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短編

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2023年1月の記事一覧

撫子

 幼い頃の夢が、現実になることは、そう多くはない。
 時の経つうちに変化し、またそれ自体が消滅してしまうこともある。
 だいたいがそうだ。それが、この世界のルールと言っても良いほどの現実で。
 では、諦めることもできず、また実現することも叶わぬこの夢は、なんだろうか。

 未練、だろうか。

 それとも自分がまだ子どもなのだということだろうか。

 祝いの日は、いっそ憎らしいほどに晴れ渡っていた。

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菜花

「っ!」
 悲鳴が、室内に響き渡った。
 次に聞こえた声に、漏れたのは安堵のため息と緩む笑み。
「おめでとうございます」
「姫御様でございますよ」
 白磁の肌に、頬にのみほんのりと赤みがさした口元が三日月に割れた。
「そう……」
 ほぅ、と一息漏らすと出産を終えた女性は眠りについた。
 深い、ふかい眠りの底に。

 見たのは、小さな希望と夢幻。
 掻き消えたそれを胸に抱いて、ここまで来たのだと、彼

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菊華

 月を見ると、切なくなる。胸が締め付けられるような感覚で、息がしづらい。いま、自分が息を吸おうとしているのか、吐けば良いのか、戸惑ってしまう。
 なぜか、などということはわからない。
 秋は、空気が澄んできて星や月がはっきりと見える。その光は、紺色の夜空に飾りをまいたかのように、夜空に映えてきらきらしい。
 でも、それを見ようともせずに頭から布団を被って涙をこぼさないように目をぎゅっとつぶって眠ろ

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