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ゲーム開発のプロデューサーとディレクターの境界線

サイバーコネクトツーの山岡です。

4月になり新入社員がまぶしく映る季節になりました。

今年、サイバーコネクトツーには29名もの新入社員が入社しました!福岡、東京、大阪の各拠点で多くの新入社員が背筋をピンと伸ばし、爽やかかつキラキラした目で挨拶してくれる姿を見ると、こちらも今日も一日頑張ろう!という気持ちになります。

そんなフレッシュマン達とコミュニケーションを取る機会が増える季節でもあり、色々な質問を受けることも多くあります。

ある新入社員から「サイバーコネクトツーは各プロジェクトに制作プロデューサーとディレクターが配置されて開発を行っていますが、それぞれどういう役割分担でなんでしょうか?」「制作プロデューサーやディレクターになるにはどのようなキャリアパスになるのでしょうか?」という質問を受けました。

サイバーコネクトツーが制作プロデューサー、ディレクターの体制になったのが約2年前。全社会議などでスタッフ向けに体制の説明や役割の説明は行っていますが、プロデューサーやディレクターの定義や内容紹介の情報は意外と少ないなと思いました。

なので、今回はゲーム開発のプロデューサー、ディレクターに求められる役割や境界線について、掘り下げてみたいと思います。

■プロデューサー、ディレクターの仕事内容

まず、大手ゲーム会社が紹介しているプロデューサー、ディレクターの仕事内容をまとめてみました。

各社のWebサイトより引用

どの企業も
プロデューサー=全体の責任者
ディレクター=現場の責任者

となっていますが、ディレクターの内容はほぼ同じなのに対し、プロデューサーはパブリッシャーとデベロッパーで内容が異なっています。

この違いはデベロッパーはパブリッシャーから業務委託で開発業務を受託し納品するまでが業務範囲であるのに対し、パブリッシャーは自らビジネスプランを考え提案することで会社から予算を獲得し、売上を最大化し利益を生み出すことを求められるから。

サイバーコネクトツーでは受託開発と自社パブリッシングの両方の開発を行っているので、どちらのプロジェクトなのかで、プロデューサーとして求められるものも変わるし、考え方や業務内容も異なってくるということになります。

■ゲームを作って売るために必要な要素

プロデューサー、ディレクターの役割の前にまず、ゲームを作って売るために必要なことを考えてみます。最低限、以下の6つの要素が必要なんじゃないかなと思います。

1.クリエイティブ
2.テクニカル
3.プロジェクトマネジメント
4.企画(ビジネスプラン)
5.ビジネス
6.営業

クリエイティブ
ゲームの面白さやわかりやすさ、商品力、表現を適切に判断、決定し、最高のコンテンツを制作する

テクニカル
ゲームエンジン、ミドルウェア、ソフトウェア、パイプライン、スペックを理解し、実現方法や作業効率、コストなどを正しく判断する

プロジェクトマネジメント
決められた納期、予算、人員を最大限活用するために、プロジェクト全体を管理し円滑に進める

企画(ビジネスプラン)
ビジネスモデルやマーケティングを分析し、売れる商品や企画、実現させる制作体制を検討、提案し、予算や人を集め、プロジェクトの立ち上げから販売まで計画、実行する

ビジネス
契約や財務、宣伝やマーケティングを理解し、プロジェクトを最大化するための運営の戦術を経営面から考え、実行する

営業
人脈やコネクション、根回しや気配りを駆使して社内外で折衝、交渉を行い、プロジェクトをより良い条件で稼働させる環境を作る

企業の文化や規模、タイトルによって異なる部分もあるかと思いますが、ゲームを作って売るためには、最低限これらの要素が必要になります。

■プロデューサーとディレクターの領域

上記の要素は大きく2つの領域に分けることができます。「ビジネスを立ち上げ、拡げる」領域と「タイトルを制作する」領域です。

2つの領域に要素を当てはめると
ビジネスを立ち上げ、拡げる」=企画、ビジネス、営業
「タイトルを制作する」=クリエイティブ、テクニカル、プロジェクトマネジメント
となり、それぞれの領域をプロデューサーとディレクターで役割分担することになります。

つまり
プロデューサー:企画、ビジネス、営業
ディレクター:クリエイティブ、テクニカル、プロジェクトマネジメント
という役割分担になり、それぞれの領域のスキルや考え方が必要ということになります。

映像や映画、アニメ、音楽など多くのエンタメ制作でこのような役割分担が行われています。ただ、予算や人の投入が難しいインディーズ作品や中小企業では兼任したり、ひとりで全部やらざるを得ない(やるしかない)場合も多く見られます。

■サイバーコネクトツーの場合

サイバーコネクトツーでは「ビジネスを立ち上げ、拡げる」というプロデューサーの役割は全てのプロジェクトにおいて社長の松山と副社長の宮崎が担っています。

「タイトルを制作する」領域は、以前はプロジェクトリーダーまたはディレクターで制作を行っていました。しかし、開発規模が大きくなり、チームの人数が増え、開発期間も長期化したことで、制作のマネジメント難易度が各段に上がりました。

また、スタッフや会社を成長させ、多くのエンタメを生み出していきたいという観点から、開発の大規模化、複雑化にも影響を受けずに複数のプロジェクトを安定して稼働させる体制も必要となりました。

現在サイバーコネクトツーでは、それらを実現させるためにプロデューサー、ディレクターに加えマネジメントやプロデュースワークを補佐する制作プロデューサーを配置し開発を行っています。

CC2での役割を定義すると以下のようになります。

プロデューサー
企画、ビジネス、営業において方針の決定を行い、品質や納期などプロジェクト全体の最終責任者

制作プロデューサー
担当プロジェクトの人員や予算、納期など管理業務の責任者であり、プロデュースワーク(企画、ビジネス、営業)の補佐を行いつつ、担当タイトルの最大化を推し進める

ディレクター
担当プロジェクトのクリエイティブ、テクニカル、プロジェクトマネジメントの責任者であり、決められた「ヒト・モノ・カネ」を最大限活用し、納期の中で最高のコンテンツを制作する

実際には制作プロデューサーとディレクターは上記の通りキッチリ線引きをして業務を行っている訳では無く、互いの領域で不足している部分を補ったりサポートし合ったりしながら日々開発を行っています。また時には意見をぶつけ合いながら担当プロジェクトの最大化にあたっています。

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また将来的にではありますが、サイバーコネクトツーではプロジェクトマネジメントに専門の人員を配置して、プロデューサーやディレクターが更により良い商品つくりに注力できる体制も目指しています。

■まとめ

以上、プロデューサー、ディレクターの役割、境界線についてでした。

ゲーム企画を立ち上げ、制作し、ビジネスにするということは、多くの要素やスキル、知識が求められます。その中でもプロデューサーや制作プロデューサー、ディレクターは常に大きな決断や判断が求められ、タイトルの成功を左右する非常に重要なポジションなのです。

ゲームを作るための技術や知識はもちろんですが、ゲームを作り上げる体制や役割分担を理解しておくと色々と見えてくるもの多いと思います。ゲーム開発に携わる人や目指している人の助力になれば幸いです。

サイバーコネクトツー
執行役員 山岡 寛典

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