【脚本】あいのおわりプロジェクト
声優養成所の課題で「あいのおわり」をテーマにした作品作りで『タイムマシンと心の中の天使と悪魔を出してほしい』という意見で執筆したものです。実際にはボツとなり上演はされませんでした。上演時間10分です。
【キャスト】9人
・男(たくや)
・⼥(しずか)
・男天使/群衆 1
・男悪魔/群衆 2
・⼥天使/群衆 3
・⼥悪魔/群衆 4
・未来の男
・未来の⼥
・科学者(⼦供)
群衆たちが騒いでいる。
その中央を博⼠が歩いてやってくる。
群衆 1 :タイムマシンプロジェクト「あいのおわり」の抽選
者は誰ですか!?
博⼠ :個⼈情報は私からは発⾔しかねます。
群衆 2 :博⼠は何をやろうとしてるんですか!?
博⼠ :愛の探求です。
群衆 3 :今回のプロジェクトの⽬⽟はなんですか?!
博⼠ :顔や形を変え、過去に戻れることでしょうね。
群衆 4 :えっとあっと…がんばってください!!
博⼠ :ありがとう。ただ、頑張るのは私じゃない。彼らたちです。
群衆いなくなる。
頭に装置をつけた男と⼥が後ろ向きに登場。
博⼠ :それでは装置作動の合⾔葉をお願いします。
男・⼥ :「あいのおわり」のある場所へ
群衆が男と⼥を隠す。
男と⼥いなくなる。
博⼠が⼀⼈残って。
博⼠ :うまくやらないでよ、私のために…
【現在】
男と⼥が⾔い争いをしているマイム。
男と⼥には⼆体ずつ天使と悪魔がついている。
男悪魔 :ほんっと⼈の話聞かねぇやつだな!
男天使 :いや、聞いてないのは君だと思う…
男悪魔 :はぁ!?てめぇこんな状況でもそんなこというの
かよ!?
男天使 :だって僕天使だもん♡
男悪魔 :うぜぇ…消えてくれねぇかなぁこいつ…
男天使 :別れない⽅がいいよ!こんないいひといないもん♡
⼥天使 :こんなにやさしくしてくれた彼⽒いないよ!?
⼥悪魔 :いや、いた!⾼校の時の彼⽒の⽅が良かったね!!
⼥天使 :結局浮気されたじゃん!この⼈は浮気なんてしな
かったよ!?
⼥悪魔 :⼥優になりたい夢応援してくれないのは彼⼥の『彼
⽒最低条件』第⼀条に当たるぞ!
⼥天使 :私たちを幸せにしようとしてくれてるの!!
⼥悪魔 :はぁ!?条件外!!天使失格だ!!私より悪魔だ
ね!おまえ!
⼥天使 :幸せのためだもんっっ!!
そこへ、未来の男と⼥が現れる。
未来の⼥ :ここって…
未来の男 :あの⼦と別れた場所だ…
未来の⼥ :え?!
未来の男 :な、なに…
未来の⼥ :たくや…?
未来の男 :おまえ…しずかなのか!?
未来の⼥ :姿を変えてタイムスリップするって本当だった
んだ…ほんと別⼈…
未来の男 :おまえ…あいのおわりプロジェクト応募してた
のか…なんで…
未来の⼥ :あなたのこと忘れられなかったからに決まって
るでしょ
未来の男 :俺もだ…別々に応募して同じ場所に⾶ぶなんて…
未来の男と⼥、感極まって抱き合う。
未来の⼥、はっとして
未来の⼥ :⽌めましょう!!私たちを!
未来の男 :もうちょっと抱きしめさせて…
未来の⼥ :だめ!よく考えて!ここで別れなければ 10 年も
あなたに会えず⾟い思いせずに済むの!
未来の男 :そうか…よし、⽌めよう!!
未来の⼥ :姿は変えても怪しまれるようなこと⾔ったらダメよ!
未来の男 :分かってるよ、変わんないなぁおまえ
未来の男と⼥、現在の男と⼥に近づく。
男 :じゃあ、しずかは俺の夢を応援してくれたことなんてあ
ったのかよ!?
男悪魔 :そうだそうだー!
⼥ :毎⽇あんたを⽀えたじゃない!!
⼥天使 :あぁっなんでそんなこというのっ
⼥悪魔 :へへっ
未来男 :あのーすいません
男 :はい!?
未来男 :ケンカは良くないですよ、そのーこんなデートスポ
ットで…ねぇ?
未来⼥ :うん、仲直りしなよ
⼥ :あんた達なんなんですか
未来⼥ :えっとぉ、その⼼配で来た普通のー⼀般⼈です、ねぇ?
未来男 :おっはい、⼀般⼈!
男悪魔 :なんだこいつ、あやしー
男 :他のカップルにあれこれ⾔われる筋合いないんでほっ
といてもらえますか
未来男 :カップルだってよ…くぅ…
未来⼥ :ちょっと!!何嬉しがってんの!
⼥天使 :やさしい態度でね♡
⼥ :今バカップル⾒てる暇なんてないんですよ
⼥天使 :あぁ…
未来⼥ :バカップルってねぇ!?!私はあな t
未来男 :おいおいおいおい!!!
未来⼥ :危なかった、ありがと
⼥悪魔 :なんなの、⾒てらんない
⼥ :とにかく、夢を応援してくれない⼈なんか⼀緒にいられ
ない。別れましょ!
⼥悪魔 :いぇーい!私の勝ちー!
⼥天使 :あぁっ⾔っちゃったぁ
未来⼥ :あなたの夢はこの⼈といたって叶うよ!⾃分次第!!
⼥悪魔 :あ゙ぁ?!
⼥天使 :いいこと⾔う〜この⼈―!
⼥ :あんたには関係ない!あんたとあたしは違うんだから
押し付けないで!
未来⼥ :違くない!
未来男 :おいっ!
未来⼥ :男が居るだけで左右される夢なんて本物じゃない
よ!あんたより⻑く⽣きてる分、⾊んな思いしてきた。これ
から⾟いこといっぱいあるよ、そこで⽀えてくれるのは私は
…ペットの⽝だった…
⼥悪魔 :は?
男悪魔 :もう帰るか…
未来⼥ :⽝はいいわよ!悪⼝なんて⾔わない、家事しろなん
て指図もしないし、浮気もしない!でも・・・ここにたくや
が居たらどんなにいいかって思う毎⽇なの!
男 :えっ俺の名前…?
未来男 :しずか…
⼥ :へっ…!?なんなの、あたし猫派だしっ
未来⼥ :とにかく別れちゃダメよ、 一番⽀えてくれるのはたくやだから。信じて。
男悪魔 :この⼈、気持ち悪いよ…
男天使 :珍しく意⾒があったね…
男 :おばさん、俺はそんな⼤層な⼈間じゃないよ
未来⼥ :おばさん!?!
男 :しずか、今までありがとう。別れよう。⼥優の夢、がんばれよ
ブザーが鳴る。
博⼠ :未来へ戻るお時間です。装置作動の合⾔葉をお願いします。
未来男 :いこう
未来⼥ :でもっ
未来男 :しょうがないよ、帰ろう
未来⼥ :……
未来男・⼥ :「あいのおわり」のない場所へ
天使と悪魔、群衆に姿を変えて男と⼥と未来の男と⼥を隠す。
群衆に紛れて残ったのは男と⼥。
博⼠ :いかがでしたか?「あいのおわり」は。
⼥ :⾟かったです…
男 :⼤丈夫、これからは俺がいるから
⼥ :…!
男 :これまでの 10 年のこと、いっぱい話そ、それと⽝にも
会いたいな、忘れた?俺、⽝派
⼥ :…だから飼ったの、かわいいよ、会ってあげて
男と⼥、博⼠にありがとうございました。と頭を下げて去っていく。
群衆がやってきて博⼠を取り囲む。
群衆 1 :現在に変わりはないようですが「あいのおわり」プ
ロジェクトは失敗ですか!?
博⼠ :みなさんに影響を及ぼしません。プロジェクトは成功です。
群衆 2 :博⼠はいったい何をしたかったんですか?!
博⼠ :「あいのおわり」のおわりです
群衆 3 :博⼠はこれから何をなさるおつもりですか?!
博⼠ :彼らに育てられる、それだけです。
群衆 4 :⾔ってる意味がよく分かりません!
博⼠ :話は以上です、お帰りください
群衆、引きずられるように後ろ向きでいなくなる。
博⼠ :お⽗さんとお⺟さんを会わせること、そこでもう完成
してたんだ。待っててね、私はすぐ⽣まれるだろうから。
博⼠⾃分に装置を取り付けて
博⼠ :「あいのつづく」ある場所へ
群衆に巻き込まれて誰もいなくなる。
⾚ちゃんの泣き声が響く
おわり