、周りに「いる」と認識している人は、

全体でみても、性別でみても1~6%であった。若い人のほうが「いる」という割合が多く、

どちらか一方でも「いる」という人は20代と30代では1割を超えていたが、50代以上で

は2~3%であった。「性別を変えた人」が「いる」と認識している人はとくに少なく、20

代でも5%であった。どちらも「いない」という割合は、20代では3割台、30代から50

代では4割台で半数に満たないが、60代では6割、70代では4分の3で、60代以上と、

50代以下との間に大きな差があることがわかった。

第6章行為・感情に対する嫌悪感と抵抗感

この章では、同性との性行為に加えて、手をつなぐこと、恋愛感情、性別を変えること

に対する感情にかんする結果を示している。また、恋愛感情に対する認識と性行為に対す

る認識との関係についても、みている。

・手をつなぐこと/恋愛感情/性行為

全体の傾向:手つなぎでは、「男どうし」「女どうし」「男女間」を比べると、「男どうし」

の手つなぎに対して嫌悪感を示す人が多かった。また、「女どうし」の手つなぎに対する嫌

悪感は「男女間」の手つなぎに対するものと近い割合を示した。恋愛感情では、約4割の

人が「男どうし」「女どうし」「男女両方」(と)の恋愛感情に抵抗感をもっていたが、半数

以上の人は抵抗感を示していなかった。性行為では、「男女間」の性行為に対して嫌悪感を

もつ割合は顕著に少なかった一方で、「男どうし」「女どうし」「男女両方」(と)の性行為

に対して嫌悪感をもつ割合は6割以上であった。

性別による比較:手つなぎでは、「男どうし」に対して男性が嫌悪感を示す割合が高かっ

た一方で、「男女間」と「女どうし」では男女間に差はみられなかった。恋愛感情では、「男

どうし」「女どうし」「男女両方」において男性のほうが抵抗感をもつ割合が高かった。性

行為では、男性のほうが「男どうし」、「男女両方」(と)の性行為に嫌悪感をもつ割合が高

く、「女どうし」「男女間」では女性の割合が男性を上回った。女性の示す嫌悪感の割合は

対象によって大きく変動しなかったのに対し、男性の示す割合は対象によって大きく異な

っていた。

年代による比較:全体的に年代が上であるほど抵抗感や嫌悪感をもつ人が多かったが、

「男女間」および「女どうし」の手つなぎ、「男女間」の性行為に対する嫌悪感では、年代

による顕著な差はみられなかった。第1章結果の要約と留意点14

・性別移行

「男性から女性」、「女性から男性」への性別移行に嫌悪感をもつ人は約4割であり、両

者に顕著な差はみられなかった。性別による比較では男性のほうが、年代による比較では

高い年代のほうが抵抗感をもつ人が多かった。

・恋愛感情への抵抗感と性行為への嫌悪感の関係

同性間もしくは両性に対する恋愛感情を容認した人のうち、約半数が同性間もしくは両

性との性行為に嫌悪感をもっていた。恋愛感情の容認とは必ずしも性行為の容認を含むわ

けではなく、限定的な容認であることが示された。

第7章身近な人に対する嫌悪感

この章では、身近な人―近所の人、職場の同僚、きょうだい、自分の子ども―に注目し、

これらの人びとが性的マイノリティであった場合の感じ方についての結果を示している。

・全体の傾向および性別、年代別にみた結果

近所の人、職場の同僚、きょうだい、自分の子どもが同性愛者である場合と性別を変え

た人の場合の反応は、関係が近いほど、嫌悪感を示す人が多かった。嫌悪感を示したのは、

近所の人や同僚などの他人が同性愛者の場合には4割、性別を変えた人の場合には3割台

で、どちらも半数に満たなかった。一方、自分の子どもの場合では、同性愛者の場合でも

性別を変えた人の場合でも、7割が嫌悪感を示した。

回答者の性別によって

比較すると、男性のほうが女性よりも嫌悪感を示す人が多かった。性別による違いよりも

年代による違いのほうが顕著で、全般に年代が若いと、嫌悪感をもつ人が少なかった。年

代による開きは、きょうだいや子どもの場合のほうが近所の人や同僚の場合よりも小さか

った。若い年代では近所の人や職場の同僚が性的マイノリティだとした場合、嫌悪感を示

す人は2~3割の少数派であるが、自分の子どもの場合では、半数を超えていた。

・就業者の同僚が性的マイノリティだった場合の反応

就業者のうち、同僚が性的マイノリティだとした場合に嫌悪感を示したのは3人に1人

であった。性別による違いをみると、嫌悪感を示す男性の割合は女性の約2倍であった。

年代別にみると、20代から40代の就業者では嫌悪感を示すのは2割程度でほぼ一定であ

るが、50代以上では年代が上であるほど高く、70代では7割近くにのぼった。仕事の種類

別でみると、男性では管理職と農林漁業職についている人びとで嫌悪感を示す人が多かっ

た。40-50代の管理職では、同僚が同性愛者だった場合では約6割が、性別を変えた人だ

った場合では55%が嫌悪感を示していた。また60-70代の男性管理職で嫌悪感を示す割合

は、同性愛者に対しては8割近く、性別を変えた人に対しては9割近くであった。女性で

は、農林漁業と技能・労務・作業系の仕事についている人で嫌悪感を示す割合が高かった。

・子どものいる回答者の、自分の子どもが性的マイノリティだった場合の反応

子どものいる回答者について、自分の子どもが性的マイノリティだった場合の反応をみ第1章結果の要約と留意点15

ると、半数以上が「嫌だ」と答え、「どちらかといえば嫌だ」を含めれば4分の3以上が嫌

悪感を示していた。男性のほうが女性より、また年代が上であるほど嫌悪感を示す傾向が

あった。ただし、20-30代の若い層でも、嫌悪感を示す割合は6割台、40-60代では7割台、

70代では8割にのぼっていた。自分の子どもが性別を変えた人だとした場合でも、傾向は

ほぼ同じであった。

・性的マイノリティが周りにいるか否かと嫌悪感との関係

性的マイノリティが周りにいるか否かによって、同僚や自分の子どもが性的マイノリテ

ィだった場合の嫌悪感が異なるのかをみた結果、周りにいない、という人のほうが、いる

という人より、嫌悪感をもつ割合が高かった。同僚が同性愛者だった場合、周りにいない

という人の半数以上が嫌悪感を示したが、いるという人では1割台であった。同僚が性別

を変えた人の場合も同じ傾向で、周りにいないと嫌悪感をもつ人が半数近く、いる場合で

は1割未満となり、こうした傾向はいずれの年齢層でもみられた。自分の子どもが同性愛

者であっても性別を変えた人であっても、周りに性的マイノリティがいないという人のほ

うが、嫌悪感を示す傾向があり、その違いは若い人ほど顕著であった。

第8章友人に対する抵抗感

この章では、仲の良い友人という、より身近かつ具体的な状況を設定し、その友人が男

性の同性愛者、女性の同性愛者、男性の両性愛者、女性の両性愛者だった場合、および性

別を男性から女性に変えた、あるいは性別を女性から男性に変えたことがわかった場合の

6つに分けてたずねた性的マイノリティに対する態度についての結果を示している。

・友人が性的マイノリティだった場合の抵抗感

友人が男性同性愛者、女性同性愛者、男性両性愛者、女性両性愛者、男性から女性へ性

別を変えた者、そして女性から男性へ性別を変えた者だった場合、半数が抵抗感をもつと

回答した。性別による比較では、男性同性愛者、男性両性愛者、男性から女性へ性別を変

えた者、そして女性から男性へ性別を変えた者だった場合で、男性のほうが抵抗感をもつ

割合が高かった。女性同性愛および女性両性愛に関しては男女間に抵抗感の差はみられな

かった。年代による比較では、年代が高い人ほど抵抗感を示す割合が高かった。

・恋愛感情の認識と友人への抵抗感の関係

「男どうし」もしくは「女どうし」の恋愛感情に抵抗感がないと答えた人のうち、3割

の人が、仲の良い友人が男性同性愛者、女性同性愛者だった場合に抵抗感をもつと回答し

た。このことは、男性・女性同性愛一般については抵抗感がないと答えつつも、仲の良い

友人が男性・女性同性愛者だとわかった場合には抵抗感をもつ人が3割いることを示して

いる。

・性別移行の認識と友人への抵抗感の関係

「男性から女性」、「女性から男性」への性別移行に抵抗感がないと答えた人のうち、3

割の人が、仲の良い友人が「男性から女性」、「女性から男性」に性別移行していたことを第1章結果の要約と留意点16

知った場合に抵抗感をもつと回答した。このことは、性別移行そのものについては抵抗感

がないと答えつつも、仲の良い友人が性別を変えた場合には抵抗感をもつ人が3割いるこ

とを示している。

第9章友人からのカミングアウト

この章では、仲の良い友人から「同性愛者」であるとカミングアウトをされたとしたら、

どのように感じるかについて、同性の友人と異性の友人それぞれの場合の結果を示してい

る。

・全体、および性別によってみた結果

仲の良い友人が異性でも同性も、同性愛者であるというカミングアウトへの反応は「理

解したい」が6割台でもっとも多く、次いで多い反応は「言ってくれてうれしい」で、3

割台であった。これらの選択肢はとくに女性で多く選ばれていた。一方「どうでもいい」

や「聞かなかったことにしたい」という反応も2割前後あり、どちらも男性のほうが多か

った。「気持ち悪い」を選択した割合も男女とも1割を超えていた。

・年代による比較

年代によって比較すると、仲の良い同性の友人からのカミングアウトへの反応として、

「理解したい」と「言ってくれてうれしい」を選ぶのは若い人に多く、「かわいそう」、「気

持ち悪い」、「聞かなかったことにしたい」を選ぶのは高齢の人に多かった。仲の良い異性

の友人からのカミングアウトへの反応は、「理解したい」、「言ってくれてうれしい」、「聞か

なかったことにしたい」、「気持ち悪い」、「興味が出てくる」の5つがもっとも多く選ばれ

ていた。仲の良い同性の友人からの場合と同様に「理解したい」と「言ってくれてうれし

い」、それに加え、「興味が出てくる」を選ぶのは若い人に多かった。また、「聞かなかった

ことにしたい」と「気持ち悪い」を選ぶのは高齢の人に多かった。

・男女別の年代による比較

仲の良い友人から同性愛者だとカミングアウトされた場合の反応を、男女に分けて年代

による比較をすると、20-30代男性の2割弱が、男性からの場合では「身の危険を感じる」

と答えており、他の年代や女性の回答との差がみられた。高齢の男性では、若い男性や女

性全般に比べて否定的な反応が多く、とくに男性からのカミングアウトでこの傾向が顕著

で、高齢の男性の3人に1人が「気持ち悪い」、5人に1人は「迷惑だ」を選択していた。

ただし女性も4人に1人が男性の友人からのカミングアウトに対しては「気持ち悪い」を

選んでいた。また、高齢の女性に多い反応は、「聞かなかったことにしたい」であった。

第 10 章同性婚

この章では、同性婚へ賛否ならびにさまざまな見解について、全体の傾向、性別、年代

別をはじめとするさまざまな属性別にみた結果を示している。

同性婚に賛成する、また、同性婚に肯定的な見解をもつ割合が高いのは、男性より女性、

高齢者より若年者であった。第1章結果の要約と留意点17

教育の面では、男子高校出身者より共学の高校・女子高出身者に、中学校を最後に卒業

した者より専門・専修学校を最後に卒業した者に高かった。

宗教の面では、信仰や信心をもつ者よりもたない者の方に、宗教的な心をもつことを大

切だと考える者よりそうは考えない者に高かった。

仕事の面では、自営業主や経営者・役員より正規・非正規の従事者に、管理職・労務職・

農林漁業職についている者より専門・技術、事務・営業、販売・サービス業についている

者に高かった。

教育の面では、男子高校出身者より共学の高校・女子高出身者に、中学を最後に卒業し

た者より専門・専修学校を最後に卒業した者に高かった。

宗教の面では、信仰や信心をもつ者よりもたない者のほうに、宗教的な心をもつことを

大切だと考える者よりそうは考えない者に高かった。

仕事の面では、自営業主や経営者・役員より正規・非正規の従事者に、管理職・労務職・

農林漁業職についている者より専門・技術、事務・営業、販売・サービス業についている

者に高かった。

第 11 章教育

この章では、性的マイノリティについて教育でとりあげることについて、一般的にどの

ように受け止められているのか、さらに性的マイノリティが教員になることへの賛否につ

いて、その回答者全体の傾向、性別、年代別、子どもの有無別での結果を示している。

・義務教育で教えることへの賛否

同性愛と両性愛を義務教育で教えることについては、賛成とやや賛成をあわせて半数を

わずかに超えるが、体の性別を変えたいと望む人については、やや反対、反対が少しずつ

高く、賛成とやや賛成をあわせても半数を割った。

男性より女性のほうが、賛成が多く、年齢が高いと反対が多く、年齢にかかわらず子ど

もがいる人よりいない人のほうが、賛成が多くなった。同性愛を教えることよりも、体の

性別を変えたいと望む人のことを教えることへの反対のほうが多い傾向がみられた。

・性的マイノリティが小学校教員になることに対する意識

小学校教員になってほしくないなんらかの性的マイノリティが「いる」と回答した人は

「いない」と回答した人より多く、半数を超えた。「同性愛男性」、「同性愛女性」、「両性愛

の人」、「男性から女性に変えた人」、「女性から男性に変えた人」のうち、もっとも多くの

回答者が小学校の教員になってほしくないと答えているのは、同性愛男性、逆にその回答

がもっとも少ないのは性別を変えた人であった。これは義務教育で教えることの賛否とは

逆の結果である。また、全般的に性的マイノリティが教員になることへの抵抗感を示すの

は、女性より男性、若い人より高齢者であった。子どもがいる人は、子どもがいない人よ

り、すべての性的マイノリティについて小学校教員になることに抵抗感を示す人が多く、

この傾向は年代にかかわらずみられた。
2. 本報告書を読むにあたっての留意点
本報告書は、性的マイノリティについての意識に関する基礎資料を提供することを目的
とし、今回調査した中で、性的マイノリティをめぐる意識にかかわる質問の単純集計結果
(それぞれの選択肢を選んだ人の割合)、ならびに、性別と年齢層別(本文では「年代別」
と表記)のクロス集計の結果(それぞれの選択肢を選んだ割合を、男女別と年齢層別に示
したもの)を中心にまとめている。内容によっては、男女に分けたうえで、年代別にクロ
ス集計した箇所もある。また質問によっては、これらにとどまらず、最終卒業学校(学歴)、
子の有無、仕事の種類によるクロス集計の結果も含めている。また、同性婚についての意
識をまとめた第 10 章では、近年の関心の高まりを考慮し、多くの社会経済的属性や生活経
験によるクロス集計の結果をまとめている。
以下に、本報告書の全体に共通する方針を述べておく。
・ 性別について
 本報告書で示す性別(男女別)による分析では、とくに断りのない限り、回
答者の性自認による性別をもちいている(「コラム」を参照)。
・ 「無回答」の扱い
 各章で示す集計結果では、与えられた選択肢の中から 1 つだけ選んで○をつ
ける形式の質問(択一式)の場合は、とくに断りのない限り、その問いに回
答しなかった人も含めている。参考までに、無回答を除いて行った集計結果
を付表に掲載している。
 あてはまる選択肢すべてに○をつける形式の質問(複数回答・複数選択式)
では、その質問に回答しなかった人を除いたうえで、各選択肢に○をつけた
人の割合を示している。「この中にあてはまるものはない」という選択肢を選
んだ人については、その質問自体には回答しているため、集計に含めている。
・ 回答者数の表記
 各図の下に、集計にもちいた回答者の数を「回答者数」として記している。(図
に示す割合(%)が「何人に対しての割合か」を示している。)一般的に n(ま
たは N)、「集計客体数」などとして示されているものに相当する。
 回答者数を、同章内の文中や表に記している場合もある。
・ 巻末の付表
 各章で掲載した図のもととなった数値データを「第○章付表」として掲載し
ている。
 原則として、①最左列に本文で言及した図に該当する回答の分布(%と人数)、
②右隣の列に、無回答を除いて算出した回答分布(%と人数)およびχ二乗
検定の結果を掲載している。さらに、③いくつかの選択肢をまとめての回答
分布(%と人数)とそのχ二乗検定の結果を示した項目もある。(たとえば、
「賛成」「やや賛成」「やや反対」「反対」「賛成」の 4 つの選択肢がある場合、
「賛成」と「やや賛成」をあわせて<賛成>「やや反対」と「反対」をあわ
せて<反対>として、まとめている。)
四捨五入について
 図および付表に示す割合(%)については、小数点第 2 位以下を四捨五入し
ているため、合計数値とその内訳が一致しない場合がある。たとえば、「そう
思う」「どちらかといえばそう思う」「どちらかといえばそう思わない」「そう
思わない」と無回答の割合を合計しても、100 ちょうどにはならないこともあ
る。同様に、下記の図例 1 のように、「そう思う」「どちらかといえばそう思
う」を足した値として示されている[ ]内の数値と、図内に示した「そう
思う」の割合と「どちらかといえばそう思う」の割合の合計値とが一致する
とは限らない。

http://alpha.shudo-u.ac.jp/~kawaguch/chousa2015.pdf
性的マイノリティについての意識
2015 年全国調査
報告書


初回は23日、9日予約開始

 LGBTQ(性的少数者)の当事者ら、多様な人々の交流の場となっている金沢市池田町の「金沢にじのま」が23日から月2回、性のあり方に関する相談室を設ける。孤独を感じて孤立する人の悩みを2人の相談員が受け止め、寄り添う。(古谷祥子)

 厚生労働省の「孤独・孤立対策のための自殺防止対策事業」の一環として、無料で始める。一回五十分、インターネットでの完全予約制とし、LGBTQ当事者や家族らの相談を受け付ける。同様の事業は、にじのまを運営する一般社団法人「金沢レインボープライド」共同代表の松中権さん(47)が開設した日本初の常設LGBTQセンター「プライドハウス東京レガシー」で実施している。

 相談員の一人、さいとうさんが松中さんらと六日、にじのまで会見した。県内で長年高校教員として勤めたさいとうさんは、LGBTQ当事者である経験を明かし「私自身、自分のことを誰にも相談できず、二、三回は死の一歩手前まで追い詰められた。すぐ近くに話し相手がいない、最初に何か行動するのが怖いという人に来てもらいたい」と話した。

 松中さんはLGBTQに対する社会的理解は深まっているとしつつ、「当事者は自分の周りの環境が変わっていないとギャップに苦しむ。保守的な地方都市で、相談室を設けられることは大きい」と語った。

 九日から年内の相談予約を受け付ける。もう一人の相談員は、助産師で公認心理師のうえださん。さいとうさんと分担して対応する。

性の悩み 話していいんだよ 「金沢にじのま」月2で相談室

2023年6月7日 05時05分 (6月7日 10時28分更新)


「仲間に出会え、話せる場できた」

 LGBTQ(性的少数者)の当事者をはじめとする多様な人たちが集う「金沢にじのま」が十八日、金沢市池田町の竪町商店街そばに開館し、記念パーティーがあった。念願だった常設の居場所の完成に、参加者は「仲間に出会え、話せる場所ができた」と喜んだ。 (奥田哲平)

 LGBTQ向け施設は、東京や大阪など国内に数カ所しかなく、北陸地方は初めて。当事者らが安心して自分の性について相談できたり、障害者や外国にルーツを持つ人を含めた多様な立場の人たちの活動拠点としても活用が期待される。

 にじのまは一般社団法人「金沢レインボープライド」が中心となって寄付金などを調達し、築百年以上の金沢町家を修繕。事務局長の奥村兼之助さん(49)が責任者として常駐する。奥村さんはエイズウイルス(HIV)の相談員研修を受講し、「治療や生活上の不安が楽になるサポートをしていきたい」と話した。

 パーティーには各地から当事者や支援者が駆けつけ、約五十人が「ハッピープライド」と声を合わせて乾杯し、完成を祝った。身体的特徴で男女の性別が判断しづらい「インターセックス」当事者の森下ゆうきさん(43)=福井市=は「知り合う機会、話せる場所が少ないので、すごい貴重」と歓迎した。

 石川県白山市で当事者の会を催す助産師植田幸代さん(61)も「学校の性教育で自分のことをカミングアウトする生徒も増えてきた。『行けば、誰か話をしやすい人に出会える』と伝えられる場所ができた」と期待した。にじのまの開館は正午〜午後九時(毎週火、水曜定休)。今後は飲食物も提供するほか、交流スペースやシェアオフィスの運営体制を順次決める。

北陸初「多様性」の拠点 「金沢にじのま」開館

2023年2月19日 05時05分 (2月19日 10時16分更新)