見出し画像

一心不乱

先日、久々に会った後輩から「ねこのさんのお家の猫ちゃんに!!」と某有名液状フードをいただいた。

「えっ!! こんなにいいの???」

元々、彼女は「ねこのさんに次会うときにねこのさんの家の猫ちゃんに貢いでも良いですか?」と言ってくれていた。
しかしその規模は予想の範疇を遥かに超えていた。

20本も!」

「はい!」とニコニコ笑う後輩に後光が差して見えた。更に彼女はこう言った。

「可愛いものには貢がなくては。」

-女神様かな??


こうなれば最早拝む他ない。
食べているところの動画と写真を送ることを約束し、帰路に就いた。



その夜。帰って一息ついてから末猫を呼ぶ。
キェエエエエイと鳴く末猫に液状フードの大袋を見せる。

「良いですか。これはわたしの後輩の女神様が君たちにってプレゼントしてくれたものです。」

良かったね、嬉しい?と声を掛けても末猫はキョトンとしている。なんなら、大袋の中に彼女の大好物の液状フードが入っていることも気付いていないようだ。
末猫の視線が別に向く。-仕方ない、1本出すか。
おもむろに大袋の封を切る。
大袋の封を切り中のフードを一本取り出したところで、末猫はやっと大袋の正体がわかったらしい。
彼女は大変真面目な顔をしてわたしの前に座り直した。

-------


「美味しい?」

末猫はてちてちと液状フードの袋の入口を舐め続ける。
片手でフードをゆっくり絞り、もう片方の手でスマホを起動し写真と動画を撮る。

-よし。良いが撮れそうだ。

末猫は余程この某有名液状フードが好きらしい。
毎回食べる際は実に真面目な体勢で臨む。

鼻筋には皺が寄り、耳はイカ耳。
目は据わり、尻尾をブンブンと振っている。

ぱっと見不機嫌そうにしか見えないが、そうではない。
以前食直後に3番目に痛烈な平手打ちをされたことがあるからか、末猫はいつも液状フードを食べながら最大級の警戒態勢を取る。イカ耳と尻尾はその所為だ。
鼻筋の皺と据わった目は真面目にフードを味わっている所為である。
恐らく、末猫の中では尊敬の念が開発者に捧げられていることだろう。



後輩に動画と写真を送り、改めて感謝を伝えたところ、

「こちらこそこんなに食べて頂けて嬉しいです!」

と返信があった。

-女神様…!


わたしの周り、部下といい猫たちといい後輩といい尊さが溢れ過ぎではなかろうか。

彼等に恥じぬよう、清く気高く賢く在りたいものである。

この記事が参加している募集

#ペットとの暮らし

18,218件

#猫のいるしあわせ

21,828件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?