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1+1=2じゃダメだ!成長を加速させるシナジー効果について

戦略論の続きです。

ホファー&シェンデルによれば、戦略の構成要素は4つあるとされています。
1.ドメイン
2.資源展開
3.競争優位性
4.シナジー

今回は戦略の構成要素の4つ目であるシナジー(synergy)について記載します。

総論とドメインについては以前の記事(下記URL)に記載してあるので、そちらを参照して下さい。

シナジーとは、簡単に言うと「相乗効果」であり、新規事業開発などの時に、既存の販売経路や既存のテクノロジーなどを利用することによって得られる効果を言います。
シナジーは元々、生物学の専門用語であり、2つ以上の薬物などが共同的に作用した結果が、1+1=2+αになるという意味で使われていました。経営戦略論で著名なアンゾフがビジネスの世界に転用したことで、その後、広く使われるようになりました。

シナジーには下記の3種類があります。

①販売シナジー

既存の販売チャネル、営業組織、販売促進手法などの利用によって生まれるシナジーの事をさします。
ビックカメラ + ユニクロ = ビックロを例にして説明します。
ビックカメラとユニクロは、2012年に、共同で新宿東口に新店舗「ビックロ」をオープンしました。この新店舗はファストファッションの「ユニクロ」と、家電量販店の「ビックカメラ」が同じ建物の中に出店するだけではなく、お互いの店舗がシームレスに繋がり、お互いのノウハウを組み合わせてつくり上げた店舗でした。

同じ建物内で、双方の販売チャネルを利用することに加えて双方の販売促進ノウハウを利用することにより、販売シナジー追求した事例と言えます。
実現した効果としては、従来のビックカメラを利用する顧客の内、女性のシェアは30%強だったところ、ビックロでは45%前後になり、女性顧客の開拓につながったようです

今では、ビックカメラとユニクロが同じ建物の中にある光景はあたり前のような気もしますが当時は革新的だったのではないでしょうか。

②生産シナジー

既存の生産設備、技術ノウハウなどの利用によって生まれるシナジーの事をさします。
例えば、トヨタ自動車には防錆技術の強みがあります。この技術は車の安全性を高めるためにとても重要な役割も持っています。
理由はシンプルです。多くの金属部品が使用される車にとって錆は大敵となるからです。
トヨタグループにはトヨタホームとった住宅・ハウスメーカーがあります。トヨタホームの家を作る技術には自動車業界で培った防錆技術が使われています。錆びない鉄骨が住宅の強度と安全性を高めています。
このように、既存の技術を他の事業に活用する事によって得られる効果を技術シナジーと言います。

以下、トヨタホーム ホームページより

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③マネジメントシナジー

既存の経営管理能力の利用によって生まれるシナジーのことを指します。

例えば、M&Aにより、買い手企業の経営人材が売り手企業に役員に就任することにより、買い手側の経営管理能力を迅速に効果的に発揮させていくことが挙げられます。
MEGAドン・キホーテを例に挙げると、「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が、東海地方のGMS(総合スーパー)ユニーを完全子会社化し、総合スーパーの「アピタ」と「ピアゴ」をドンキ色に染めて業績を大幅に回復させています。
2019年4月時点で、ユニーの取締役は15人中10人がドン・キホーテ出身者になっており、買い手側企業の経営管理能力の利用を強化していることが伺えます。
また同時に、ドンキが持つ販売促進ノウハウの利用による販売シナジーも効果が出ていると言えます。

2019年に業態転換を進めた10店舗の業績は、売上高29億円から64億円に急増しています。また、会員の年代別構成比も男性の割合と若年層の割合が増加しており新たな顧客層の開拓につながっています(下記参照)。

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出所;ppih report 第39期報告書より

M&Aを契機にしたマネジメントシナジーの事例は事業規模が大きく、中小企業にとっては身近に感じにくい内容かもしれませんが、昨今は後継者不足などを背景に中小企業のM&Aが大幅に増加しています。M&Aだけに限りませんが新規事業開発などにおいてマネジメントシナジーを活かし、さらなる中小企業の成長のヒントになれば幸いです。




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