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非常事態モードにおける資金繰り対応① 優先順位について

多くの企業から日々、資金繰りの相談が寄せられています。毎日、眠れない夜を過ごしている経営者の方々も多いと思います。少しでも改善の糸口が見つけらるようにと思い、今回は非常事態モードにおける資金繰り対応の優先順位について説明します。

手元キャッシュを増やすためには、当たり前ですが、
キャッシュインの増加 と キャッシュアウトの減少 を並行して行うことです。

現預金残高の増加 = 現預金の入金増加 + 現預金の支出削減

改善に取り組むときは、問題点や狙う成果を構造化し更に細分化していくことで具体策が見えてきます。これは、資金繰り対応に限ったことではなく、日常の経営改善についても同様の考え方が応用できます。

細分化すると、キャッシュインの増加は「資金調達」になり、キャッシュアウトの減少は、経費削減と既往債務(借入金)の条件緩和になります。

そして優先順位は、
①経費削減 (キャッシュアウト減少) ・・・すぐに実行できるため
②資金調達 (キャッシュイン増加) 
③既往債務の条件緩和 (キャッシュアウト減少)
の順番を取るべきです。

①経費削減

・節約できる経費は徹底的に節約します
 EX.接待交際費、広告宣伝費、水道光熱費など、どれも自社の判断で迅速に実施可能です。
・国の資金繰り支援施策を活用して支出を抑えます。
 EX.国税・厚生年金、電気・ガス代などを納付・支払猶予します。

②資金調達

・政府系金融機関や民間金融機関からセーフティーネット制度を利用して借入します。
EX.セーフティーネット融資、新型コロナ感染症特別貸付、危機対応融資、危機関連保証

・役員からの借入や、生命保険などの契約者貸付制度を利用して資金調達します。
EX.生命保険会社から契約者貸付制度を利用して借入、小規模企業共済から借入

生命保険や共済契約を解約して資金調達します(経費削減にも該当)。
EX.倒産防止共済や生命保険契約を解約して返戻金を取得します。

助成金・補助金を活用して資金調達します。
EX.雇用調整助成金、テレワーク助成金、ものづくり補助金、持続化補助金、IT導入補助金など。但し原則、後払いのため、本当に必要でない限りは、設備投資系の補助金は見送ります。

③既往債務の条件緩和

・金融機関に既存の借入金の見直しを依頼します。
EX.複数契約ある借入金を一本化して返済期間を伸ばすことで毎月の返済を抑えます(長い期間で見た時は利息負担が増加しますが非常事態時に取り組む効果は大きいです)。
 既存借入金の条件変更(返済金額の減少or返済ストップ)を交渉します。毎月の返済金額を抑えることで資金繰りを改善させます。一般的にリスケ(リスケジュールの略)と呼ばれ、今後の新規融資が困難になる可能性が高くなりますが、①②を実行した上で、どうしても資金繰りに窮した場合は選択します。

以上が優先順位となります。
まずはやれることからスピーディに!
非常事態モードではスピードが経営状況を左右します。
一人で悩むのではなく、フットワークの軽い相談相手(コンサルタント)を探すことが大切だと思います。すべての人の時間は有限でありお金よりも価値があります。その限りある時間を、あなたに優先的に提供できるコンサルタントが真に付き合うべき存在だと思います。

今回は優先順位について説明しました。次は、実際にアクションを移す時に重要となる、現状把握と将来予測、資金繰り表について説明します。
現場で感じることですが、本当にここが肝となります。
今、自社のキャッシュ状況はどうなのか?今いくらあるのか?その金額は足りているのか?今後、数ヶ月後にいくらになるのか?なぜ減少していくのか?どうしたら増えるのか?
を見えるようにして行きます。

ここが見える化されることにより、不安が軽減される経営者も多くいます。
先が見えるようになると、取るべきアクションも見えてきます。

次回は、現状把握と将来予測、資金繰り表についてです。

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