読書感想26冊目:蟲愛づる姫君 魔女の王国の終焉/宮野美嘉著(小学館文庫 キャラブン!)
注:感想を書き連ねる間に重要なネタバレをしている可能性があります。ネタバレNGな方は読み進めることをおすすめしません。苦情については一切受け付けません。また、感想については個人的なものになります。ご理解ご了承の上、読んでいただくことをお願いいたします。
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「蟲愛づる姫君の婚姻」シリーズ第十一巻。
第一巻はこちら(次巻よりは順にリンクがあります)
婚姻、寵愛、蜜月、純血、永遠、宝匣の第六巻までが第一章。
第二章から「蟲愛づる姫君の〇〇」ではなく、「蟲愛づる姫君 副題」となっており、副題が長いので少し割愛して、「魔女」「恋」「夜」「暁」に続いての今作。
でも、基本的に登場人物が変わるわけでも主軸が変わるわけでもない感じなのでご安心を。
今回のサブタイトルは「魔女の王国の終焉」。これの意味するところは、と読み進めるのが主ですが……
まず、主人公であるところの玲琳姫、現在魔女どころか幼女です。
前巻にて呪いにより過去と未来の時を奪われた結果、若返ってしまった夫であり魁国の王である楊鍠牙の解蟲を試みた際、同じく若返ってしまっているところから話は始まります。
鍠牙は見た目は若返っていますが実は完全に解蟲されたわけではなく、己も合わせて毒を征しようとしている玲琳姫。
そんな彼女の前に現れたのは、祖母であり尊敬する蟲師の月夜。
玲琳姫の前に現れた彼女は、自分の力を超えたことを玲琳姫に告げます。
名実ともに蟲師の長となることになった玲琳姫。
そして、長として知ったのは、四つの特別な蟲毒の存在。
その蟲毒の一つがまさに、今玲琳姫と鍠牙を呪っているのだと理解します。
里にて蟲毒の里の長として儀式を迎えるために蟲毒の里に向かう玲琳姫。一緒に行くのは二人の間に生まれた双子の一人、炎玲王子。
一緒にいるのが当たり前の双子のはずが、今回はなぜかばらばらでの行動に。
なにやら双子、喧嘩しているようで。
蟲毒の里では四つの蟲毒のすべてを受け継ぐことが儀式だと告げられ、探すことになり。
そんななかで魁国には斎帝国の女帝の彩蘭が夫であり最強の護衛を連れて訪問してくるし、蟲毒の里では殺人未遂事件が起きたり。
しかし、実はあちらこちらで起こる事件はすべてが蟲毒の里、そして長となる玲琳姫につながるもので。
玲琳姫は無事に蟲毒の里で四体目の蟲毒を手に入れ、身に受けた呪いを解いてすべてを救うことができるのか。
救う……とは玲琳姫は考えていない感じではありますが。
蟲師を憎む骸と、玲琳姫にまつわる因縁の糸が絡みあう中で、蟲毒の里ですべてを解決に導くカギは、四体の蟲毒。
血と智を繋いできた蟲師の最たる弱点を解消するカギもまた、長が有する特別な四体の蟲毒。
そんな感じで玲琳姫をとりまくみんながそれぞれ、大きな範囲で活躍しながらお話は進みますが、最後は大団円、と言いますか次につながる話の展開となっております。
魁国での婚姻から、最後は次世代へと、豊かに広がっていく毒まみれでありながら、とてつもなく平和な日常が繰り広げられていくのでしょう。
と、いうわけで。『蟲愛づる姫君の婚姻』シリーズはフィナーレを迎えたようです。
最初から最後までみんな頭おかしい(褒めてます)ですね。
蟲毒の里のみんなは閉鎖的過ぎていろんな何か、を落としてきちゃっているんだろうなぁとか、そういう、「しきたりを守ることの意義」を守りすぎたというか、信じすぎてしまったのかもしれないななんて思うところでした。
だからこそ、長の地位を受け継ぐ実力を持ち、新たな思考を得た月夜、胡蝶、玲琳は蟲毒の里にとって大きな「きっかけ」なんだろうなと思うところです。
双子は健やかに育っていくだろうし、みんな幸せになる予感がするばかりで、にやにやしながら読み終わりました。
本編としてはおそらくこれで終了、というところだと思うのですが、もう一冊、短編集があるのでそれを楽しみに読んでいきたいと思います。
公式紹介ページはこちら
コミック版もあります(第一巻のお話ですが)
お読みいただきありがとうございました!
第十二巻はこちら
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