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散る花は咲くからこそに美しい~高校野球ハイライト延長戦12日目・水口東

夏の大会前、水口東の3年生はS、A、Cの3班に分かれた。主力から控えのランク付け…ではない。Cはコア。打線の中心として結果を求められる。Aはアシスト。つなぎ役として小技も練習する。Sはスペシャリティ。代打や守備固めなど、ここぞの場面で出番が来る。一人一人の役割を明確にし、効率良い練習につなげた。

「表現が適切かわからんけど…散り方って大事やと思う。ひたむきに頑張った選手に少しでも活躍の場があれば…」。去年の3年は独自大会準優勝。今の2年は1年生大会ベスト4。実力ある学年に挟まれ自信を持てなかった世代に、全員で戦う意識を持たせることが村田潤平監督の狙いだった。

苦戦続きだった夏。それでも2回戦ではS班・田中太陽の投球が流れを変え、3回戦ではA班・市村悠真がゴロを狙い打って追いつくなど、特化して鍛えた技術が勝利を呼び込む。近江に敗れた準々決勝でも、S班・棚橋望成の投球がコールド負けを阻止した。

村田監督は「一役を持ち、成長した姿を見せてくれた」と苦しんできた選手を称える。「3年生全体で引っ張ろうとした気持ちこそが勝ち上がった要因」。こう振り返ったのは主将でC班の奥村一咲。彼の名の通り、この夏、水口東の3年生は確かに咲き誇っていた。

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