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不幸はばらばら。幸福は同じ。アンナ・カレーニナの法則と新規事業成功の要点

すべての幸せな家庭は似ている
不幸な家庭は、それぞれ異なる理由で不幸である

レフ・トルストイの長編小説『アンナ・カレーニナ』の書き出し

どこかで耳にしたことがあるフレーズだけど、これが1877年のロシア人の小説から引用された言葉で、アンナ・カレーニナの法則と言われていることを『ブループリント(上巻)』をよんで知りました。

企業の新規事業担当としてはたらくわたしは、ついこう読み替えてしまう。

すべての成功する新規事業は似ている
失敗する新規事業は、それぞれ異なる理由で失敗する

京都企業の新規事業担当者(22/8/27)

これは本当なのか。
もし本当なのだとしたら、どうしたらいいか。考えていきたいと思います。

企業とアンナ・カレーニナ

Wikipediaにいくつかの応用例がのっています。

Tracy Brower博士はこの理論を職場に当てはめて、「社員のやる気を奮い立たせ、情熱を持って仕事をさせるためには自分のスキルや才能を発揮して、社員同士が切磋琢磨することができるところが最善の職場」だと述べている

アンナ・カレーニナの法則のWikipedia

つまり「失敗要因は無数にあるから、共通するいくつかの成功要因を整理して、みんなその通りしましょう」という主張です。「うちの会社らしい風土を大事にしよう」「ユニークなミッションとビジョン、パーパスを掲げよう」と、その組織固有のアイデンティティをつくることも大事ですが、先人の経験から学び取り踏襲することも大事ということでしょう。

新規事業とアンナ・カレーニナ

では新規事業はどうでしょうか。PwCのアンケート結果がありました。
こちらが新規事業の成功要因のアンケート結果。

新規事業の成功要因(PwC)

そしてこちらが失敗要因。

新規事業の失敗要因(PwC)

2つのアンケート結果を比べてみると、成功要因はトップ5に30%以上の人が同じ理由に同意している一方で、失敗要因はどれも20%~30%とばらばらな意見がでているようにみえます。アンナ・カレーニナのいうこと、本当かもしれん。。。

なぜ新規事業は成功要因を学ばないのか

そうなると次の疑問が浮かんできます。どうして新規事業担当者は、共通する成功要因から学んでいないのでしょうか。先程のグラフの上からみると「顧客ニーズとの適合性」「経営トップの高い意欲」「技術力の高さ」「市場顕在化タイミングの見極め」「すくない競合」「市場規模の大きさと成長性」と続きます。・・・うん。これだと真似して実行するのが難しそう。。

顧客価値があることや自社の優位性があることは、成功の要件ではあっても「成功するために何をどうしたらいいか」への答えにはなっていません。。要件を満たすため「どのポイントから、どんな順番で取り組むのか」というプロセスがなければと、担当者は身動きが取れなくなってしまいます。。。

新規事業リーダーの特性と周囲との関係性も影響しているかもしれません。新しいことに挑戦する社員は、行動力があり個性的。自分の考えをもっているからこそ周りを巻き込め、事業推進を積極的に進めます。一方メンバーからみると、リーダーは自分勝手で意見をきいてくれない人。周りの管理職も、そんなチームをどう評価したらいいかわからず、チームとしての意思や方針を固めることを要求。社内会議のための資料作成にばかり時間がかかるという負のループに。。

だいじなのは「新規事業を前に進めるためのプロセスをつくり実践する」ことと「チームの考えを引き出し、まとめ、組織とつなげる」ことなのかも。

明日からどうしよう

プロセスの大切さ、関係づくりの必要性はわかりました。じゃあ明日から自分たちはどうしたらいいのでしょう。

関西企業のみなさん。9月23日にForthメソッドというプロセスを学べる機会があります。実際にゼロイチで事業企画をつくりあげるプロセスを複数人で共同でとりくみ、その場を公認ファシリテーターがすすめてくれます。

ファシリテーションスキルの習得(とその必要性の確認)の機会として、おすすめします。のこるは関係づくり。ここは宿題にさせてください。また!