見出し画像

ノルウェーで低用量ピルを処方してもらった時の話

留学前から低用量ピルを服用していたのだが、私が通っていたクリニックでは最長6ヶ月までしかピルが購入できなかったので、留学中(1年間)に6ヶ月分を追加で手に入れなければならなかった。

手に入れる方法は以下の二つ
①親が代わりに日本のクリニックでオンライン診療を受け、処方された低用量ピルを郵送する。(海外からのオンライン診療に対応していないため)
②現地で調達

①の方が安心ではあったのだけれど、ちょっと手間だし、とりあえずノルウェーで頑張ってみようと決意。近くに23歳以下は無料のヘルスケアセンターがあることを知り、行ってみることにした。

ヘルスケアセンターにて


営業時間はなんと月、火、水の14時〜18時のみ。日本の超人気ケーキ屋さんみたいなスケジュールだなと思いつつ、授業終わりにせっせと出向いた。
中に入る前から全てノルウェー語で、焦りつつも1時間ちょいほど待って診察を受けることが出来た^^ 一安心。

担当してくれたおばさんは看護師だそうな。看護師が5人体制くらいで診察をしてる感じだったな。

診察は至ってシンプルだった。ID(パスポート)と簡単な個人情報を提出して、血圧測定、激しい偏頭痛や糖尿病がないかを聞かれて終わり。

診察は驚きの連続


しかし、それからが驚きの連続だった。
まず驚いたのは最初に低容量ピル(経口避妊薬)以外の避妊道具を3つほど勧められたこと。1つ目に見せてくれたのは細くて5cmほどの白いチューブ。これを腕に打ち込むことで3年ほどの避妊効果があるらしい。私のフラットメイトも使ってると言っていたけど、これが最初に紹介されるほど主流だったとは。。。びっくり。

残りの二つは、透明のプラスチックか何かで作られた輪っか状の物と、肌色の正方形の湿布みたいな見た目のものだったけど、驚きすぎてよく分からなかった。とにかく、低容量ピルのように飲み忘れる心配がないから、お勧めらしい。別のフラットメイトも、膣内に入れる避妊道具は6年ほど持つと言っていた気がする。

「私は、低容量ピルにするわ」と食い気味でお願い。すると看護師さんは10〜20種類ほど(とりあえず沢山だった)の低用量ピルを紹介してくれた。ホルモンの量、月に一回の出血の有無、ニキビへの効果などに違いがあるらしい。いやいや日本なら1クリニック1種類か多くて2種類なんだが?とここでもびっくり^^;

そして最も驚いたのは全て無料ということ。最大で1年分出してくれるという。半年で充分だと言ったが、1年分出しといてあげると言われ、結局1年分の低用量ピルの処方箋を貰った。あとは近くの薬局に行って処方箋を提出し、受け取るのみ。

後に薬局に行って分かったことだが、一年分を無料で購入するには条件があった。①Norwegian national identity number もしくは D numberを持っていること
②ジェネリックを選択すること

①の番号は、出身国により差はあるが、ノルウェーに長期滞在をする人は基本貰うことができる。その番号を持つ人の医療費は、国からいくらか負担をしてくれ、その差額分を消費者は払う、という仕組みなのだ。ジェネリッックはそうでない製品より安いので、全額をカバーでき、無料となるのである。
まあ、国の負担なしでジェネリックでないオリジナル製品を1年分自費で購入しても3000円ちょいなのだが…。

自分なりに思ったこと


日本では、学生に優しいクリニックでも毎月約2000円+診察料が必要。学生料金がないところは毎月3000円した。それに加えて私が通ったところは最大で3ヶ月分までだったかな。低容量ピルは保険適用外なので、年に一回の血液検査も4000円ほど掛かっていた。毎月の出費とクリニックに行く頻度を比べるとその差に愕然とした。

正確な年は忘れてしまったが、国内での中絶率が高いことを受けて、ノルウェー政府は23歳以下に対して無料で避妊薬を提供できるようにしたとのこと。これにより、ノルウェーでの中絶率は下がったそうな。また学校で避妊薬を配布することが出来るようになり、性教育にもいい影響があると看護師さんは教えてくれた。

今回の経験から、ノルウェーの女性は数多くある避妊方法の中から自分に最適な方法を選ぶことが、経済力や年齢に関わらず可能であるということを学んだ。もちろん選ばないという選択も出来るのだから、これは素晴らしいことだと私は思う。

他の国はどうなのだろう?

余談

他にも面白かったのは、ヘルスケアセンターはとてもオープンな場所であったこと。まず、待合室は男女で分かれていない。日本ではレディースクリニックや産婦人科など特定のクリニックにて避妊薬を処方してもらうので、少し不思議な感じがした。カップルで来ている人や友達と一緒に診察室に入る人も多いし、待合のテーブルの上にはボウルいっぱいのコンドームがお菓子のように置かれていた(本当にお菓子かと思った)。待合室ではみんなパソコンで課題するか談笑するかだし、ヒップホップがBGMだしで、とても居心地が良かった。

うーん、福祉国家を感じた1日でした。^^



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?