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華物語

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2022年12月の記事一覧

秋桜

 コスモスの香る季節。
 また、あの手紙がやってくる……

 それは、数年前から届くものだった。
 郵便受けに、一通の手紙。封筒の中には一枚のポストカード。様々な美しい景色の描かれた。中には必ずコスモスの花が写っている。
 そして、毎年のこと、コスモスの花が一輪添えられている。届くのはもちろん、コスモスの季節。
 今年もふと郵便受けをのぞくと一通の手紙が花と共に現れた。

「母さん~今年もまた来た

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金木犀

「むせ返るような、匂いが嫌い」

 その言葉に、何も返すことができなかった。
 祈りの言葉は今も届かず、空に彷徨っている。
 きっと。―――

 今年も秋は巡ってきて、金木犀の華はチラチラと舞う花びらよりも その薫りを誇るように強く振りまいている。
 いつのまにか人の背丈ほどの大きさになって、枝葉を広げたその木を見上げて、
「どうして、こんなに匂いが強いんだろう」
 文句のように言葉がこぼれ落ちた

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曼珠沙華

 真っ暗な、上も下もない世界。もちろん左右も、ない。
 感覚に頼ることもできない、ただ茫漠とした闇が広がっている。
 そんな中、『目を開いた』という感覚がしたのは奇跡に等しい。
 『自分』を認識することができたのも。
 そんな空間の中で。

「……は?」

 確かに喉を震わせたはずの言葉だったが、響き渡り、耳に響き広がるはずの音は、なかった。おかしい。本来であれば、己が声くらい聞こえても良いものを

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朝顔

 それは、雅な都があったころの話。
 人の子は文と御簾ごしの顔を見て、「会う」「見る」が「結婚」の意を表していたころの話。

「飾り気のない……」
 ふと、言葉が漏れて、顔をしかめる。同時にため息も漏れた。
 求婚の誘いの意味を持つ文がパラリ、と文机から落ちた。
 それを拾い上げて、思いついたようにつれづれと和歌なども書いてみるが、思ったよりも出来が悪い。
 つづらをのぞいて取り出してみたのは、昔

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