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省エネ住宅にするなら断熱性能よりも"冷暖房負荷"が本質だよねという話
こんにちは。
だんだん寒くなってきて暖房の季節になってきましたね。
高気密・高断熱住宅を建てた方は、冬が来るのが少し楽しみだったりするのではないでしょうか。
さて今日は、エアコンの電気代を安く抑える省エネな家にしたいなら、断熱性能よりも、もっと大事な値があるよね、という話をしていきます。
皆さんもご存知かと思いますが、断熱性能はUA値(ユーエーチ)で評価され、値が小さいほど断熱性能が高いことを示します。
断熱性能について全くしらないという人はこちらを読んでみてください。
最近の住宅業界では、高気密・高断熱住宅が注目されていてどの住宅メーカーのパンフレットを見ても、UA値が目立つように記載されていますよね。
私自身もお客様から、「御社はUA値(もしくは断熱等級)はどのくらいですか?」とよく聞かれています。
UA値や断熱等級はパッと見てわかりやすいので、目が行きがちなのはとてもわかるのですが、お客様が本当に求めていることは「UA値が優れた家に住むこと」ではなく「年間通して快適に過ごせて、省エネな住まい」ですよね。
もちろん断熱性能を高めれば、一年通して快適に過ごせる家になりやすくはなります。
しかし、実は省エネ性能(特にエアコンの電気代)については、UA値や断熱等級よりも、もっと大事な値があります。
それは、"(冷)暖房負荷"です。
●冷暖房負荷とは
その室内をある一定の温度・湿度に保つために除去が必要な熱量(単位:MJ/㎡・時間)
う~ん、なんだかややこしいですね。
この数値は何を表しているか、すごく簡単にいうと、エアコンがどのぐらい頑張らなきゃいけない家なのかを示しています。
例えば、ある朝、家の外の気温が0℃だったとします。
とても寒いので暖房をつけて、お部屋の温度を20℃に上げたいと思いました。
少しづつ温まってきたもののエアコンを止めてしまうと、しばらくすると冷えきてしまいますよね。
そのため、20℃に保つためにその日は一日ずっと暖房をつけていました。
このときにエアコンに使われる電気エネルギーの量(熱量)が、その家の一日の暖房負荷です。
エネルギーとかでてきて、ちょっと難しい気もしますが要はエアコンがどれだけ頑張っているかっていう数字です。
ちなみにここが大事なんですが暖房負荷がわかると、エアコンの電気代金が計算できます。
つまり、その家の年間の暖房負荷がわかれば年間の暖房の電気代が計算できるということです。
下記に具体的な計算方法を少し紹介してみますが、なんとなく知れればいいかなという方は読み飛ばしてもらって大丈夫です。
例えば、こんな家があったとします。
・延床面積が100㎡
・年間の暖房負荷が80(kWh/㎡・年)の家
・エアコンの効率が3
年間の暖房負荷なので、1年間で1㎡あたり80kWhがんばらなきゃいけない家だよって感じです。
このときに年間でかかる暖房のエネルギーは、
延べ床面積(100㎡) ✕暖房負荷( 80kWh/㎡・年 )÷エアコンの効率( 3) ≒ 2666kWh/年
と計算できます。
この時の年間の暖房費は、
東京電力だと今だいたい1kWhあたり36円ぐらいなので、
36円 ✕ 2666kWh/年 = 9万6千円
となります。
はい、こんな感じでざっくりと計算できます。
暖房負荷、すごく大事ですね。
じゃあ暖房負荷は何によって決まってくるの?という話ですが、
主に、日射取得、断熱性能、気密性能で決まってきます。
日射取得というのは、窓などの開口部から入ってくる太陽光のエネルギーですね。
真冬でも太陽の光がしっかり入ってくるお部屋は温かいですよね。
たくさん光が入って来れば、お部屋は暖かくなるので、その分エアコンも頑張らなくてもいいわけです。
一方で、気密性能が低いと、お家のなかに細かな隙間がたくさんあるということになります。
そうすると、隙間から冷たい空気が吹き込んできたり、エアコンの温かい空気が逃げてしまってお部屋を暖めにくくなってしまいますよね。
そこが割れたコップに水を注いでも、なかなか溜まっていかないというイメージです。
もちろん断熱性能も、壁や天井から熱が抜けたり、入ってくるのを減らすために重要なので暖房負荷に影響してきます。
ちなみに、これらの話は冬だけでなく夏でも同じことが言えます。
そんな感じで、冷暖房の電気代を下げるには、断熱性能だけではなく家の隙間を減らして気密性能を高めたり、入ってくる日射をコントロールして冬はたくさん日差しが入るようにしたり(パッシブデザインと言います)することが大事になってくるわけです。
パッシブデザインの話はまた今度しようと思います。
今回はこれまで。
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