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ICHASU『shiny』シリーズの作品のこと

みなさんこんにちは。CAT'S FOREHEADの森です。

今回はアートワークストアで販売しているICHASU(イチャス)の作品の中から、グループ展『string』のために制作した作品『shiny』シリーズについてお届けしたいと思います。

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当ストアではグループ展『string』に展示された作品をテーマカテゴリとしてまとめています。

今回もICHASU本人が『shiny』について解説している動画をダイジェスト的にまとめて参ります。

『string』と『shiny』

2021年12月に大阪のartgallery opaltimesで開催された、薬指ささく、前田裕、ICHASU(敬称略)3人によるグループ展のタイトルが『string』で、その展示のためにICHASUが制作した4点の作品が『shiny』シリーズです
グループ展のタイトル名は参加作家3名で相談して決めたそう。

ヒモ=string

『めのめのめ』の紹介記事「ICHASU個展『めのめのめ』の作品のこと」(とその元となった動画)でもICHASUが言及していますが、彼女の作品にはたびたび「ヒモ」が登場します
もちろんグループ展のタイトルですから、他の参加作家の作品も「ヒモ」がモチーフとして使用されています。

本シリーズは画面いっぱいに配置された「ヒモ」と、ICHASUの作品に欠かせない「キャラクター」で構成されています。

どの作品にも見る角度によってキラッと光る画材(銀色)が使用されているので作品タイトルは『shiny』
作品紹介動画の中で「たとえばこういうところ」がわかる位置に再生ヘッドを持って来ましたので、お時間があればご覧ください。

観る角度が変わるとキラッと光って、作品に光沢がある(shiny)ことがわかりますよね。

でもICHASUはこの作品をただ「光らせたかった」から制作したわけではありません。前回の記事「ICHASU個展『めのめのめ』の作品のこと」で

ICHASUはほぼ毎年開催する個展に、自らテーマを設定して臨んでいます。
そのテーマは絵の内容だったり技法だったりします

と書きましたが、本展でICHASUは主に「技法」についてテーマを設定して制作に取り掛かりました。

テクニックの玉手箱や

アウトラインの秘密

本シリーズの4点は、全て同じアウトライン(線)を元に描かれています。
こうして重ねて観るとそれがよくわかりますね。

ぎっしりだけど美しい線

同じ絵を違う塗り方とか表現の仕方で『いかに別のものに見せるか?』」がテーマとなっているわけです。
表現方法にバラエティを持たせるため画材に鉛筆やペン、水彩絵の具の滲みなどが用いられていて、それゆえキャンバスではなく木製パネルにケント紙を貼った上に描かれています。

紙をそのまま使用するのではなく、描く前に様々な加工が施されています

4点の作品を同じアウトラインを元に描いたのは、異なる技法で印象を変えるためだけではありません。この「ヒモ」は作品を並べた時ににちゃんと繋がるように描かれているのです。
テキスタイルのパターンのようになっているんですね。

ヒモが左右対称ではないのに繋がるのが凄い
曼荼羅っぽさ

さらに顔面が透けた作品をよく観るとわかるのですが、キャラクターの四方にある「ヒモ」が全て繋がるように設計されているのです。

透けてる部分の「透けてる感」にもご注目あれ

熱量を感じていただきたい

本シリーズの作品のアウトライン(線)に巧妙な仕掛けが埋め込まれていることがおわかりいただけたと思いますが、「技法」への挑戦は多彩な「塗り」にもしっかりと込められています。
細い「ヒモ」に閉じ込められながら、ゆらゆらと動きつつ色相環に沿って色が変化していく水彩の「滲み」など、画材が実に巧みに操られています。

他にも立体感・透明感・テクスチャのマット感などの有無・対比によって、小さな画面の中で奥行きや浮遊感の違いが演出されていることを、飽きることなく愉しむことができるのではないでしょうか。
私はICHASUの作品の写真と動画を何時間もかけて撮影と編集をし、そこから数ヶ月が経ちましたが、いまだに観るたびに発見がありますから。

ふだんICHASUは自身の技法などを自らアピールすることは全くありません。でもこうして作品に込められた想いを知ると、より作品を愉しむことができますよね。

本シリーズは一辺30cmの小さな作品ですが、そこにぎゅぎゅ〜っと凝縮されている熱量を皆さまにも感じていただけたら幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました!


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