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読書記録34冊目:朱華姫の御召人(あけひめのおめしびと)下 かくて恋しき、花咲ける巫女/白川紺子著(集英社文庫)

 注:感想を書き連ねる間に重要なネタバレをしている可能性があります。ネタバレNGな方は読み進めることをおすすめしません。苦情については一切受け付けません。また、感想については個人的なものになります。ご理解ご了承の上、読んでいただくことをお願いいたします。

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出生の秘密が暴かれるとき、「なに」が起きるのか──!
虐げられてきた少女が知る、真実とは!?
和風ファンタジー、完結巻!

帯より

 感想を述べるうち、前巻までのネタバレも含みますのでご承知の上、読み進めることをおすすめいたします。

 暁国には護り神がいる。その神に仕える巫女は、朱華姫(あけひめ)と呼ばれ、そして朱華姫を妻にと望む神にさらわれぬよう、夫という立場で世話役をこなす第二皇子を御召人と呼ばれる。

 上下巻の下巻。お話としては大きく流れが違うのでそれぞれで感想を述べることにした次第です(長くなるし本題が全然違う感じなので)
 基本的に当noteの読書感想文は1巻ずつ語るのもコンセプト、ではあったりするところもあったり。状況に応じてですがそれはまぁ、そんな感じで。

 上巻にて無事にニセモノ巫女から本物の巫女となった蛍ちゃん。しっかりお役目をこなし、平穏に時を過ごしていると思いきや。
 朱華姫となった時から相次ぐ嫌がらせが、とうとう血なまぐさいものになってきたところで宮中の重臣たちも騒ぎだしてしまいます。
 さらに、宮中には「大蛇」がいると皇太子である萩に忠告され、その大蛇が誰なのかを知ります。
 ただし、朱華姫になって守られる立場になった後でも、弱くなりたくない、弱いままではいられない、と嫌がらせの犯人を探そうとする蛍ちゃんと、その意思を助けようとする御召人である柊さん。
 そんななか、仲が良すぎると宮中で騒がれ、しかも柊さんはなぜか怪我が治る体質のせいで<刃金の皇子>と畏怖されて巫女のそばにおいていてはいけないと判断されてしまいます。
 なんとかその沙汰を覆そうとする蛍ちゃんにさらに追い打ちとして「絶対に絶対にばらしたくない、ばれてはいけない秘密」が明るみの元に。
 否応なしに渦中の中心人物になってしまう蛍ちゃん。

 朱華姫と御召人の役目と、神々の争い、宮中の権力争いと。
 一度にいろいろと起こるなか、どう収拾をつけるのか。
 人のうらみつらみと神々の力が合わさると怖いことが起こるという描写に、人間の心っておそろしいなと思いました。
 でも、優しい人の心の部分にもたくさん触れられるエピソードもあるので、みながら胸がつかれます。幸せになって、と簡単にいうだけにはとどめられないので難しいところですが。
 神々の争いも、蛍ちゃんと柊さんを巻き込みつつ、多くは語られないのですが人の心の裏表につながるものにもつながるような感じがするところです。
 上巻からちょこちょこと出てきていた部分が語られていくのも面白いところです。
 国の護り神に仕える巫女の朱華姫である蛍ちゃんが、神々の争いに巻き込まれ、その収束に関わるところも見物です。
 蛍ちゃんの性情は、主人公としての王道的なものではないのかもしれません。
 だけど、誰のことも偏見の目で見ることはない。生きると言うこと、人の立場にはいろいろとあるということ、大事な人を大事だと思えること、ほんとうに大切なことは何かと考え続けることができる。
 柊さんのように帝の子どもという輝かしい立場にありながらうとまれてしまう人のことも、噂に惑わされず自分の目で見たことで判断できる。
 わかりにくいのかもしれませんが、賢くていじらしくて可愛い。
 個人的には好みのヒロインです。

 上巻でもふれた『後宮の烏』につながる単語があります。
 『朱華姫の御召人』は暁国、『後宮の烏』は霄国。
 容姿の描写が異なるので、もしかしたら時代は違うのかもしれませんが、神々のお話のことなどが共通しているので、改めてしっかり読んだらもっと楽しみが深まるのだろうなぁと思うのでした。 

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お読みいただきありがとうございました!

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