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ロイヤリティ契約は、誰も売らないと誰も潤わない。

各地のセミナーや講演の後で相談いただく中でこういった方々から開発が上手くイカなかったという話を聞くたびに、どう進めていけばよいか一番悩ましく、自分の無力さを感じます。

各地で開発していくためのセミナーや講習や講演がありますし、日本にいるプロデューサーの皆さんもその舵取りの方向は様々です。ありがたいことに依頼は色々なところからやってきます。そして皆さん共通して困っている。。。ですが、お会いしてすぐにデザインするケースは非常にまれです。

最終的には、ご本人や会社が本当に新しいことや自販化を意識してやっていく気持ちがあるかどうかの部分が大きい。通常のクライアントと異なり、地場の製造業との取り組みには初期費用が相当厳しいケースも多いです。

「かけられる予算が無いがどうしたらよいか」この相談が多いのも弊社の特徴かもしれません(笑)とにかく何か頼めば売れるものができると思って来られる方がまだまだ多いです。いや増えてるような気がします。

予算や費用がまったくかけられない場合、当たり前ですが殆どのデザイン会社では「受けることができない」わけです。

こういった形で商品の開発、流通はされてくるんですが、最初に商品の企画であったり、マーケティングであったり、そしてデザイン設計、で試作、製造、商品が完成してプロモーション、営業していく。大きくいえば、「開発費用」と「流通費用」という2つ費用としてかかってくる。

予算が無くても、そこに光る何かを感じれば進めます。

ただし、僕らが組みたい!何とか進めてみたい!と思う素材や技術を持っている
製造業の方々と初期費用を取らずに進めるケースもあります。これまでもボチボチと培ってきた経験を活用できる方法を上手く一緒に協業できないか考えてみて試行錯誤もしてきました。自分たちがこの会社の技術は活かせるのではないかと、協業可能と判断した会社さんにはイニシャルの料金は度外視で進めることもあります。

・商品企画費、マーケティング費用、デザイン設計の部分はインセンティブ。
・製造にかかわる一切のコストは製造業の方が負担。
・生産後はお互いに在庫を持って売ること(全数の買取しません)

・開発の予算が全く用意できない場合は納期は無期限

僕らの協業の最低条件です。僕らは自社商品の伴走をしているのであって、御社のOEM先ではないですよということをわかっていただくために、この条件は事前にさせてもらっています。(製造したものをすべて買い取ってくれると思ってらっしゃる方も多いです)

「製造にかかるコストは全てを依頼者が持つ」
ことと「生産全数の買取はしない」です。お互いで生産する在庫をリスクシェアする。そして協業のケースの場合は展示会や営業にかかる経費は弊社負担することもあります。(その会社の経営状況や企画自体の内容次第で変わりますが)そうでないと単に弊社がOEMをお願いするだけになってしまいます。

そして納期が無期限ってことに「えええ?」と言われることもありますが、助成金、補助金、借り入れなど、何とか費用を捻出してこられる会社もあります。どこまで本気なのかも目安になるかもしれませんが、時間差が出てきます。そういった方と同じに進めていくと完全にボランティアになりますんで今度は弊社が厳しくなります。

可能な限り販路設計も伴走します

今ではインセンティブ契約としての契約も色々なデザイナーさんも進めています。(販売した分をロイヤリティとして受け取る契約形態)1個売れたら販売価格の何パーセントを受け取るという様な内容ですが、それは「その商品が売れたらもらえる契約」であるわけです。製造業の皆さんにとっては初期費用が無料になる良い話のように見えますが、ここで問題が生じるのは「その工場や会社に販売できる能力」があるのかどうか。誰も販売しないとなると、一生デザイナーにはお金が入ってこないんです。

で、普段下請けで生計を立てている会社や工場には販路設計できない方が多い。営業という肩書がある方もいらっしゃる会社もありますが、工場などの製造業者の「営業」は商社や決まった取引先へのアプローチと製造のための見積もりと工程管理をする仕事がメインだったりすると新商品はおそらく新しい商流へのアタックが不可欠になると、結局は未知の領域への仕事になります。販売できる能力が無いケースが多い。

各地でデザイナーとのコラボレーション事業が増えましたが、そもそも誰がどうやって売るのか計画がないまま進めていくことで死んだ企画もたくさんあります。
実にもったいない話なのですが、事前に会社の体力や人材構成をリサーチせぬまま
進めると起きる事故だと。

ちなみに僕らが可能な限り販路設計を進めていく上での仕組みをわかりやすくすると下記のような感じです。

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僕らは展示会出展や百貨店での催事関連など、販売をし、広告PRも自分たちで進め、小売店営業やオンライン販売も積極的に自分たちでやる。あくまでも協力しあって事業を進めていきましょうという「協業」といっているのは同じだけのリスクを配分することでものづくりを一緒にやりましょうと考えて進めています。なので販売の方法もノウハウも全て伝えて伴走していきます。やったことがないなら一緒にやって見せていけばいいだけです。あとはやるかやらないか。

ただ、この方法はデザイナーも商品が売れなければ潤っていかないシステムですので営業や販売や広報が機能しないとお互い苦戦は続きます。本来は製造とデザインとビジネスの見立て経由できる人材が増えてくることが望ましいのですが。その会社にとっても自社商品とは言える状況も作っていきたいです。

製造業が厳しい状況であることは理解はしてはいますが、僕らに頼めば自社でのリスクがゼロになるわけではないのです。いつ無くなるかわからない仕事を待ちながら不安な状況下を続けるのか、リスクを負ってでも自分たちで先ヘ進む考動に打って出るのかはその会社次第だなと今まで取り組んだ会社を見ていて強く感じます。

ごくまれに「売れる企画なら製造するよ!」という依頼をされてくる方もいらっしゃいます。そんな依頼?相談?理解に遠いお話は僕は全く聞くことはしません(笑)お互いに同じだけのリスクを張ってこその「協業」だと思っています。

ただ、これも現段階での協業の仕方で、将来的には協業させていただいている各社が自販できるソースも持ってもらえるように進めていきたい。

地方出身の弊社デザイナーがいつか地元で貢献できるような働き方も考えた社内システムに移行できる方法がないか、また産地にいるディレクション能力に長けた方と協業できないかなど、市場へのアプローチだけではなく、「人」とのインフラも作ってみたいと最近は考えています。

予算が全く無くても「この技術をもっと世に知らしめたい!」と感じる会社であればご一緒したいなと思います(笑)




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