遺書のように並べた言葉の続き
<マガジンを読んでいないと理解できない部分があるかと思います。ぜひ、読んでください。>
ある日、私は別れ際に、最近引っ越したばかりの彼(T)にこう訪ねた。
「今度おうちに行ってもいい?」と。
彼は「ダメ。」と言った。私はそう言われるとは思っていなかったので、たじろいだ。そして理由を訪ねた。「ゆくゆくは彼女がその家に来るから?」と。
彼は「それもそうだし。もう、そういうことはしない。」と言った。
私は、”そういうこと”の一人に過ぎなかったのだ。なんて大馬鹿で能天気だったのだろう。急に現実を突きつけられた私は、ナイフを心臓にあてがうようで、ナイフの冷たさで心臓から体が冷えていくのを感じた。
涙がポロポロ出ては立つことすらままならなくて、その場に座りこんだ。
同棲する話がそこまで進んでいるとは思ってもみなかった。
じゃあ、何故。私は選択肢を2つ提示した。彼はどういった思いで選択したのだろうか。
私と共に私の家に来るか。
その場で解散してそれぞれ自分の家に帰るか。
何故、前者を選んだのか。彼が言う理由は「もっと一緒に居たいから。」であった。納得いかない私は、「どうして一緒に居たいと思ったのか。」と加えて質問をした。彼の答えは「分からない。」の一点張りであった。
私は、彼に対して、”分からない”のではなく、”分かりたくない”、”気づきたくない”ように見え、そう口にしたが、それでも彼は核心をつく言葉は口にしなかった。
私は何とも言えない感情を自分の中に抑え込み、それは涙として流れていった。とてつもなく悲しく、もう会えなくなる現実から目を背けたくなった。
じゃあどうして私の家で私の身体を2回も弄んだの?私の家ならいいってことなの?とは聞けなかった。
ただ、私はもう私の周りから人が消えていくのはみていられなかった。耐えきれなかった。もう、誰も消えてほしくないのに。貴方も消えていってしまうのね。これで6人目。
嗚咽混じりにそう口にする私を見て、彼は手を差しのべて私の手を握ろうとした。私は初めて彼を拒絶した。「見せかけの優しさなんて要らない!」と。だってますます自分が惨めに思えるんだもの。
彼は「俺は消えていかない。」と言ったが、私との関係は「切れる。」と言った。矛盾している。いや、矛盾はしていないのか。彼の中でも整理がついていないのだろう。
そしてこう言うんだ。「自分でもどうしたら良いか分からない。」と。
まるで期待させるような言葉を掛けてくるのだ。その言葉は私をひどく混乱させた。涙はいつまでたっても、もう目も痛いのに、それでも勝手に涙が出てくるんだ。
私の中でも矛盾が生じている。
彼女が東京に来るのなら関係を切らなければ。
でも、切りたくない、一緒に居たい、私の前から消えてほしくない。
結局答えは出ないまま、彼は彼の家へ帰っていった。私は誰とも何とも繋がっていたくなくて、一人になりたくて、スマホの電源を落とした。
翌日もずっと「消えてしまいたい、死にたい。」とばかりぐるぐる考えてしまい、薬に頼ってほぼ一日中寝ていた。
その日の晩は、自分を追い詰めるかのようにアルコールを摂取しては吐くまで続けた。こういったことをするのはこれで3回目だ。
私は何かをずっと吐き出したくてこんな事をしているのだろうか。
きつい。もう少し落ち着いたら誰かに助けを求めるかのように電話をすることが出来るだろうか。
死にたい、辛い、耐えられない。
空白の時間があると、常に頭の中にそれらが出てくる。その度に私は職場の子どもたちと職員、高校時代の友達の顔を思い出しては掻き消すかのように涙を流した。
私は衝動的にスズランテープを三つ編みにして、まるで首吊りをする準備をしているようだ。その日は作っただけで満足したのだが、いつか衝動的に決行してしまうかもしれない。
私は、私を止めることが出来るだろうか...。
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