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可愛いの名詞、浜崎あゆみ

友達に誘われて地元のイベントに参加し、聴衆が見守る中、舞台に上がってマイクを手に歌ったことがある。そのうちの1曲が『evolution』。練習出来る日数が残り僅かでいきなりの追加。私は手っ取り早く頭に叩き込める、サビの部分だけを歌った。

10代から20代を中心に絶賛されていた当時の浜崎あゆみ氏は、強さと逞しさを兼ね備えた華やかな歌姫のオーラを纏っている。うちの兄もファンの一人だったが、妹の私は違った。彼女の曲を聴けば感情に浸れる所、可愛い声は理解していても。


専門学生時代に、アニメのED曲だった『Dearest』、ドラマの主題歌『Voyage』を歌うとカラオケで80点以上を出すほど得意で好評だったが、好きとは離れていた。可愛い声の名詞は、清純さと切なさを備えた原由子氏(サザンオールスターズ・桑田氏の奥さん)だったからだ。

兄は私が大阪から戻っても、相変わらず浜崎あゆみ氏のCDアルバムを買ってコンポに挿れ、部屋で音楽を流す。「本当に好きだな」と、私は呆れた目で見ながら耳を傾けた。

--魅力に気付くタイミングはいつでも用意されている。だが、気付くには状況が整っていないと過ぎていく。

挫折と失恋が、浜崎あゆみ氏の声と歌い方を可愛いと思わせた。

なんだかタイミング悪くて
何もかもがうまく行かなくて自分が
嫌いになりそうな日には

誰かに優しく出来るような
余裕さえもなくしてどうしようもなく
さらに落ち込んだりするの

そんな時ってきっと
大事な人を一番傷つけて
しまってたりするのかも

-『HONEY』の歌詞より引用
君に届くようにと
こうして歌い続けているよ
また逢える時まで

-『Replace』の歌詞より引用

悲しい心の状態を語っているのに、上記の2曲は可愛くて明るく前進していこうよと背中を押してくれる。口に出して音にする度『HONEY』は可愛いく歌うこと、『Replace』は心を込めて歌うことを身に付けさせてくれた。
今も曲を振り返って聴くと過去を思い出し、頑張ろうって勇気とパワーを貰える。単に可愛いだけじゃない所が浜崎あゆみだ。

失恋した相手への未練はもう一切無いが、彼には「あの時は迷惑をかけてごめんなさい。でも、あなたに出逢えたから今の私が在る」と、感謝を伝えれるくらいのラインには達したい。

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